ガイドヘルプ事業所アンケート調査結果



                    平成23年 8月 吉日

     視覚障害者に対する移動支援に携わる
     事業所へのアンケート調査について

                    和歌山市視覚障害者福祉協会
                    会長 畠中 常男
                    調査担当代表 北口 豊

     1  はじめに

 「行きたいところに行き、したいことをする。」これは人に与えられた基本的な自由です。毎日の生活の中で、人に会ったり買い物をしたり、映画やコンサートに行ったり趣味を楽しんだり、特に気負うことなく当たり前に、誰もが行っている自然な行動です。また、毎日の通勤や通学、病院に行ったり銀行に行ったりと、必用な時に都合の良い時間に、人は出かけ、日々の営みが成り立っています。
 ところが「行きたいところに行き、したいことをする。」と言う、ごく基本的な自由を享受することができないのが私たち視覚障害者です。

 近年、ノーマライゼーションと言う言葉の浸透とともに、福祉制度も徐々にではありますが改善が図られ、私たち視覚障害者の移動・行動の自由を補完する公的サービスとして、障害者に向けての移動支援サービスが実施されるようになりました。
 私たち視覚障害者が、そのサービスを受けるためには、障害者自身が和歌山市に登録されている支援事業所のリストの中から、選択し、事業所と契約を結ぶと言うことになります。
ところが、残念なことに、和歌山市から提供される資料には、契約に必用な情報の記載が少なく、希望にあった事業所の選択に、大変な根気と努力を要します。 そこで今回、移動支援サービスの利用者である、私どもの会員が、少しでも便利且つ有利に、安心して支援事業所と契約できますよう以下の通りアンケート調査を実施しました。


     2  実施方法

1.実施期間
平成23年5月〜6月

2.実施対象
和歌山市に登録されている事業所(和歌山市から提供された資料に、平成23年3月現在、身体障害者に対する支援を行う事業所として、市と契約している事業所と記載されており、視覚障害者に対する移動支援を行っていると表記のある101事業所)

3.実施方法
実施対象に宛ててアンケート用紙を郵送し、回答を返信してもらう方式

4.回答数
45事業所

 別表にありますように、各事業所の運営状況や、視覚障害者に対する対応についてお尋ねしたところ、約半数の事業所から解答をいただきました。ご多忙の中、アンケートにお答え下さった皆様方に対し、心よりお礼申し上げます。


    3  アンケートのまとめ

1.今回のアンケートに対し、回答のあった45事業所の内、移動支援サービスに対し、積極的に取り組んでいる事業所が約2割、全く行っていない事業所が約2割、どちらでもないがあまり積極的に取り組んではいない事業所が半数以上と、移動支援に携わっている事業所が思ったより少ないこと。

2.積極的に取り組めない理由として、人員不足と、「視覚障害者の移動支援は、身体介護を伴わない」ため、単価が低いことが原因であると思われる。

3.従って、私たち視覚障害者が、移動支援サービスを受けるため、事業所の担当者と契約しようとしても、話がうまく行かないケースがしばしば生じる。

4.今後の見通しとして、今年(平成23年)10月より実施される予定の「同行援護」という新しい国の制度では、時間当たりの単価が若干引き上げられる事になっているが、その制度を導入するには、視覚障害者に対するガイドの資質向上が条件となるようであるので、それに向けての講習会等の情報を、関係事業所とともに共有する必要がある。

などであります。
 将来にわたって、私たち視覚障害者の移動・行動の自由を確保するためにも、支援事業所の方々や行政機関をはじめ、関係各方面の皆様方のご理解とご支援を、切にお願い申し上げる次第です。

 尚、下表はそれぞれの質問に対する回答の件数を統計的に処理し記したものです。
移動支援を行っている事業所の詳細な資料については希望する会員のみに配布させていただきますのでご了承ください。



質問1 視覚障害者誘導可能なヘルパーの人数
合計 ヘルパー人数 0人 1人 2人 3人 4人 5人 6人 7人 8人 9人 10人 11人以上
延べ53人 男性 25件 9件 5件 0件 2件 0件 0件 1件 0件 0件 0件 1件
延べ228人 女性 5件 8件 7件 5件 3件 4件 3件 0件 1件 0件 2件 5件
延べ281人 総人数 5件 6件 5件 6件 2件 4件 3件 3件 0件 0件 1件 8件


質問2 視覚障害者契約者数 *利用出来る時間内で複数の事業所と契約している場合もある
合計 利用者数 0人 1人 2人 3人 4人 5人 6人 7人 8人 9人 10人 11人以上
延べ93人 件数 18件 8件 4件 5件 2件 1件 3件 1件 0件 0件 0件 1件


質問3 日曜・祝日対応可能の有無
合計(件数) できる できない ケースバイケース その他 理由
43件(回答46) 16件 9件 20件 1件 土日の職員がいないため(7件)


質問4 車での送迎
合計(件数) できる できない タクシーを利用 その他
43件 9件 25件 9件 0件


質問5 急な依頼への対応
合計(件数) できる できない ケースバイケース その他
43件 2件 6件 35件 0件


質問6 申し込み期限
合計 1ヶ月前 2週間前 1週間前 直前も可能 その他
43件(回答54) 9件 10件 7件 17件 11件


質問7 トラブルへの対処
合計 専属弁護士が対応 専門職員が対応 マニュアルで対応 特別にはない その他
43件(回答48) 3件 7件 31件 3件 4件


質問8 対応時間
合計 24時間、無休 7時から9時 9時から5時 その他
41件 11件 3件 19件 8件


質問9 通院の対応
合計 完全対応 送迎のみ 病院と相談 その他
43件 21件 2件 9件 11件 ・院内は病院が対応 ・本人の状況による(3件)


質問10 白杖の携帯
合計 必ず携帯 特に取り決めはない 利用者の判断 その他
40件 7件 7件 19件 7件


質問11 守秘義務について
合計 厳守を徹底 ヘルパーの良心に任せている その他
42件 41件 1件 0件


質問12 代筆や代読について
合計 している していない その他
42件 24件 11件 7件


質問13 利用者の金銭の授受について
合計 納得するまで確認する マニュアルに沿って行う ヘルパーの良心に任せる 特に決めていない その他
50件 21件 22件 2件 1件(金銭の授受は行わない) 4件


質問14 利用料の明細書について
合計 利用者が確認する 不明な点は役所で確認 その他
42件 31件 8件 3件


質問15 ヘルパー確認の方法について
合計 事前に連絡する ヘルパーが自己紹介する 特に決め手いない その他
55件 22件 24件 1件 8件


質問16 利用者への要望・意見
  1. つつみなく話して欲しい。
  2. 介護タクシーの代わりに支援を使うのは避けて欲しい。
  3. 何でもやってもらってあたりまえという人がいる。
  4. ガイドの方法等は遠慮なく示して欲しい。
  5. 現時点では問題なくサービスを順調に行えている。
  6. 視覚障害者の移動支援は身体介護が伴わないことが、運営する者にとっては売り上げにつながらないと、悩むところである。実際に契約依頼がきたら断るという事業所をたくさん知っている。単価を上げてほしいというのが本音である。視覚障害者の皆さんの応援を期待する。
  7. ヘルパーの人数が不足し、仕事が請けられない。
  8. 法律に違反する内容のサービスを依頼されないこと。特にお願いしている。この場合は利用をお断りします。保険以外のサービスはお断りします。
  9. 利用者様の要望にできるだけ対応していきたいが、人員不足で対応できずご迷惑をかけている。





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