白い杖 第29号


和歌山市視覚障害者福祉協会機関誌「白い杖」

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 巻頭言
   会長 山嵜景生
 桜のつぼみもほころび、人々にやる気と希望を持たせるような季節になりましたが、皆様いかがおすごしでしょうか。
 2世紀にまたがって生きる私たち、その幕開けの時を無事に迎えましたことを謹んでお喜び申し上げます。
 平素は本会発展のためご尽力いただいている皆様に衷心より厚く御礼申し上げます。
 私は昨年4月再び会長に選任されました。お引き受けした以上は皆様の期待に応えられるよう全力で頑張っていくことをお誓い申し上げます。何卒皆様のご協力をお願いいたします。
 さて、私は次の2点から福祉は後退すると考えています。
 その1つは昨年4月にスタートした介護保険です。本会の会員の多くは45才以上です。75才を越えますと身体障害者福祉法からはずれるため、サービス料がかかります。今は3パーセントでも近い将来10パーセントになるでしょう。それと視覚障害者の場合、要介護1程度で認定が低いことにも問題があります。
 その2つは老人医療です。今年1月から定率性に変わりました。たぶん負担が増えるでしょう。やがては、障害者であっても医療費の負担を求められることになるのではないかと考えています。
 このような状況を踏まえ、これ以上福祉の後退を招くことの無いよう取り組んでいきたいと思います。
 最後に皆様のご健勝とご多幸を祈念申し上げ巻頭言といたします。

和視協平成12年度事業実施報告
   書記 滝本金作
会議
執行部会 4回。理事会 4回。
市連盟理事会 4回。同代議員会 1回。
連絡 文書10回。電話 数回。その他 若干。
4月2日 定期総会、市ふれあいセンター。出席53名、委任29名。平成11年度事業及び決算の報告と承認、12年度の事業計画と予算案の承認。その他案件の承認役員改選。会長に山崎景生氏、副会長に宮本克2氏と北口豊氏、監事に山崎昇平氏と児島義紹氏が選出されました。次いで会長より会計に柏原善1氏、書記に滝本金作氏が任命されました。
16日 午前執行部会、午後理事会、市ふれあいセンター。上半期の事業計画と総会における、要望と意見についての検討及び審議を行った。
23日 市身連代議員会、市ふれあいセンターにおいて開催されました。
5月14日 市福祉大会、淡路花博、和視協からは48名が参加しました。
6月4日 点字教室、市ふれあいセンター。1行記憶書き、め書き、くだもの野菜名書きの3種目で競技しました。
11日 県視協主催、中途失明者緊急生活訓練、有田郡、13名が参加。テープ講演、プレクストークの操作説明を熱心に受講した。
7月2日 福祉学習会、市ふれあいセンター。株式会社テクノメイトのご協力による視覚障害者が取り扱いやすい各種小物機器及び福祉機器の展示と説明。
8日 県視協会長、北山豊氏の勲5等受賞祝賀会がアバローム紀の国において、開催され和視協から23名が出席しました。
9日 市身連主催将棋大会、市ふれあいセンター、和視協より5名が参加。団体戦は準優勝、個人戦では、弘親分会の大取氏が優勝されました。
8月 20日 県視協主催点字競技会、田辺市民総合センターで開催され、和視協からは4名が出場し河北分会の山崎芳子さんが総合優勝されました。
25日〜27日 盲青年研修大会、アバローム紀の国、13名が参加しました。
9月3日 午前執行部会、午後理事会、市ふれあいセンター、13名が出席し下半期の事業計画について審議を行ないました。
10日 県身連福祉大会、西牟婁郡白浜町体育館14名参加。
17日 市身連福祉対策協議会、市ふれあいセンター、各部会から要望事項を持ち寄り、市側と交渉を持つ。本会からは次の3点の検討を市側に要望した。
1 ガイドヘルパーの利用範囲の拡大と手続  きの簡素化について
2 ワープロ教室におけるインターネット講  習の実施について
3 市交付金の増額について
  24日 緊急特別理事会、市ふれあいセンター。
和歌山市和歌山駅前 周辺整備室長ほか、4名の市関係職員による、和歌山駅前広場の設置と和歌山駅周辺3百メートル以内の整備情況についてのアンケート調査が実施されました。
10月15日 県視協主催俳句大会、御坊市社会福祉センターにて開催され、和視協から12名が参加し団体の部で優勝しました。
22日 社会見学及び文芸大会。那賀郡那賀町にある、華岡青洲の里へ見学に行きました。
29日 市身連主催教育講座、市ふれあいセンター、講師に田中義弘弁護士を招き「身近な法律、裁判の話」についてご講演をいただきました。参加者は16名でした。
12月 3日 文化研修会、市ふれあいセンター。マーシャルファイブによる音楽演奏、文芸大会における俳句の受賞発表、カラオケ大会の3部構成で楽しみました。
10日 市身連主催幹部研修会、和歌浦の太公望において開催され、和視協からは4名が参加しました。
1月21日 更生相談員会及び幹部研修会、市ふれあいセンター。畠中常男氏による「視覚障害者のための、情報収集技術」に関しての講話がありました。
2月11日 午前執行部会、午後市身連主催教育講座、市ふれあいセンター。

消息
 次の方々が各方面より表彰を受けられました。おめでとうございます。
 5月14日、市身連福祉大会において、自立更生を新光分会の柏原善1氏が、内助功労を紀伊分会の宮本員代さんが受賞されました。
 9月10日、県身連福祉大会では、自立更生を紀伊分会の宮本克2氏が、内助功労を畠中志津子さんがそれぞれ受賞されました。
 10月26日、和歌山市社会福祉協議会主催の社会福祉大会において、社会福祉功労賞を紀伊分会の宮本美明氏が受賞されました。
最後に悲しいお知らせとなりました。城東分会の千原出穂さんが12月10日享年80才で、また、河北分会の石野憲1さんが2月3日享年50才でお亡くなりになりました。謹んでご冥福をお祈りいたしたいと思います。

婦人部だより
   婦人部長 北山和代
 本会婦人部も各方面より協力を得ながら盲女性地位向上のため、あるいは親睦を深めながら本年度も次の行事を行うことが出来ました。
 和視脇の女性会員で、まだ婦人部に属されていない方々も1緒にやりませんか。部員1同、心からお待ち申し上げております。
 料理、生け花、茶道、美容講座などそれぞれ専門の講師をお招きし、楽しく受講いたしました。また、野外研修会として金屋町の巨蜂村にて葡萄狩を行い、後清水温泉にてくつろぎました。ボランティアのお手伝いをうけ県の福祉バスにて実のある研修会となりました。
 このような婦人部にこれからも1層のご支援とご協力をお願いしておきます。

会員コーナー
10人10色
   城東分会 北口豊
 「10人10色・百人百様」という言葉がある。これは、文字どおり人は1人1人、物事に対する考え方や価値観が異なるということだろう。最近晴眼者の前で、「視覚障害とは…」などというテーマで、おしゃべりをさせてもらう機会が少し増えてきた。若輩者の小生が、訳知り顔で「目の見えないということとはですねえ…」などとえらそうなかっこうをやっているわけですが、そんな中で「若干の個人差はあるけれど」と付け加えて、「目は見えなくても時間をかければ、ほとんどのことは自分でできます」と紹介しています。そこで、読者の方々に、参考までにご意見をお聞かせ願いたいのですが、私の「目の見えないということとは」という課題のポイントとして、
 @夕焼けや虹・水平線に昇る朝日・遊園地の観覧車などのように、手で触れてみることのできないものに対しての認識が乏しい。
 A「目は口ほどにはものを言わない」つまり、晴眼者の中では目と目で合図すること(いわゆるアイコンタクト)ができるが、我々には難しい。
 B幼い頃に失明したものには、「漢字」や色に関する認識が乏しい。
 C話し相手に面と向かって対話したり、初対面者に対する上手な対応の苦手な人が比較的多いように思える。
というようなことを上げています。このことに対して反論や他にこんなこともあるんじゃないかとお考えの方はお聞かせください。
 さて、本会の役員の末端を汚すようになり、人それぞれに考え方や価値観が違うことを改めて知るようになりました。これはもちろん、1般社会の中ででも当然いえることではありますが、特に我々の間では、その傾向が強いように感じるのは私だけでしょうか?たしかに、いろんな意見があってしかるべきだとは思うのですが、時には「大の大人なのになあ…」と思うこともあります。かくいう小生も子供の頃から、かなりの偏屈なところもありましたが、最近やっと、それに気付いただけでも、少し大人になったのかなと、自負しています。
 なにをかってなことを、そんなにおまえは大人なんかと気を悪くされた方には申し訳なく思いますが、これも「10人10色」の1色ですから…。

IT革命
   紀伊分会 宮本克2
 1月211日、市ふれあいセンターにおいて和視協の幹部研修会が行われた。今回は「視覚障害者のインターネット利用について」のテーマで、新光分会の畠中氏にお願いした。話の内容はパソコンを使って何が出来るかということで、実際にパソコンを操作しながら講演が進められた。
 まず、音楽の鑑賞、音楽CDのデータがパソコンに収納されていてそれを再生するという具合、パソコンがミニコンポに早変わり、続いてCDドラマの再生、ワープロの入力、日本全国の電話帳の検索、インターネットで前もって収録された新聞記事や雑誌内容の再生、あらゆる情報がパソコンから提供されるという実践混じりの講演であった。
 また、講演の中に国が計画中の日本新生プランに関する2000年12月18日付けの毎日新聞ニュース速報が紹介され、視覚障害者に関する話も出されたのでその記事を紹介する。森首相「日本新生特別枠」の配分を決め、大蔵省に指示。森喜朗首相は18日午前、日本新生プランを来年度予算編成で具体化する「日本新生特別枠」(7千億円)の配分を決め、大蔵省に指示した。IT(情報技術)関連に3分の1を超える2504億円を充て、都市基盤整備に2040億円、環境対応に1315億円、バリアフリー化の推進など高齢化対応に980億円を充て、20日内示される大蔵原案に盛り込む。1方、与党は「生活関連重点化枠」(3千億円)の配分を決め、整備新幹線には同枠からの403億円と合わせ750億円を確保、3区間を新規着工する。ITの目玉は、「障害者情報バリアフリー化支援事業」。重度の視覚障害者らが使うパソコン用の音声入力ソフトや大型キーボードの購入費を、国が1人10万円を限度に、3分の2を助成する。事業規模は年間10億円で、国の負担分5億円を計上する。事業は、5年間継続して5万人の利用を見込んでいる。このほか情報通信ネットワーク整備に480億円、インターネット利用教育関連に321億円、電子政府の推進に870億円、サイバーテロ対策などセキュリティー関係に127億円など、5年後に世界最先端の情報化社会を目指す「e−ジヤパン」構想実現のための諸施策を盛り込んだ。
 以上が、記事の内容だが、和歌山市ではどのような対応がなされるのか関係機関に尋ねたところ、まだ、国より通達がきていないので分からないとか、おそらく本誌発刊される頃にはおよその見当がついていることと希望している。
 また、IT講習会の計画が和歌山県でも計画されている、多くの県民にIT(情報技術)になじんでもらおうという主旨で実施されるようだ。視覚障害者に関しては、盲学校と点字図書館が講習会場になりそうだ。みなさんも1度顔を出されてはいかがですか。

1人歩きの重要ポイント10箇条
1、白杖は自分の使いがっての良いものを選び、常用のもの の他に万1のために、予備用を常に携帯する。
2、靴は、比較的靴底の薄く点字ブロックを感知しやすいも ので、自分の足音が周囲に反響するようなやや堅目のもの を選ぶ。
3、真っ直ぐ歩くことはかなり難しいものだが、どうしても 左右にぶれるときは、立ち止まり両方の爪先を揃えて、き ちんと進行方向を向いていることを確認するよう心がける。
4、前後からやってくる、車や自転車などを路肩によってや り過ごした後は、2台目・3台目の来ることもよくあるの で決してすぐには歩き出さない。
5、交差点を渡る時は、音響信号があれば、それを確認する のは言うまでもないが右折や左折の車が突進してくること があるから、2声3声聞いてから歩き出す余裕を持つこと。
6、道に迷ったときは勇気を出して誰かに尋ねることが最良。
7、手を貸してくれたり席を譲ってくれた人には、たとえ自 分に必要がないと思っても、きちんと謝意を表すのが常識。
8、日頃から、フィールドマーカーといわれるポイントとな る電柱とか、標識の鉄柱・溝蓋・家の塀・公衆電話・ポス ト・通り道の駆動音のする自販機・カレーライスやコーヒ ーの香りのする喫茶店や、花屋や果物屋・店頭で音楽を鳴 らしている店・便意を催したときのために行きやすいトイ レ・我々にも気の効いた対応をしてくれる店等々の位置を 常に頭に入れておく。
9、メモ用の小型テープレコーダー・携帯電話・折りたたみ 傘・携帯ラジオなどは常にバッグに入れておく。
10、晴眼者の手引きのあるときにも、現在地の周りの建物の 特徴や道の様子など、可能な限り情報を収集して、1人で 歩くときのために頭の片隅にストックしておく。

クイズコーナー
 「問題」 次のア〜オに関係する数字の合計をお答え下さい。
 ア、参議院議員定数。
 イ、今うわさのUSJの開始日は3月何日か。
 ウ、春選抜高校野球の出場校数は。
 エ、和歌山県における「市」の合計数。
 オ、機関誌「白い杖」の発刊回数。
申し込み先〒640−8483 和歌山市園部1215の4
   宮本克二
閉め切り 平成13年5月20日
発表  景品の発送をもってお知らせいたします。

編集後記
   編集部
 和歌山市視覚障害者福祉協会機関誌「白い杖(29号)」を発刊出来ましたことは大変うれしく思います。
 会員コーナーにお寄せ頂きました原稿は今年は執行部の方ですませましたが、編集担当者としては次回を期待しております。クイズにつきましては、昨年同様、皆様方が気楽に参加して頂けるものとしました。なお、本機関誌の発行に関しまして何か良いアイデアがありましたらご連絡下さい。また、会員の皆様から広く原稿を募集したいと思いますのでいつでも結構ですから係りまでご送付下さい。
 これからも、皆様方にご愛読して頂く機関誌にして行きたいと思います。
 最後に、この機関誌発行に当たり、ご協力くださいました方々に心より感謝申し上げます。

入会のおすすめ
本会は、和歌山市内に居住、身体障害者手帳をお持ちの視覚障害者なら、どなたでも入会していただける団体です。県視覚障害者福祉協会を通じて日本盲人会連合に連なり、市身体障害者連盟を通じて県身体障害者連盟に属しています。
 私達、視覚障害者の福祉を高めるには、何と言っても組織を強めなければなりません。その1つの策は、会員を増すことです。力が足りないため思うことの大部分は絵に描いた餅に終わっているのが現状です。未加入の方は、知友とおさそい合わせになってお入り下さい。手続きは至極簡単。入会の意志を会長あて申し込んで頂くだけで結構です。詳しいことは、その時連絡いたします。

☆事務所
〒640−8319 和歌山市手平3丁目11番8号
  山嵜 景生
 電話 424局 8590



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