白い杖 第31号


和歌山市視覚障害者福祉協会機関誌「白い杖」

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巻頭言
   会長 山嵜景生
 桜のつぼみもほころび、ほほにあたる風も心地よく感じる季節になりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 平素は本会発展のため、ご尽力いただいております皆様に衷心より厚く御礼申しあげます。
 さて、総務庁の統計によりますと、昨年の失業者数は350万人、自ら命を縮めた人は30万人余りという、背筋が凍るような1年でした。このような状況を踏まえ、どう生きるべきかを考えなければなりません。
 本年4月から支援費制度が始まります。ラジオの情報によりますと、施設支援費は2,600億円、在宅支援費は500億円、即ち4対1の割合です。これでは在宅福祉重視とは言えません。まだ不透明な点が多いので、今後更に情報収集に努めたいと思います。また、今年は本会が誕生して50年という節目の年に当たります。皆様の同意を得て、記念福祉大会を開催したいと思っております。その節は全員の参加を希望いたします。これを契機に現在の組織率7%を、せめて10%にしたいものです。数こそ力、力がないために要望のほとんどが通らないのが現状です。この1年間微力な私を取り立ててくださった皆さんに感謝申しあげ巻頭言といたします。

和視協平成14年度事業実施報告
   書記 沢田留司
会議:執行部会 4回。理事会 3回。
市連盟理事会 4回。同代議員会 1回。
連絡:文書10回。電話 数回。その他 若干。
4月7日 定期総会、市ふれ愛センター。出席42名、委任24名。平成13年度事業及び決算の報告と承認。14年度の事業計画と予算案の承認。その他雑件の承認、後役員改選。会長に山嵜景生氏、副会長に宮本克二氏と北口豊氏、監事に山崎昇平氏と畠中常男氏が選出されました。
4月14日 午前、執行部会と第1回理事会、市ふれ愛センター。会の冒頭に会長より会計に幸前勇氏、書記に沢田留司氏が指名され承認されました。上半期の事業計画及びその他雑件が審議されました。
 午後、市身連代議員総会が行われました。
5月12日 市身連福祉大会、大阪ユニバーサル・スタジオ・ジャパン、和視協から37名が参加しました。
5月17日 第55回日盲連福祉大会、滋賀県大津市、和視協から15名参加。
6月9日 点字教室、市ふれ愛センター。1部として、最近の点字情報の話の後、2・5点打ち、記憶書きを行いました。2部として最近の点字機器の説明を講師畠中常男氏より受けました。
 終了後、第2回執行部会を行いました。
6月20日 第1回市身連理事会。終了後、結成50周年記念行事実行委員会。
7月14日 市身連主催将棋大会、市ふれ愛センター、和視協より5名参加。団体戦は準優勝でした。
7月28日 福祉学習会、総合福祉会館。講師に和歌山市役所の坂下先生を招き支援費制度についての話を聞きました。
8月25日 第45回県身連福祉大会、上富田町文化会館。19名参加。
9月1日 午前、第3回執行部会、午後、第2回理事会、市ふれ愛センター。下半期の事業計画及び和視協結成50周年記念福祉大会について審議しました。
9月8日 市身連福祉対策協議会、市ふれ愛センター、各部会から要望事項を持ち寄り、市側と交渉を持つ。本会からは次の3点の検討を市側に要望した。
 @ガイドヘルパーの和歌山市以外への派遣を認めて欲しい。
 A新しく始まる支援費制度が視覚障害者に不利の無いように  して欲しい。
 B市の助成金をこれ以上減額することのないようにして欲し  い。
9月8日 県視協主催点字競技会、御坊市で開催され和視協から4名参加しました。
9月12日 県障害福祉課による紀伊駅バリアフリーの改造についての説明会に参加、総合福祉会館。2名参加。
9月18日 日身連近畿ブロック福祉大会、神戸市で行われ2名参加。
9月29日 県視協主催視覚障害者社会適応訓練、和歌山市中消防署。和視協から15名参加。防災訓練の講義と起震車による地震体験を行った後、和歌山城公園内の歩行訓練。
10月13日 県視協部会委員会。総合福祉会館、盲人ホームの休止等。
10月20日 市身連結成50周年記念福祉大会、市ふれ愛センター、43名参加しました。
10月25日 市社協福祉大会、市民会館小ホール、3名参加。
10月27日 県視協主催俳句大会、田辺市にて開催され、和視協から6名が参加しました。
10月28日 総合福祉会館、松山市視覚障害者協会との交流。会長参加。
11月3日 社会見学(文芸も兼ねる)、参加41名。新しくなったJR和 歌山駅周辺及び地下施設の見学と体験学習。その後、和歌山 城公園へ移動、菊花展等散策や発句を楽しむ。
12月1日 文化研修会、市ふれ愛センター。桂枝曽丸師匠の和歌山弁落語の鑑賞、文芸大会における俳句の成績発表、カラオケを交えてのゲームを楽しんだ。
12月8日 市身連理事会並びに幹部研修会、アバローム紀の国において開催、7名参加。
1月19日 幹部研修会、市ふれ愛センター。宮本副会長による「ベトナム旅行体験記」についての講話を聞きました。
1月26日 県身連幹部研修会、白浜町チサンホテル。2名参加。
2月11日 市身連主催教育講座、ふれ愛センター、15名参加。市役所坂下先生による「支援費制度について」の講演を聞く。午後、第3回執行部会を行う。
2月16日 県視協幹部研修会、南部町「紀州路みなべ」、3名参加。
2月17日 県視協部会委員会、山嵜会長参加。
2月20日 市身連理事会、市ふれ愛センター、5名参加。
3月16日 理事会、市ふれ愛センター。

消息
 次の方々が各方面より表彰を受けられました。おめでとうございます。
 市身連福祉大会において自立更生に城東分会の北口豊さんが、内助功労に紀伊分会の宮本美和子さんが受賞されました。
 県身連福祉大会において自立更生に新光分会の畠中常男さんが、内助功労に西和分会の三原アイ子さんが受賞されました。
 市身連結成50周年記念福祉大会において、市長表彰に北山豊さんと山嵜景生さんが、会長表彰に宮本克二さんが、感謝状に北口豊さんが、特別感謝状に児島義紹さんと寺下一夫さんがそれぞれ受賞されました。
 和歌山市社会福祉協議会主催の社会福祉大会において、社会福祉功労賞を弘親分会の沢田留司さんが受賞されました。

 次に悲しいお知らせをしなければなりません。
 河西分会の北本利明さんが9月21日享年66歳で死亡、新光分会の渋田幸子さんが9月享年63歳で死亡されました。心よりご冥福をお祈り申しあげます。

女性部だより
   女性部長 河野敦美
 平成14年から新しく「女性部」と改め出発しました
 料理講習はもとより、生け花そして、本年度は初めてヘルパーさんの兎田さんのご指導のもと、アクリル毛糸で洗剤のいらないたわしの作り方をかぎ針編みで教わりました。みんなとても好評で、重宝しています。
 福祉バスでのブドウ狩りは、みんな今から楽しみにしています。どうか、まだこの会に入会されていない方も、お誘いのうえ入会してください。お待ちしております。

会員コーナー
「私たちの点字」
   新光分会 畠中常男
 人類に文字文化がもたらされて数千年とも言われますが、私たち視覚障害者には19世紀になるまでは文字の文化がありませんでした。
 一部では、紙に書かれた文字の形に添い針で穴をあけたものや、木に彫られた文字を手で触れるなどして、文字を学習していたようですが、あの有名な塙保己一や杉山和一でさえ、自由に読み書きできる文字は無かったのです。
 1825年に、世界初の盲学校であるパリの訓盲院の生徒だったルイ・ブライユが、軍隊の暗号用の12点点字をヒントに、6点の点字を考案し、我が国では、東京盲唖学校の教諭石川倉次が、50音を表記できる6点の点字の体型を作り、正式に「日本点字」が誕生したのは明治23年とのことです。
 その後、多くの人々のご苦労があり、点字もずいぶん社会に認知されてきました。例えば、点字投票や郵便物の点字での宛名書きを始め、官公庁の広報誌、公的施設の案内板やエレベータ、駅の券売機や料金表、飲食店の点字メニュー、最近ではお酒の缶にも点字が書かれています。この他、コンピュータの利用で新刊書もどんどん点訳されていますし、活字の本との価格差保証や、私の学生時代にはかなわぬ夢であった、辞書の個人所有も可能になりました。
 一方、テープ図書やデイジー図書、また、テレビやラジオでニュースなどを聞いたり、果てはインターネットで情報検索と、私たちの情報収集の手段も本当に多様化し、毎日の生活の中で点字を読み書きする機会がずいぶん少なくなりました。ある調査では、視覚障害者における点字の識字率は10パーセント程度と言われます。これは、いわゆる弱視者をも含めた数字ですから、20から30パーセント程度と言うのがその実数でしょうが、日本人の識字率が90パーセント以上と言うことですから、やっぱり少ない数字です。
 普通字の文字文化に比べればまだまだとも言えますが、かつて無い点字環境・点字文化が確立されつつあります。「文字のないところには文化は生まれない」とも言われます。特に人生半ばにして光を失われた方には点字の収得は大変であろうとは思いますが、私たちの唯一読み書き可能なこの文字に思いをいたし、もっと大切にしようではありませんか。

「パソコンとの出会い」
   東和分会 丸山孝雄
 ITと言う言葉をよく聞いていましたが、自分では本当の意味もわからなくコンピュータを使って、何かをすることだろうと思っていました。そんなおりに和歌山点字図書館で、IT講習会があることを知りました。友達に視覚障害者でも音声パソコンがあることを聞いて知ってはいましたが、自分には難しくとても無理だとあきらめていましたが、本当の初心者講習だと聞き、参加させてもらいました。そこでITの意味を教えてもらいました。ITの「I」はインフォメーション、「T」はテクノロジー、情報・技術で情報のやりとりや処理をする技術のことだそうです。会場で初めてパソコンにふれました。点字タイプライターと同じキー配列で打ちます、タイプライターとの違いは、文字を打つと何を打ったか音声で言ってくれ、取消しやバックも簡単です。一番の違いは漢字・カタカナ・アルファベット混じりの、すみ字が書けることです。
2日間の講習会で、これなら練習をすればいけるのではないかと思い、ノート型パソコンを買いました。昨年の1月から、まずはワープロ機能をマスターすることから初め、毎日日記を書き、今日のトップニュースを書いて、練習しました。視覚障害者が困ることは、漢字で音読み・訓読みしてくれるのを聞いて、判断するのが難しかったです。でも、初めて漢字混じりの文章がプリンターから出てきた時は、感動しました。また、昨年の8月にインターネットと接続しました。パソコンの良いところは初心者にも出来ることにあります。
 今は、友達とメールのやりとりをして、楽しんでいます。また、インターネットで新聞を読むのが楽しみです。趣味でも、川柳をメールで送ることもでき、ダイエーホークスの好きな私にとって、ネットラジオが楽しめるのが最も嬉しく、ダイエー対ライオンズの放送を楽しみにしています。これからもパソコン教室や先輩方にお世話になり、いろんなことが出来るようになりたいと思っています。

「サウンドテーブルテニスをしませんか?」
   副会長 北口豊
 「いったいそれってなあに?」という声が聞こえてきそうですね。これはね、この間まで「盲人卓球」と呼ばれていた視覚障害者用のスポーツです。「盲人野球」がグランドソフトボール、「盲人バレーボール」がフロアバレーボールとそれぞれ名前を変えたように、これまで全国各地区で、少しずつルールに違いがあり、そのために全国大会などでは、そのルールの解釈からトラブルが絶えなかったというのが一つと、いわゆる「盲人」だけのスポーツじゃなく、これからの高齢者社会に於いて、誰でも視覚障害者と一緒にスポーツを楽しもうという考え方から、全国統一ルールとして大幅な改正があり、各地でその統一されたルールで、大会が催されるようになっています。このサウンドテーブルテニスの 旧ルールとの主な相違点は、@球を打つ時のラケットと卓球台の角度が60度以下に倒してはいけないということ。Aサーブの際にはラケットとボールは最低10センチは離さなければならないということ。Bサーブでもラリー中のスマッシュでも打球音がかんかんと明確に聞こえるものでなければホールディングとされる。C名称が「サウンドテーブルテニス」となったということ。といったところでしょうか。だから、今までならサーブだけで勝負が付いてしまうようなところがありましたが、そういう意味では、コーナーをねらう緩いサーブを打つ選手が増えたように思います。従って、ラリーに持ち込まれた時に、どれだけそのラリーについて行けるか、また、どれだけ相手のペースやリズムを狂わせるかという駆け引きなどに妙があるようで、上位入賞者は、その辺の技術が長けているように思いました。だから、ルール改正のおかげか、かなりの高齢の選手の参加が多かったということはサウンドテーブルテニスを楽しめる年代が広がったのではないかと感じましたし、「スポーツ」と言えばかなりの体力を必要とするものだとお思いでしょうが、これは、適度な運動量ですし、ゲーム感覚で楽しめます。実際いつも大会ではサーブで負けていた小生でも、もうすぐ五十路に手がとどく年代になっても、なんとか試合になりそうな気がするのです。ただ、悲しいことに卓球台はかなりの大きさのもので、手軽にそれを楽しもうと思えば、盲学校か琴ノ浦の子供・障害者センターでしか体験できません。市のふれ愛センターや県身連の総合福祉会館などの誰でも行きやすい所に置いてもらえれば、いつでも楽しめ、もっと和歌山にも強い選手が出てくるかも知れないし、今回近畿の大会に参加した連中も腕を磨けるようになるとは思うのですがね。どなたか、卓球台の置ける場所を貸してくれる人はいませんか?。さあ、皆さん!健康保持と体力増進・運動神経・とっさの時の反射神経強化のためにサウンドテーブルテニスをしましょう!!

クイズコーナー
 「問題」 次のア〜オに関係する数字の合計をお答え下さ い。
 ア、ヤンキース松井の背番号。
 イ、鉄腕アトムの誕生日は4月の何日。
 ウ、春選抜高校野球の出場校数は。
 エ、日本における「県」の数。
 オ、機関誌「白い杖」の発刊回数。
申し込み先 宮本克二
締め切り 平成15年5月20日
発表  景品の発送をもってお知らせいたします。

編集後記
   編集部
 和歌山市視覚障害者福祉協会機関誌「白い杖(31号)」を発刊出来ましたことは大変うれしく思います。
 今回、会員コーナーにお寄せ頂きました方々は、メールによる投稿であり、時の移り変わりを実感する次第です。クイズにつきましては、昨年同様、皆様方が気楽に参加して頂けるものとしました。なお、本機関誌の発行に関しまして何か良いアイデアがありましたらご連絡下さい。また、会員の皆様から広く原稿を募集したいと思いますのでいつでも結構ですから係りまでご送付下さい。
 これからも、皆様方にご愛読して頂く機関誌にして行きたいと思います。
 最後に、この機関誌発行に当たり、ご協力くださいました方々に心より感謝申し上げます。

 入会のおすすめ
 本会は、和歌山市内に居住、身体障害者手帳をお持ちの視覚障害者なら、どなたでも入会していただける団体です。県視覚障害者福祉協会を通じて日本盲人会連合に連なり、市身体障害者連盟を通じて県身体障害者連盟に属しています。
 私達、視覚障害者の福祉を高めるには、何と言っても組織を強めなければなりません。その一つの策は、会員を増すことです。力が足りないため思うことの大部分は絵に描いた餅に終わっているのが現状です。未加入の方は、知友とおさそい合わせになってお入り下さい。手続きは至極簡単。入会の意志を会長あて申し込んで頂くだけで結構です。詳しいことは、その時連絡いたします。

☆事務所
 〒640−8319 和歌山市手平3丁目10番8号
  山嵜 景生
 電話  424局 8590

和歌山市視覚障害者福祉協会機関誌
白い杖 第31号
平成15年3月31日
和歌山市視覚障害者福祉協会発行
発行編集責任者 山嵜景生



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