白い杖 第24号


和歌山市視覚障害者福祉協会機関誌「白い杖」

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巻頭言
   会長 北山豊
 きびしかった今年の冬もようやく終わりをつげ、各地から早花便りが聞かれる季節を迎えました。
 春と共に本会機関誌「白い杖」二十四号をお届けいたします。
 さて、昨年十二月、政府の障害者福祉対策本部から障害者プラン七カ年戦略が公表され、先のアジア太平洋障害者の十年に関わる新長期行動計画の達成をめざして、数値目標を示しての画期的な施策が示されました。
 平成八年から同十四年までの七カ年に渡る障害者福祉施策の方針を示唆したものであり、七本の柱からなっておりますが、その一つにバリアフリー化の促進と言う項目があります。バリアフリー即ち耳新しい言葉ではありますが、健常者と障害者の間にある壁を打ち破り、健常者も障害者も共に隔たりなく、生きる社会を築こうと言うのがバリアフリーだと私は解釈しています。
 言葉は耳新しいのですが、私達は常にその福祉運動の目的として来たところであり、ハード的な面からソフト的な問題にまで健常者と障害者の間にこれを阻む壁をなくすことこそ私達の悲願だと思います。こうした意味においてバリアフリーからより一層促進されるよう会員の皆様と共に福祉運動を展開して行きたいと考えます。そして、一日も早く真の意味での共に生きる社会が実現するよう尚一層努力しようではありませんか。
 バブルの崩壊以来、長引く不景気等により、国や地方自治体の財源の厳しさが叫ばれておりますが、これによって福祉の後退は許されるものではありません。
 今こそ、会員一人ひとりが視覚障害者の福祉の行方に大きな関心を持ち、和視協がより力強い組織となるよう団結を更に深めようではありませんか。
 平成八年度の本会の目標は、バリアフリー化の促進によって私達の町が生活が、又、社会が半歩でも一歩でも共に生きる社会へ近づけたいものだと考えます。
 心地よくほほを撫でる春風に新たなる意欲を燃やし、会員各位のご多幸を祈念いたします。

和視協平成七年度事業実施報告
   書記 北山和代
会議
執行部会 四回。理事会 二回。
市連盟理事会 四回。同代議員会 一回。
連絡 文書九回。電話 数回。その他 若干。
四月九日 定期総会、県総福、参加者六十六名、委任状     四十六通。坂東氏よりのあはき養成学校設立 に際し、和視協名にて反対決議を申し合わせた。又、緊急事態には県盲協にも同意を求め、       反対決議をすることにした。その他二、三の       要望があり、随時関係方面に働きかけて行く       ことになった。
  二十三日 理事会、十時より県総福にて、執行部会、総       会に出された事項等の処理や事業実施等につ       いて執行部案をまとめ、午後の理事会に提案、       承認され、それぞれ分担し、実施して行くこ       とを申し合わせた。
五月七日 市連盟代議員会、市ふれ愛センター、和視協       より理事、代議員出席。
  十八、十九日 社会見学(日盲連全国大会参加等、一泊旅行)       松山市の道後温泉、二十二名参加。
  二十八日 市連盟福祉大会等、大津の琵琶湖々上遊覧他、       参加者四十六名。
六月十八日 点字競技会、十三時より県総福、参加者二十       九名。宮本副会長企画により点字普及のため、       初級者に興味を持たせるゲームや熟練者に腕       を競う競技等を行った。
  二十九日 点字ブロック付設について県と話し合いの会       が持たれ、本会々員代表数名が参加して、J       Rとも話し合った。
七月九日 福祉学習会、市ふれ愛センターに和歌山市社       会福祉担当者を招き、福祉サービス等につい       ての説明会を行った。当日の参加者総数三十       八名。
八月六日 文芸研修会、市ふれ愛センターにて講演会、       山本好男先生の「紀の国自慢話」、参加者三       十数名。
八月二十日 市連盟主催市長杯争奪将棋大会、本会より選       手役員が参加し、団体の部で準優勝、個人の       部で何名か良い成績をあげた。
       県盲点字競技会、将棋大会と重なったため、       役員は分かれて参加した。田辺市にて行われ       本会から十二名参加した。成績は上位三位ま       で本会々員が独占した。
八月二十七日 県福祉大会、和歌山市民会館、約五十名の参       加、席上北山会長が意見発表、雑賀理事(城       東分会)が決議文の朗読を行った。
九月十日 県盲主催、中途失明者緊急生活訓練事業、県       総福においてテクノメイトの協力「福祉機器       展示会」を実施。約八十名参加。
九月二十四日 市連盟主催福祉対策競技会、市ふれ愛センタ       ー、北山会長は都合がつかず欠席。山崎景生       副会長、北口会計が出席。本会よりの要望は       次の通りである。
       一 ガイドヘルパーの拡大を
       二 あん摩・マッサージ・指圧師等の無免許         者の取り締まりを
       三 緊急時における視覚障害者の対策をされ         たい
       四 福祉タクシー券の配布方法を考えられた         い
       以上、回答については進展がなかった。
十月十五日 県盲俳句大会、御坊市、本会より八名とボラ       ンティア数名が参加し、上位入賞をした。
  二十九日 理事懇談会、本会理事・監事にて西の宮のア       サヒビール工場見学、参加者が少なくボラン       ティアに呼びかけ福祉バスにて十八名参加し       た。
十二月十日 文化研修会、県総福にて約六十名参加、第一       部クイズ大会、第二部カラオケ大会と年の瀬       の楽しい年忘れ会となった。
一月二十一日 更生相談会ならびに幹部研修会、市ふれ愛セ       ンター、前者はそれぞれ持ち寄った問題を話       し合い、後者は北山会長と宮本副会長の講演       を聞いた。
その他、文化部では俳句・川柳等、通信で作句を楽しんでいる。みなさんもやってみませんか。

 消息
 まず、本年度中めでたくご結婚された二組のカップルを紹介します。
   河北分会の楠本 晋さんと西和分会の三原芳美さん。
        平成七年十月一日
   東和分会の井辺光治さんと西和分会の南出育代さん。
        平成八年三月三日
   おめでとうございます。末永くお幸せに。
 各方面より表彰を受けられた方々
   平成七年五月二十八日 和歌山市福祉大会席上市長表  彰を次の方々が授賞しました。自立更正部門は西和分会  岡本 弘さん、内助功労部門は弘親分会の沢田涼子さん。
  そして、平成七年八月二十七日に和歌山市民会館におい  て県福祉大会席上、城東分会の雑賀邦夫さんが自立更正。  東和分会の宮本好子さんが内助功労に、それぞれ知事賞  を、又、西和分会の岡本 弘さん千代子さんご夫妻は家  庭生活永年努力者として、知事感謝状が贈られました。
   お喜び申し上げます。
 最後に悲しいお知らせとなりましたが、平成七年十一月十六日、河西分会の宮本英雄さん(六十才)がお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りいたします。

 会員コーナー 
子育て親育ち
   東和分会 寺本津規子
 焦ってみないで焦っていると予測することは出来ないし、焦るという字が焦げると書くとは最近まで知らなかったな。
 結婚して、こどもが幼児期のころは、とにかく家事、育児の間にテレビやラジオの声を耳にはさみながら、料理の本を時々聞く位で精一杯だった。
 ところが、長女が小学校に入学したころから、こどもの行動と私の願望とは、うまく重ならずにあわててしまった数年間。子育ての本の朗読サービスが受けられると知り、盲協に入りました。それからと言うもの、デー・サービスのアートフラワーや現代マナー、コーラスに出かけるようになり、色々なきっかけから、こども劇場、近くの何家族かが集まっての親子塾、生協の中でも、福祉の委員や家族援助を行う「助け合いの会」の支部委員として、商品のことや色々な学習をして、知り知らせるための催し等に関わり、多くの出会いを得て、心の充実感を味わっています。
 そんなころの長女も十二才、お菓子作りや縫い物などに興味を示し、部屋を工夫するインテリア雑誌に目下夢中。もうすぐ十才の次女は、大好きな友達とうまく遊べないときは今日は学校に行こうか、やめておこうかとこの数カ月迷いながらの日々、毎日出かける私に「おい!給料もろうてこいよ。」とあきれ顔の夫、焦げて穏やかな私を気長く見守ってくれています。盲協の行事にあまり協力的とは言えない私でしたが、同じ視力の障害を持つ主婦として、母として先に経験された方々と早くにつながりを持てたらよかったかな。
 平等と、尊敬、信頼、勇気の出る言葉かけ、夢を持つこと、そんな言葉をこどもに教えてもらいながら、ダメ母を楽しんで、こどもと共に親育ちです。

「点訳ボランティア」をうけて
   西和分会 下芝敏男
 私は本会の紹介で「みちしるべ」と云いますボランティアで点訳のお世話にあずかっています。それは、私の加入しています会の毎月一回の月報で点字用紙裏表書き数枚です。文面は文語体です。墨字の難しく読みにくい漢字も正確に点訳してもらって大助かりで喜んでおります。点訳してくださいます方は晴眼者と見受けます。私達、目の不自由な者のために、ご熱心に点字をマスターなされたと頭が下がります。会員のみなさんも点訳のご希望の場合は和歌山市盲人協会宮本克二副会長までお申し込みされませんか。

あなたもパソコンを使ってみませんか
   新光分会 畠中常男
一 はじめに
 テレビやラジオのスイッチを入れると「マルチメディア」、「インターネット」などのことばを耳にしない日はありません。 又、あなたのおうちでもお子さんがテレビゲームで遊んでいたり、炊飯器やエアコンもコンピュータで制御されています。
 そうです、私達が意識するしないに関わらず日々の暮らしは無数のコンピュータに支えられて快適に過ごせる訳です。
 しかしながら、「コンピュータ」と言うと、「いまさらこの年で」とか「そんな、ややっこしいもの」とおっしゃる方が多くおられます。と、おっしゃるのはもっともで複雑そうなキーボードやカタカナ語だらけの手引き書をみれば、誰だってそう思うでしょう。
 でも、あなたのお子さんはどうでしょう、だれも教えないのにろくに説明書も読まないでテレビゲームやワープロを自由自在に使いこなしています。
 そうです、パソコンとの正しいつきあい方は手引き書を読みながら正しく学習することではなく「習うより慣れろ」なのです。
二 あなたも、ワープロからはじめませんか
 ご存知のように、「ワープロ」とは、編集自在の賢いタイプライターです。視覚障害者用のワープロは比較的早くから開発されており、約十年の歴史があります。
 当時は、パソコンの性能も低く、点字の漢字を習得する必要もあり、一部のマニアが使っているだけでした。
 でも、最近の視覚障害者用のワープロは音声の案内を聞きながら点字タイプライターを打つ要領でかな文字を入力し、漢字に変換すれば墨字の文書を書くことが出来ます。
 和歌山市でもふれ愛センターのデー・サービス事業の一科目として、「点字ワープロ」の講座が開かれていますので、是非あなたも参加してみてはいかがでしょうか。
三 ますます広がるパソコンの活用
 本棚をうめ尽くす膨大な点字の辞書も今や、小さなCD一枚に納まるようになり、パソコンを使えば簡単に検索できます。
 又、一部の視覚障害者の間ではパソコン通信で情報を収集したり、健常者と電子メールをやりとりしたりしています。
 まだまだ、パソコン点訳やデータの管理など、その応用は工夫次第です。
 是非、あなたも「若干の好奇心」と「習うより慣れよ」の楽な気持ちで「まず、ワープロから」パソコンに挑戦してください。

ご存知ですか? こんな話
   弘親分会 沢田留司
 「みなさんはタイは好きですか? 今日はこのめでたい席に行けば必ずと言ってよいほど見ることの出来るタイについて少しだけふれてみたいと思います。
 この魚は世界中に分布し、淡水魚、熱帯魚、形や色が全然違うもの等、その仲間は三百種類を越えます。普通、我々が口にするタイは正式名称をマダイと言い、わが国ではその姿、色、めでたいと言う言葉につながることから、特に江戸時代のころより珍重されるようになりました。
 漁法として釣りと網があるが網のものより一本釣りのものの方が傷も少なく高値で取り引きされます。しかし、最近養殖技術が格段の進歩を遂げ、その占める割合は四十%を越えると言われています。その、養殖の方法におもしろいことを耳にしました。それは、いい赤色を出すため、生け簀に日焼け防止の網を張ったり、今まで餌はイワシ単一だったものをタカの爪やイカなどを混ぜ、色々工夫しているとか。と、言うのは、最近の研究でタイの持つ赤色はエビやシャコなどを食べることにより、その中に含まれる色素を吸収することにより出るのが分かったからです。ところで、みなさんは、陳列棚で売っているタイの刺身はほとんどがニュージーランドからの輸入ものだと言うことはご存知ですか?
 魚法はまるで異なり三十キロメートルもの延縄に三百本の枝針を付け、調子がよければ一度に百匹もの大ダイがあがってくるとのこと。しかし、ここでも例にもれず日本人の需要の多さに乱獲がたたり、窮地に追い込まれつつあるようです。残念なことですね。
 ここで、その食べ方を一つ二つ紹介すると、ごくシンプルな塩焼き、刺身、あらだきの他、小さ目のものはまるごと薄く輪切りにして、酢味噌で食べる背越し、切り身の味噌漬け、又は、パン粉をまぶしてバターかオリーブで焼いて、ちょっと洋風にしてみるのはどうでしょうか。
 以上マダイについてふれてみましたが、その高級魚の座をずっと保つのか、はたまた誰でもいつでも食べれる大衆魚になるのか。みなさんはどちらがご希望でしょうか。
 さて、みなさんどうですか? 今夜あたり・・・ 玄海灘や鳴門、和歌山の加太の荒海でもまれた、しかも一本釣りで釣り上げたマダイの刺身を前にお気に入りの地酒で一番大切な人か気の合った友達同士で一献傾けてみては・・・

 クイズコーナー 
 今回は本誌の内容をヒントに出題します。しっかりお読み頂き、ふるってお申込下さい。正解者のうち抽選により五名の方に賞品をさしあげます。
 「問題」 次のア〜オに関係する数字の合計をお答え下さ     い。
 ア、点訳グループ「みちしるべ」に点訳を申し込む時の電  話番号に使われている数字の合計。(市外局番は無視)
 イ、バリアフリーを提唱している施策は平成八年から何年  間のものか。
 ウ、タイの仲間は約何種類あると言われていますか。
 エ、視覚障害者用のワープロの歴史は約何年か。
 オ、機関誌「白い杖」の発刊数。
申し込み先 〒六四〇 和歌山市園部一二一五の四
     宮本 克二
閉め切り 平成八年四月三十日
発表  景品の発送をもってお知らせいたします。

編集後記  
 編集部        
 和歌山市視覚障害者福祉協会機関誌「白い杖(二十四号)」を発刊出来ましたことは大変うれしく思います。
 今回は会員コーナーにお寄せ頂きました原稿も昨年よりも多く、又、内容も興味深いものとなり編集担当者としても喜んでおります。又、クイズにつきましては、皆様方が気楽に参加して頂けるものとしました。
 これからも、皆様方にご愛読して頂く機関誌にして行きたいと思います。
 最後に、この機関誌発行に当たり、ご協力くださいました方々に心より感謝申し上げます。

  入会のおすすめ
  本会は、和歌山市内に居住、身体障害者手帳をお持ちの視覚障害者なら、どなたでも入会して頂きたい団体です。県盲人協会を通じて日本盲人会連合につらなり、市身体障害者連盟を通じて県身体障害者連盟に属しています。
 私達、視覚障害者の福祉を高めるには、何といっても組織を強めなければなりません。その一つの策は、会員を増すことです。力が足りないため思うことの大部分は絵に描いた餅に終わっているのが現状です。未加入の方は、知友とおさそい合わせになってお入り下さい。手続きは至極簡単。入会の意志を会長あて申し込んで頂くだけで結構です。詳しいことは、その時連絡いたします。

 ☆事務所  
  〒六四〇 和歌山市太田五八六番地の八  
   北山 豊
 電話  七一局 七一九四  




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