和視協17年度社会見学


平成17年度和視協社会見学を終えて
企画担当 北口豊

今年も、年度初めの役員会で、社会見学担当に立候補した手前、会員の皆様方に少しでも喜んでいただけるような企画にできたらと考え、10月末の実行に際し、7月末から行き先探しや福祉バス借り受けの手配などに取りかかり始めました。
皆様もご存じのように、県の福祉バス借り受け手続きは、希望日の3カ月前からの受付となっているため、仮押さえだけは済ませておきましたが、実際の10月30日は、他の団体と重なってしまい、どうしてもこの日にというわけでもなかったため、役員会や理事会など所定の手順を踏み、実施日を1週遅れの11月6日に変更することになりました。
これで、バスはなんとか確保できたけれど、問題は肝心の行き先探しです。
これにはちょっと一苦労しました。
 しかし、最近は便利になりましたね。
まず、家人が以前買い求めていた情報誌「るるぶ」の別冊「家族で楽しめる京阪神ガイド」というガイドブックから、我々視覚障害者でも比較的楽しめるようなスポットはないかということを第一条件に探してみました。
そんな中でピックアップしたのが、一つはインスタントラーメン発明記念館、二つ目は手作り素麺の体験できるめん遊館、それに国立民族学博物館の3カ所でした。  次に、インターネットでそれぞれの詳細について調査し、カーナビを使って、車での現地往復のおおよその所用時間や必要経費などを試算し、3カ所のデータをまとめて、役員会および理事会に提案しました。
そこで、決定したのが、第1候補がめん遊館、第2希望がインスタントラーメン発明記念館となり、どちらもダメな場合は、国立民族学博物館(以下民博{ミンパク}とします)にしようということになりました。
 そこで、今度は実際に予約状況などの確認や申し込みのために現地に電話をかけてみて、ガーン。
大1希望の麺遊館は11月6日はすでに予約済み。
インスタントラーメン発明記念館は、最低3カ月前までに予約を入れて欲しいとのことで、二つとも見事に振られてしまいました。
 そんなこんなで、結局保険というか、滑り止めにに決めておいた民博に行くしかないということになってしまいました。
また、民博だけなら少し物足りないのではという声もあって、道中でもあることから、帰路貝塚市の二色浜公園内に建立されている日盲連の発会に関与する記念碑に立ち寄ろうということになりました。
しかし、参加希望者の募集を初めてびっくり!
開始から3日ほどで、定員に達してしまい、お断りした方も何人か出るほどで、その反響に実際驚きました。
さて、当日、9時半出発なのに、集合場所の市ふれ愛センターロビーには8時半過ぎには、すでに大半の出席者が揃い、待ち合わせ時間にルーズな人をたとえて「和歌山時間」などと揶揄する表現もありますが、本会にはそんな人は一人もいないということが証明され、私としても嬉しいやらびっくりやらでした。
全員が揃っていざ出発。
11時過ぎには今やずっと以前のように思える大阪の万博跡地の一角に建てられた民博前に到着。
駐車場から傘が要るか要らないかの小雨の中を数分歩くと、色づきかけた日本庭園の木々と係りの方が出迎えてくれました。
受付等の事務処理を済ませ、午後は館内を各自自由行動ということにし、「腹が減ってはなんとやら」ということで、予約していた昼食をみんなでいただき、まずは腹ごしらえ。
昼食後、受付で配布してくれたパンフレットを参考に経路に沿って館内の見学を自由に楽しみました。
 一般的に博物館などというものは、ガラスのショーケースに入れられたものを、表示された説明書きを読みながら見学するのが普通ですが、視覚障害者の我々にはあまり意味をなさないというか、非常に困難なこと。
そこで、事前の調査で確認したら手で触れられる展示物も多いし、常設のものなら、点字のパンフレットも準備しているとのことでしたので、楽しみにしていましたが、たしかに手で触れられる展示物がたくさんありました。
館全体を世界の大陸や地域別にフロアを分けて展示し、我々でもかなり満足できるものになっていました。
それもその筈、本館の開館にたずさわった初代の館長は視覚障害者であったし、現在も学芸員の中に全盲の職員もおられると後に漏れ聞きました。
しかし、パンフレットにあった「ビデオテーク」という民博電子ガイドなる機器も貸し出ししてくれ、弱視の人たちはそれを利用して見学すればより有意義なものになったはずです。
一部の人は利用されたようですが、この貸し出しについては、事前の問い合わせの時には紹介してくれなかったこともあり、手続きにやや難航したようで、その件については、担当者として、未確認だったことを反省してこの場を借りてお詫びします。
一通り見学を終えての私の印象は、たとえ展示されているものがレプリカ(複製品)や模型であっても、これまでテレビなどのドキュメンタリー番組やルポルタージュ番組のナレーションの説明を聞いて知り得た知識しかなかったものを、実際に手で触れてみて確認できたことはとても有意義なものになりました。
たとえば、モアイ像、全裸に近い未開原住民の姿、石器類やカヌー、アジアの楽器類等々。予定していた2時間ほどでは全館を制覇するには少々時間が少なすぎたように思えるほどでした。担当者としては、参加いただいた他の方々はどんな印象を受けたのか少し気がかりではありますが…。
帰りは、雨模様だったため、予定していた二色浜公園の記念碑見学は取りやめとし、事前に下見した私の印象を皆さんに紹介し、山嵜会長に碑建立に関する経緯についての説明を聞くにとどめ、残りの時間で、お楽しみ抽選会などをして、盛り上がって?(ほとんど担当者自己満足)、午後4時過ぎにふれ愛センター前に到着しました。
この企画を実施するのは、大変ではあるけれど、ボランティアやヘルパーさん達の力もお借りして、けが人やトラブルもなく無事に帰れたことを嬉しく思います。
ただ、福祉バスを利用するのでは、どうしても人数制限がありますし、観光バスをチャーターするには少し経費も嵩むなどの問題もあり、今後の課題にはなるでしょうか。
しかし、我々視覚障害者は、どうしても日頃出不精になりがちなので、一人でも多く参加してもらえる企画にできたらと思いつつ報告とさせていただきます。

*下に一部の音声データと写真を掲載していますが、写真については館内が撮影禁止ですので、残念ながらそれ以外のものです。



展示物を見学している様子
博物館で貸し出されている電子案内装置の音声
インド舞踊のワークショップの模様
帰りのバス車内の模様











写真1 行きのバス車中 出発直前の様子
写真2 博物館入り口で係員の説明を聞く様子
写真3 レストランでの昼食風景
写真4 館内ロビーにて休憩している風景
写真5 館内ロビーにて帰りの準備をしている風景





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