白い杖 第37号


和歌山市視覚障害者福祉協会機関誌「白い杖」第37号




   和歌山市視覚障害者福祉協会機関誌

       白  い  杖
        (第37号)

          目 次

巻 頭 言 ………………………………………………………  1
和視協この1年を振り返って …………………………………  2
女性部この1年の歩み ………………………………………  10
特集1 ためになる? 情報・お知らせ …………………  10
 その1 金融機関における視覚障害者対応
     ATM(自動現金預け入れ払い機)攻略法 ………  10
 その2 補装具及び日常生活用具についての豆知識
                 (20年度版) …… 13
 その3 災害時要援護者登録制度 ………………………… 17
 その4 障害のある方を対象とした     NHK放送受信料の免除基準が変わります ………  17
文芸へのいざない ……………………………………………… 18
ささやかな楽しみ ……………………………………………… 20
特集2 「しろいつえ」のお話 ……………………………… 21
 その1 ジョージの独り言(白杖について) …………… 21
 その2 「白杖は棒!?」 ………………………………… 26
 その3 「消えた白杖」 …………………………………… 28
 その4 「忘れられた白杖」 ……………………………… 29
 その5 「白杖との出会い」 ……………………………… 31
お楽しみ懸賞クイズ …………………………………………… 33
編集後記 ………………………………………………………… 36

               巻 頭 言

                    会長 畠中 常男

 「不景気」・「雇用不安」などという言葉を聞かない日がない昨今ではありますが、今年も着実に春がやってきました。
 皆様方のご理解とご助力を支えに、この一年、無事会務をを終えることができますことを、役員一同、まず感謝申し上げます。
 御承知のとおり、社会環境は厳しく、各方面への私たちの要望についても、なかなか実現が難しい時期が、今少し続きそうです。
 こういった時こそ、会員の方々の力を結集し、辛抱強く前を向き続ける姿勢が必要です。
 また、一人よりは二人、百人よりは二百人、仲間がひとりでも多い方が発言力が強くなります。
 現在、和視協の会員数は、やや増加傾向にあり、110名となりましたが、和歌山市在住の視覚障害者は、障害者手帳を交付されている人だけで、1400名余とも聞いております。
 来年度は、せめて組織率が1割となるよう、皆様方といっしょに努力を重ねてまいりたいと考えます。
 会発展の鍵は会を構成する皆様一人ひとりの手の中にあります。
 今こそ和視協に会員の総力を結集し、明日の輝かしい視覚障害者の生活と福祉向上に向けて取り組んで行きましょう。


和視協この1年を振り返って

                      書記  能澤 義和

 和視協会員の皆様こんにちは、書記の能澤です。 前任者の澤田留司氏よりバトンを受け早1年、アッ!という間の1年でした。
 私自身本会に入会しまだ1年あまりでしたので、当面ゆっくりやればいいわと思っていた矢先の急な拝命でしたので、右も左も分からず!何がなんだかさっぱり分からないままやってきたこの1年でもありました。 ということで、執行部の皆さんを始め、会員の皆様にはかなり迷惑もかけてきたのではないかと、反省もしております。
 さて、私たち視覚障害者を取り巻く最近の社会情勢をみますと、極めて厳しい状況であり、外に目を投じますと、アメリカに端を発した世界同時不況は、我が国の経済にも大きな打撃を与え、100年に1度といわれる未曾有の経財不況を招いています。 街角には派遣切りにあい、仕事も住む家も失ったホームレスの人たちが溢れ帰り、行き交う人たちからも以前のような勢いが感じられません。 当然、多くの視覚障害者が従事する三療の世界にもこの不況の波は押し寄せ、皆さん苦戦を強いられています。 障害者の生活を支える大事な国の政策の一つである障害者自立支援法も、制度が導入され早2年が経過しますが、それについても多くの問題点が浮上し、早くも見直しの声が上がっています。 和歌山市においても、行政を預かる、市関係者のご努力により、極めて限られた予算を本当に苦心され執行されている様子がうかがえます。
 そうした苦難の連続ではありますが、せめて心の中はお互いに明るい灯を点しあおうと皆さん努力されています。 本会でも、この1年間を振り返りますと本当に色々な行事が行われてきました。
 お互いの絆を確かなものとして確信しあう機械としてそれぞれ意義ある行事でした。 関係者のご努力は勿論ですが、参加して一つ一つの行事を盛り上げてくださった会員の皆様の協力の賜物と心より感謝する次第です。 そして、来年に向けて更により良い行事へと発展していくことをお祈りいたします。 以下にこの1年間に行われた主な行事についてその概要を記します。

   〔平成20年〕
 ◎ 4月6日(日) 和視協20年度定期総会 ふれ愛センター 
 出席者43名、委任状31通。来賓は市長名代の小松障害福祉課長、津田市社協会長。メッセージは市長より(代読)、祝電は市議会議長よりそれぞれあった。
 議事:  @総会の各議案は、原案道理可決  A役員改選は現職留任  B書記の沢田氏が退任。
 小松障害福祉課長による自立支援法の改正点について説明: @移動支援で、障害者単身世帯と、障害者のみの世帯では、従来の月10時間に加えて10時間の計20時間とする。 A同社会的理由(公的機関への届け出)や通院については、別枠とする。B視覚障害者に対する点字ディスプレイの交付は、20万円の9割までとし、バリアフリー支援事業の10万円枠とは別とする。

 ◎ 4月13日(日) 県視協女性部総会 県身連会館 
 畠中会長が出席し歓迎の言葉を述べる。

 ◎ 4月20日 和視協執行部会・第1回理事会・市身連代議員総会 
 ふれ愛センターにて、10時から執行部会、11時から理事会、1時30分から視身連代議員総会がそれぞれ行われ、概ね原案通り承認された。
 和視協理事会では書記に能澤、会計に幸前氏が新任された。

 ◎ 4月23日(土) 市役所に点字メニュー3冊届ける。

 ◎ 4月27日(日) 県視協部会委員会 県身連会館
  @19年度事業報告・決算報告・監査報告が承認された。
  A役員改選が行われ、顧問に北山氏、執行部として、会長に渋田氏、副会長に畠中氏、書記に幸前氏、他各部会委員が再任された。

 ◎ 5月11日(日) 市身連福祉大会 
 バスにて京都府宇治市行き、和視協からは介護者と共に42名が参加。

 ◎ 5月18日(日) 女性部社会見学 
 岡公園とその周辺で歩行訓練を兼ねた散策と交流会。参加者18名。

 ◎ 5月20日(火) 市身連第1回理事会 ふれ愛センター 
  @本年度の事業日程、A市身連事務移管について、
  B福祉対策協議会への提案 等が話し合われた。

 ◎ 5月27日(火) 県視協役員会 県身連会館
 20年度の事業日程等が話し合われる。

 ◎ 6月8日(日) 点字教室 ふれ愛センター  参加者17名
  @ナイーブネット・ビブリオネットの紹介とデモ(能澤) 
  A点字と盲学校の歴史について(松下美和子氏) 
  B和視協クイズの発表(北口氏) 等が行われた。

 ◎ 6月22日(日) 女性部手芸教室 ふれ愛センター
 参加者20名でビーズのリストバンド作りを行う。

 ◎ 6月27日(金) 近畿ブロック協議会 京都ライトハウス
 畠中会長が出席。

 ◎ 7月6日(日) 第1回和視協教養講座 ふれ愛センター 
 参加者30名。
 「ふろしきの使い方」ということで、風呂敷き研究会の白川艶子氏による、インスタントバッグやトート包み、ビン包み等実際に行え、楽しく面白い講義であった。

 ◎ 7月23日(水) 
 畠中会長が市の博物館周辺の放置自転車の件で、県視協の渋田氏他と市へ交渉に行く。 市から交通安全対策課課長と、障害福祉課課長他が出席。 市の事情を聞く。

 ◎ 8月5日(火) 第2回市身連理事会 ふれ愛センター
  @平成20年度福祉対策協議会(対市交渉)要望事項について提起される。各団体から出され、和市協からは、
 ・歩車分離型横断歩道交差点には音響式信号機を設置してほしい。
 ・歩道上の放置自転車や看板等の取締りを徹底してほしい。
 ・夜間無灯火の自転車走行や歩道上を横に並んだ走行自転車が多く、歩行者にとって大変危険であり、指導を徹底してほしい。
 ・タクシー券の給付枚数を増やしてほしい。
が出された。
 その他 他の団体からも
 ・駐車禁止除外制度に対する規制を緩和してほしい。
 ・災害時要援護者リスト、特に障害者のみの世帯を早急に作成してほしい。
 ・緊急時手話通訳の派遣をお願いしたい。
 等の切実な要望事項が提起された。
  A9月7日に勝浦で予定される第51回県連盟福祉大会について、行き方、内容等について話し合われた。 なお、その際に宮本監事には会長表彰が、また、澤田元理事には功労金がそれぞれ贈呈されることになった。
  B第1回教育講座について、日程を10月12日に変更すること。
行き先は「稲叢の火記念館」に行くことで決定された。

 ◎ 8月17日(日) 市身連将棋大会 ふれ愛センター
 和視協より大取秀男氏・藤岡英雄氏・山嵜景生氏が参加。
 名人リーグで大取秀男氏が優勝。

 ◎ 8月24日(日) 女性部料理教室 ふれ愛センター

 ◎ 8月26日(火) 県身連と県との話し合い 和歌山県自治会館 畠中会長出席
  @65歳を境にして生じる福祉サービスのギャップについて 
  A自立支援に伴う評価基準について 
  B書類読み上げをホームヘルプサービスに加えることの不都合について発言した。  同日同所県視協法人化推進委員会が行われ、北山顧問と畠中会長出席。

 ◎ 8月29日(金) 和歌山市福祉対策協議会 ふれ愛センター
 和視協から執行部と監事、6名参加。全体で22名参加。 前述の要望事項が各団体から提起され、それぞれの要望意見に対する市当局の回答と見解が説明された。

 ◎ 8月31日(日) 執行部会・第2回理事会 ふれ愛センター
  @点字教室、第1回教養講座、視身連福祉大会、女性部行事等、すでに実施された今年度の事業報告。
  A今後予定の後期事業として、社会見学、福祉学習会、文化研修会、和視協研修会、第2回教養講座、女性部事業等、予定されている行事の計画が提案された。
  Bその他県身連福祉大会や市身連教育講座等、関連団体の行事が紹介された。

 ◎ 9月2日(火) 和歌山市福祉施策についてのヒアリング調査  市役所 畠中会長、北口副会長、能澤書記が出席、市福祉計画策定に対する和視協としての意見を提起した。 今後も福祉計画策定にあたっては極力当事者である障害者の意見を参考にするよう要望した。

 ◎ 9月7日(日) 県身連福祉大会 那智勝浦町体育文化会館 
 和視協から介護者を含め15名参加。 全体で88名。
 宮本克二氏礎賞受賞。

 ◎ 9月14日(日) 女性部社会見学 
 福祉バスにて有田川町松本ぶどう園・二川温泉〈白馬(しらま)〉に行く。参加者は24名。

 ◎ 9月21日(日) 県視協俳句大会 御坊市  和視協は団体で2位。

 ◎ 9月28日(日) 和視協社会見学 
 福祉バスにて、@日盲連記念碑(大阪府貝塚市)、Aイオンモール臨空泉南に行く。 参加者数31名。全員楽しく買い物体験等した。

 ◎ 10月5日(日) 女性部美容講習会 ふれ愛センター 参加者21名。

 ◎ 10月12日(日) 市身連第1回教育講座
バス2台にて、有田郡の「稲叢の火の館」、「白崎海浜公園」に行く。
 和視協から23名参加。

 ◎ 10月19日(日) 和視協福祉学習会 ふれ愛センター  参加者34名。
  @視覚障害者用ATMについて (幸前氏)
  A日常生活用具について (畠中氏)

 ◎ 10月23日(木) 第28回日本身体障害者団体連合会近畿ブロック福祉大会 
奈良県社会福祉総合センターで行われる。 本協会から山嵜副会長出席

 ◎ 11月9日(日) 県視協研修会 ふれ愛センター
  @視覚障害者の新しい情報活用 (畠中氏) 
  A障害者福祉の動向について (県障害福祉課)

 ◎ 11月11日(火) 和歌山市社会福祉大会 市民会館
 河野氏、宮本克二氏が社協会長表彰受賞。

 ◎ 11月16日(日) 第37回盲女性家庭生活訓練事業 県身連会館
 羽山京子先生を講師に招いて講演会が行われた。
 演題は「現代マナーアラカルト」で、22名が参加した。

 ◎ 11月21日(金) 日盲連近畿ブロック委員会 大津市
 畠中会長が出席。
  @笹川会長による近況報告  A補正予算  B情報交換

 ◎ 12月2日(火) 知事表彰 県庁
 紀の国チャレンジド賞の(自立更生者賞)に東克己氏受賞する。

 ◎ 12月6日 市身連理事会・懇親会 アバローム紀の国

 ◎ 12月7日(日) 市長表彰 市役所 
 社会福祉賞に北山豊氏、家族厚労者賞に新原紀代子氏がそれぞれ受賞した。

 ◎ 12月7日(日) 和視協文化研修会 ふれ愛センター  参加者50名
  @文芸大会(俳句や川柳、詩等の入選作品の紹介と表彰)
  Aコンサート(プロジェクトーンの歌と演奏「昭和のメロディー他」)

 ◎ 12月21日(日) 女性部いけばな教室  ふれ愛センター
 参加者は21名。 続いて行われたプレゼント交換会には27名が参加した。

   〔平成21年〕
 ◎ 1月5日(月) 市長へ年始挨拶 市役所 
 畠中会長、山嵜副会長と介護者2名出席。

 ◎ 1月18日(日) 和視協研修会 ふれ愛センター 
 「視覚障害者用誘導装置について」をテーマに講演とデモンストレーション 
 講師は池野通建の内藤氏と久永氏。参加者37名。

 ◎ 1月18日(日) 県視協役員会 ふれ愛センター

 ◎ 2月1日(日) 第2回教養講座 ふれ愛センター
 講演会、参加者30名。
 演者はエフエム和歌山代表 山口昭昌氏
 演題は「地域に根ざすFM開局の裏話」

 ◎ 2月1日(日) 執行部会 ふれ愛センター
 今年度の事業と決算、来年度の事業計画と予算案等について話し合った。

 ◎ 2月8日(日) 市身連第2回教育講座 ふれ愛センター 
 講演会。 演題は「地上デジタル放送について」
 演者は近畿総合通信局職員。

 ◎ 2月15日(日) 女性部童謡を歌う会 ふれ愛センター
 講師に井澤慶三先生を招き行う。

 ◎ 2月19日(木) 第10回日身連近畿ブロック身体障害者相談員研修会 
 神戸市勤労会館で行う。 山嵜副会長出席。

 ◎ 2月22日 県視協部会委員会 県身連会館

 ◎ 3月8日 執行部会、第3回理事会 ふれ愛センター
  @平成20年度事業報告と決算報告について
  A平成21年度事業計画と予算について
  B平成21年度定期総会について、その他を協議する。

 ◎ 3月15日(日) 女性部講演会 ふれ愛センター
 演題は「心の健康について」 講師は生駒芳久先生(精神科医・和歌山県立ここ

の医療センター副院長)
 講演会終了後、平成21年度女性部総会行う。


     〔今年度の主な受賞者です〕

  @9月7日 宮本克二氏礎賞受賞
  A9月7日 澤田留司氏市身連功労賞受賞
  B11月11日 河野氏、宮本氏市社会福祉協議会長表彰受賞
  C12月2日 東克己氏知事表彰紀の国チャレンジド賞 (自立更生者賞)受賞
  D12月7日 北山豊氏市長表彰社会福祉賞受賞
  E12月7日 新原紀代子氏同家族厚労者賞受賞

     〔今年度入会された新会員です〕

堀川武氏 野尻誠氏 中村純治氏 山崎浩敬氏 作部則光氏
金丸卓氏 松廣圭子氏 鍋島加代子氏 岡崎悦子氏 (以上9名)

  〔今年度ご逝去された会員の方です。 心よりご冥福をお祈り申し上げます。〕

 真鍋つむ代氏(河北分会)   作畑光次氏(新光分会)
 楠本晋氏(河北分会)     佐藤もとヱ氏(城東分会)
 柏原善一氏(新光分会)

 (以上です。 最後までお付き合いいただきありがとうございました。来年度も引き続きよろしくお願いします。)

      女性部この1年の歩み

                     部長  寺本 津規子

 大振りの黒の漆椀の中央に、堂々と二つ並んだ白い菊、アナスタシア。 その周りを囲むように、松と黄色い蘭のオンシジュウム、足元には赤い実の南天をさして、花に動きを出すために銀色にコーティングしたオオギヤナギで曲線を作り、最後にお正月を演出するかわいらしい小物を入れて、みごとなアレンジメントで、2008年、年末の行事が終わりました。
 年が変わってから、童謡を歌う会と、精神科医の生駒芳久先生の、「心の健康について」の講演会も無事に終えることができ、胸を撫で下ろしています。
 振り返りますと、この1年、岡公園でお弁当をひろげての交流会。
 ビーズのアームバンド作り、料理教室、葡萄狩り、県視協の第37回盲女性家庭生活訓練事業への参加、美容教室など、今年も会員のみなさまのご協力により、各種の行事を行うことが出来ました。
 女性部の活動に携わるようになり2年目、本年度は、3名の新しい会員さんが増えて、交流もますますの深まりを感じます。
 また、新たな会員さんをお誘いできるように今後の行事に取り組んでいきたいと思います。 参加ご協力いただきました会員のみなさまありがとうございました。


特集1 ためになる?情報・お知らせ

  その1 金融機関における視覚障害者対応ATM
      (自動現金預け入れ払い機)攻略法
      (20年度和視協福祉学習会資料より)

    各金融機関のATMの概要

_紀陽銀行_
 本店と東和歌山支店のATMコーナーに一台ずつ設置されている。
 本銀行の視障者用ATMは、各操作ボタンが触って分かるようになっているが、点字表記をしているわけでなく、タッチパネルを額縁のように考えると額縁の外枠に当たる所に一般の+や−記号を触って分かるように浮き出し文字にして表記していて、その記号の位置から額縁のガラス面に当たる部分に指を滑らせると目的の操作部分にタッチできるようになっている。
 そして、最初にどの記号がどんな操作の時に使用するかを周知しなければなりません。 だから、利用するに当たっては、最初にタッチパネル全体に触れて熟知確認してください。

 _ゆうちょ銀行_
 ゆうちょ銀行および郵便局に設置されているATMのほとんどは、視障者対応で、全国で約2万台設置(但し、機種によって多少操作が異なる)。 イヤホンが必要な機種も有り(窓口で借りる事も可能)操作部ボタン表示は、すべて点字表記が有ります。

_セブン銀行_
 全国ほとんどのセブンイレブン(コンビニエンスストアー)に設置している ATM(全国1万3千台以上)。  県内に40台、市内には26台設置。
 本機は、すべて付属の受話器から聞こえる音声ガイダンスに従い、受話器の内側にあるテンキー(電話機形式)のボタンを押して操作する。

 ここでは、最も使いやすいと思われる郵貯銀行のATMについてその操作法を説明します。 また、他の2社のものについても必要な方は、執行部まで申し出て下さい。

 _ゆうちょ銀行_    ATMの操作手順

 預け入れの場合
(1)イヤホンをセットまたは付属の受話器を持ち上げ耳に当てる。
(2)画面左側奥の「預け入れ」ボタンを押す。
(3)カードを「カード挿入口」に差し込む。
(4)紙幣を「紙幣投入口」にまとめて入れる。
(5)ATMが紙幣をチェックし、金額表示に間違いが無ければ画面手前外側の「確認」ボタンを、間違っていれば「取り消し」ボタンを押す。
(6)カードおよびご利用明細票を取る。
(7)残高が表示されます。
(8)イヤホンを抜く又は受話器を戻します。

 払い戻しの場合
(1)イヤホンをセットまたは受話器を持ち上げ耳に当てる。
(2)画面右外側奥の「払い戻し」ボタンを押す。
(3)カードを「カード挿入口」に差し込む。
(4)指先を「認証装置(指置きガイド)」に乗せる。
(5)ATMにて生体認証を行った後、ご本人様と確認がされた旨メッセージが流れますので「認証装置」から指を離します。
(6)暗証番号をボタンで押す。
(7)払い戻し金額をボタンで押す。
 金額は数字「万」数字「千」「円」のように、必ず「円」のボタンまで押すこと。
(8)払い戻し金額が表示されますので、間違いが無ければ「確認」ボタンを押す。
(9)カードとご利用明細票及び現金を取る。
(10)残高が表示されます。
(11)イヤホンを抜く又は受話器を戻します。

 残高照会の場合
(1)イヤホンをセットまたは受話器を持ち上げ耳に当てる。
(2)画面右外側の「残高照会」ボタンを押す。
(3)カードを「カード挿入口」に差し込む。
(4)指先を「認証装置(指置きガイド)」に乗せる。
(5)ATMにて生体認証を行った後、ご本人様と確認がされた旨メッセージが流れるので「認証装置」から指を離す。
(6)暗証番号をボタンで押す。
(7)カード及びご利用明細票を取る。
(8)残高が表示されます。
(9)イヤホンを抜く又は受話器を戻します。

 ※それぞれのボタンのそばに点字による表記があります。
 ※お預入・引き出し・残高照会の手数料については無料
  提携金融機関のカードの場合は手数料がかかる事があります

3.視覚障害者向けのサービス
 点字によるご利用者様刻印のキャッシュカードの発行・通帳に貼り付ける点字郵便局ではシール・点字によるご利用案内の発行有り。

4.口座開設に関して
 準備するもの:本人確認のための身分証明(運転免許証・保険証・障害者手帳など)と届け出用の印鑑
 ※本人以外(代理人)が手続きに行く場合は、その方の身分証明出来る物
 ※開設書面について、本人が記入出来ない場合、社員による代筆も可能。
 ※点字キャッシュカードや通帳に貼る点字シールや点字による利用案内を希望の際は開設時に申し出れば対応してくれる。

 連絡先:ゆうちょコールセンター 0120-108420
    (フリーダイヤル 平日:8時〜21時 土日休日:9時〜17時)

※なお、昨年県視協が県を通じて県下の各金融機関に働きかけてくれた、必要書類への自筆記入の困難な者に対しての代筆について、先日紀陽銀行から、「お客様のご事情に応じて、融資および相続に関するものを除き、行員が代筆させていただくことになりました」 との回答があったことを付け加えておきます。

 その2 視覚障害者の補装具及び日常生活用具についての豆知識
                       (20年度版)

     補装具の定義

  次の3つの要件を全て満たすもの。

  @身体の欠損又は損なわれた身体機能を補完、代替するもので、障害個別に対して設計・加工されたもの。
  A身体に装着(装用)して日常生活又は同一製品を継続して使用するもの。
  B給付に際して専門的な知見(医師の判定書又は意見書)を要するもの。

     日常生活用具の定義

  次の3つの要件をすべて満たすもの

  @安全かつ容易に使用できるもので、実用性が認められるもの。
  A日常生活上の困難を改善し、自立を支援し社会参加を促進するもの。
  B製作や改良、開発に当たって、障害に関する専門的な知識や技術を要するもので、日常生活品として一般的に普及していないもの。

  備考
備考1. 実際の価格が基準額以下の場合は、その額の1割とする。 ただし、1月当たりの負担上限額を申請者の世帯の所得水準に応じて次の通りを定める。
 ア 生活保護世帯 0円
 イ 市町村民税非課税世帯(本人の収入が80万円以下) 15,000円
 ウ 市町村民税非課税世帯(ア及びイ以外) 24,600円
 エ 市町村民税課税世帯 37,200円

備考2. 実際の価格が基準額を超える場合は、備考1により算定した額にその超過額を加算した額とする。

備考3.※1の点字図書(情報・意思疎通支援用具)については、備考1及び備考2にかかわらず既存の墨字図書の価格を受給者負担額とする。

備考4.この表に掲げるもののほか、市長が給付することを特に必要と認めたものについては、別に基準額を定めるものとする。

     日常生活用具の給付一覧(視覚障害者対象品目抜粋)

     自立生活支援用具

 平成20年10月現在、視覚障害者向け日常生活用具で、和歌山市において給付を受けるとの出来るものは、以下の通りです。

 (以下、品目、対象となる障害等級、上限支給基準額、備考の順)

 @時計(触読式)  視覚障害1・2級  10,300円  18歳以上
 A音声時計  視覚障害1・2級  13,500円  18歳以上
  手指の触覚に障害がある等のため触読式時計の使用が困難な者を  原則とする
 B視覚障害者用録音再生機  視覚障害1・2級  85,000円  学齢児以上
 C視覚障害者用再生専用機  視覚障害1・2級 35,000円  学齢児以上
 D点字タイプライター  視覚障害1・2級  63,100円
  就学もしくは就労しているかまたは就労が見込まれる者
 E電磁調理器  視覚障害1・2級 41,000円 
  18歳以上  盲人のみの世帯及びこれに準ずる世帯
 F盲人用体温計(音声式) 視覚障害1・2級  9,000円
  学齢児以上  盲人のみの世帯及びこれに準ずる世帯
 G盲人用体重計  視覚障害1・2級  18,000円
  18歳以上  盲人のみの世帯及びこれに準ずる世帯
 H視覚障害者用拡大読書器  制限無し  198,000円
  視覚障害者であって、本装置により文字等を読むことが可能になる者
 I歩行時間延長信号機用小型送信機  視覚障害1・2級
  7,000円  学齢児以上
 J点字図書  制限無し 
  主に情報の入手を点字にたよっている視覚障害者(児)
 K点字ディスプレイ  視覚障害2級以上  383,500円  18歳以上(別途後述)
 L視覚障害者用活字文書読上げ装置  視覚障害1・2級
  99,800円  学齢児以上
 M点字器  制限無し  10,400円  学齢児以上
  視覚障害者であって、点字を習得している者
 N情報・通信支援用具  視覚障害2級以上、または、上肢障害2級以上  
  100,000円  学齢児以上
 O火災警報機(2台まで)  視覚障害1・2級  15,500円
 P自動消火器  視覚障害1・2級 消火器 28,700円


   視覚障害者用補装具

盲人安全杖(白杖)  4,400円
義眼  60,000円
眼鏡(矯正眼鏡・遮光眼鏡・コンタクトレンズ・弱視眼鏡)24,000円


  2  身体障害者(児)日常生活用具給付事業の一部改善点

 平成20年4月より、市内にお住まいの身体障害者手帳の交付を受けた視覚障害者2級以上の方は、点字ディスプレイの給付申請をすることができるようになりました。
 基準額は20万円で、基準額内であれば1割の自己負担となります。
 詳しくは【障害福祉課TEL:435−1060】までお問い合わせ下さい。
                 (平成20年市報わかやま6月号)より転載)

 ※点字ディスプレイの支給については、聴覚障害との重複障害においてのみ支給と言う自治体がほとんどです。 本年度より、和歌山市において、支給対象となったことは、以前より皆さんからの要望が強く、ようやく実現をみたものです。 是非多くご利用下さい。

  3 点字ディスプレイについて
 点字ディスプレイは、ちょっと大きめの弁当箱サイズの機械で、電気的に点字のパターンを作り、表示するディスプレイ部と、各種入力キーを持ち、自由に点字を読み書きすることのできる装置です。
 バッテリーを用いた携帯仕様で、職場や学校、外出先で手軽にメモを取ったり、読書をしたり、入力した資料を検索することが出来ます。
 他の点字ディスプレイや、パソコンなどに接続すると、相互に点字文書のやり取りをしたり、内蔵されているメモリに点訳データを保存して、携帯読書機として活用できます。 また、パソコン使用時には、パソコンの画面に表示されている文字を、表示させることもできます。 その他、便利な機能として、時計、ストップウォッチ、カレンダー、スケジュール帳、電卓等の機能も付いています。


   その3 災害時要援護者登録制度

 この制度は、災害時の避難行動に地域の方々の協力を必要とする方に、あらかじめ申出書による登録をしていただき、災害時の避難行動や平常時の安否確認に役立てていただこうとするものです。
申出対象者 災害時に、自力または家族の方の力だけで避難することが困難な方
 ※避難支援者等にご自身の情報(氏名、住所、性別、電話番号、携帯番号、歩行の状況)を提供することに同意が必要です。
申出方法 和歌山市災害時要援護者登録申出書に必要な事項を記入し、返送していただくか、次の窓口に提出してください。
 申出書は、自治会を通じて配布されるほか、次の各課窓口および各支所・連絡所、本市ホームページから入手できます。
【福祉保健総務課TEL:435-1053】  【介護保険課TEL:435-1190】
【障害福祉課TEL:435-1060】    【高齢者福祉課TEL:435-1063】
【保健所保健対策課TEL:433-2261】
(「市報わかやま」平成20年11月号より転載)


   その4 障害のある方を対象としたNHK放送受信料の免除基
        準が変わります

 平成20年10月1日から免除基準が次のとおり変わります。
【全額免除】
●「身体障害者」「知的障害者」「精神障害者」が世帯構成員であり、世帯全員が市町村民税(住民税)非課税の場合に、全額免除となります。
※従来の「身体障害者」「重度の知的障害者」から対象を拡大します。
※生活状態の条件を「市町村民税非課税」に統一します。
【半額免除】
●視覚・聴覚障害が世帯主で受信契約者の場合に、半額免除となります。
※視覚・聴覚障害者の免除基準の変更はありません。
●重度の障害者(身体障害者、知的障害者、精神障害者)が世帯主で受信契約者の場合に、半額免除となります。
※従来の「重度の肢体不自由者」から対象を拡大します。
詳しくは【NHK和歌山放送局営業部TEL:426−7000】
【障害福祉課TEL:435−1060(身体障害者、知的障害者)】
【保健対策課TEL:433−2261(精神障害者)】
            (「市報わかやま」 平成20年10月号より転載)


      文芸への誘い(いざない)

 本会には、三宅保州先生を講師の川柳と、渡辺町子先生を講師の俳句を楽しむ文化部があり、12名の会員が作句を楽しんでいます。
 上手下手は関係なく、少しでも興味のある方は、一緒に始めてみませんか。 通常は、奇数月に川柳を、偶数月に俳句をそれぞれ作句したものを各先生に郵送し、それに対する指導やコメントをいただき会員に届けるという通信法でご教授いただいており、年に1度先生を囲んでの句会も行っています。
 では、会員の作品を以下に紹介します。

  川柳

   課題=「梅」
 窓開けて梅の香副えるご飯時      (一歩)
 三勺の梅酒力にプロポーズ     (途夢太郎)
 梅の香を運んでくれた春の風      (照明)
 梅林で焼肉をする無頓着        (孝雄)
 梅祭り宇宙へ飛ばす梅の種        (薫)
 梅茶漬けにすっぱい顔の酔っぱらい  (志津子)

   課題=「なるほど」
 なるほどと小膝叩いて褒めちぎり    (照明)
 ヘエこれが三つ星ですかこの味が  (途夢太郎)
 天引きをされても後期高齢者      (一歩)
 なるほどと知ったかぶりして恥をかき  (敦美)
 温度差も落としどころに納得し     (孝雄)
 なるほどねこの親にしてこの子有り    (道)
 なるほどねすごいすごいと褒め殺し   (義和)
 騙されたなるほど今日は四月馬鹿   (志津子)

   課題=「明日」
ささやかな幸せ願い明日を待つ      (敦美)
この窓もあの扉にも明日は来る    (途夢太郎)
運動会寝る前にまた星を見に       (孝雄)
明日が有る明日が有ると無精する     (和代)
小銭でも貯めて明日への貯金帳      (一歩)
明日こそは良いこと有るよう床に着く    (道)
ベッドから明日も来てやと母の声     (章夫)
明日を待つ今日一日の長いこと      (義和)
明日担うはずの若者何故荒れる     (志津子)

   課題=「薬」
公然と効能書けぬ鼻薬        (途夢太郎)
内科医の庭に一鉢いしゃいらず      (一歩)
そんなにも薬飲まない馬だって      (照明)
薬より妻の作った三分粥         (孝雄)
若い内少しのミスは良い薬        (義和)
人情も共に詰めてる置き薬        (章夫)
薬剤師の気配り嬉しサインペン     (志津子)


   俳句

 沈丁花香の漂う道散歩する        (道)
 初鰹舌鼓打つ今日の幸         (和代)
 熟れし枇杷盲しいの我に触れさせり    (豊)
 門柱に家長気取りや雨蛙        (孝雄)
 サクランボ奇麗に見せて置き土産    (義和)
 ネーブルのぽつんと一つ篭の中     (和郎)
 里人の迎えしくるる花薊        (俊恵)
 激論を避けて出づれば蝉時雨      (和代)
 亡き母の箪笥置き換え涼しけり     (俊恵)
 棟梁のねじり鉢巻夏至の朝       (孝雄)
 米寿にて生きて来し方振り返る      (道)
 微睡みの鼻先飛びぬ蠅一つ        (豊)
 熱帯夜句を幾度たびも推敲し      (和郎)
 野甘草三株四株と咲きにけり       (薫)
 天高し拳突き上げテープ切る       (豊)
 寄せる波も帰る波にも音は秋      (俊恵)
 雨戸繰る手にひんやりと今朝の秋    (和代)
 病とも折り合いをつけ月見かな     (孝雄)
 新米の茶粥供えし手を合わす      (義和)
 まだ出番有るかのごとく秋団扇     (和郎)



   ささやかな楽しみ
 
                     東和分会 北山和代

 皆さん、今時百円玉一つで何が買えますか?子供にお駄賃としてあげても喜んではくれません。 ところが、それが私達老夫婦の楽しみの一つであります。
 毎朝一段落したところで、「郵便局へ行ってこう」の合い言葉にどちらかの財布から百円玉を取り出し、決めている細長くて丸い缶に入れているのです。 と言ってもほとんど私の財布から出ています。
 夫の方から言い出して始めたのはまだ少し冷たささえ残る4月1日から「今年度中やってみよう、そしたら36500円になる。 もし入れ忘れても3万5〜6千円というお金が貯まる。 春の洋服でも買えるから」との発想で始めたものの最初の内はよく忘れて、お盆休みに暇に任せて数えてみると幾らかが足りなくて「やっぱり忘れるんだなあ」と言いながら百円玉を家中探して入れたものでした。
 今ではもう習慣のようになってしまっています。「また正月頃数えてみようかなあ」と言い合っています。
 いまでは、もう入れるのに缶の蓋だけを持ち上げただけで底から持たなくても蓋が開き、入れることができるほどの重さになっています。 2人が手の空いている時など、出してきてその重さを楽しんでいます。 でも、絶対に蓋は入れる時以外は開けないことにしています。 細かいお金が必要な時でも、これだけは手を付けず、無いものと決め込んでいます。 そんな子供っぽいことをと想われるかも知れませんが、私達のささやかな楽しみの一つとして続けています。
 はたして、今年度中続くか否かは定かではありませんが、楽しんで行くつもりです。



    特集2 「しろいつえ」のお話

   その1 ジョージの独り言

 皆さんこんにちは、僕は折りたたみ式白杖のジョージです。友達はみんな僕のことを「ジョー」って呼びます。
 皆さんは白杖についてはすでにご存じの方がほとんどだから今更自己紹介をすることもないんだけど、再認識のためにあえて書かせてくださいね。
 僕は、去年の秋、ご主人の途夢太郎旦那の所にやって来ました。
 僕は旦那にとって10数本目の杖のようなんですが、普段は玄関脇の傘立ての中で居眠りをしてるけど、お出かけの際の緒ともをしています。 毎朝の散歩には先輩の直杖のゲンじいさんがお付き合いしています。

過去にこの途夢太郎旦那にお仕えした僕の先輩達の話しによると、昔はよく働かされたものだとぼやいてましたよ。 旦那は、自宅から片道1時間ほどの和歌山城の近くの病院に勤めておりましたので、いつも僕の先輩達が緒ともしたのですよ。 先輩達に聞いた話しによると、けっこう人使いというか杖使いというかが乱暴で、自転車のおばさんとぶつかり、その自転車の車輪に巻き込まれお暇を出された杖から、車のタイヤの下敷きになっておはらいばこになったもの、けっこう気に入られてボロボロになるまでこき使われたカーボン製の直杖さん、細くてイケメンだというふれこみに釣られてやって来たのに旦那にはあまり大事にされずに今じゃ予備杖としてバッグの隅に詰め込まれているやつ、スマートだけど格好ばっかりで旦那に嫌われて家出してしまったやつ等々、いろんな先輩がいたようです。

 さて、僕が旦那の元にやってきた経緯について少しお話ししましょう。
 我々は、日盲連の盲人用具販売所に始まり、全国各地のライトハウスなどの視障者関連の購買所(そうそう、最も近くでは駿河町の県身連の事務局にもあるよ)などで出番を待ってます。 中でも僕の出身の、大阪のJ社の仲間は、エリート揃いだと自負しています。
 で、ご主人様方から、電話やメールなどで注文があれば、直接現金の振り込みで受け渡しされる場合と、取引先に注文を入れて販売所からお国の公的補助(補装具申請)を受けるための書類を送ってもらい、地元の役所にその書類を提出して杖の代金の9割を役所から、1割をご主人様の自己負担として販売所に支払って受け渡しされる二つの場合があるんです。
 補装具の場合の申し込み手順は、先に役所の福祉課に身障手帳・印鑑・必要書類を副えて申請しても良いんです。 なお、自己負担分(基準額の1割分と超過の場合は+追徴分)は、販売所から送られてくる振り込み用紙で郵便局から支払う場合が多いようですね。

 実は、僕もその公的補助「補装具」で今の旦那の元にやってきたのですが、大きな声では言えませんが、旦那は「補装具」だったら、全額公費補助を受けられると思っていたのですよ。 以前の制度では補装具は全額補助だったので日常生活用具は利用者1割負担になったことは知っていたようですが、恥ずかしいったらありゃしないですよ。
 旦那の話によると、以前補装具だった点字機が日常生活用具に変更された時、旦那の仲間からその変更に対して反対の声が大きかったので、補装具は「自立支援法」になっても全額負担だと勘違いしていたようですね、やれやれ。
というのが、僕と旦那との馴れ初めです。

 じゃあ、ここからは我々白杖について百科事典に紹介されているものやお国が法律として定めているものについて改めてお話しすることにします。あっ!ページをめくらないでぇ!!

 先ず、法律上の問題についてですが、以下のとおり、道路交通法でこんな規定があります。

1.道路交通法と白杖。
第14条
目が見えない者(目が見えない者に準ずる者を含む)は、道路を通行する時は政令で定める杖を携え、または政令で定める盲導犬を連れていなければならない。 なお視覚障害をもちながら白杖を持たずに外出して事故にあった場合には、視覚障害者側の過失として責任を問われることになっている。

  第14条第1項及び第2項
 政令に定める杖は白色または黄色の杖とする。
  第71条
 車両等の運転者は目が見えない者が第14条第1項の規定に基づく政令で定める杖を携え、通行しているときは、一時停止し、その通行または歩行を妨げないようにすること。

 ほらほら、法律でこのようにきちんと定められているんだよ。
 1人で歩く時!は、絶対に僕達を連れてってね、きっと役にたつからさ。

   2.白杖の概要。(百科事典 ウイキペディアより)
 白杖とは視覚障害者が歩行の際、路面状況を触擦し、又、ドライバーや他の歩行者、警察官などに注意を喚起して、視覚障害者が安全に街路を歩行するために使用する白い杖をいい、外観は直径2cm程度、長さ1mから1.4m程度のものが一般的である。
 これらは木や竹、軽金属等の各種素材で作られているが、近年ではグラスファイバーやカーボンファイバー等を用いた丈夫で軽量な繊維強化プラスチック製など、非金属製のものが多い。 なお先端で物を叩く音により、周囲を認識するためにも用いられるため、石突(先端部)は一般的な歩行補助器具としての杖とは違い、滑り止めのゴムなどは取り付けられておらず、硬質の素材(金属やプラスチックなど)となっている。
 身体障害者福祉法や福祉用具の分類では盲人安全つえという名称で呼称されている。
 色は、白い杖と黄色い杖がある。 ものによっては地面側20センチくらいが赤色に塗装されているものもある。
 またその役割には他に、障害物や危険からの防御の目的や、存在を周囲に知らせるためというのもあり、特に 「存在を周囲に知らせるため」に関しては、結果的に周囲の援助が自然に受け入れられることにも大きな意味がある。
 又、そのような理由により夜間に車両から視認しやすいよう、反射材を巻き付けてある製品も多い。

 白杖は、中世から視覚障害者が歩行の際に使用していたと思われる細い竹の棒に代わるものとして使われている。 英語ではケーン(Cane:【意味:葦(あし)・さとうきび、のような中が中空になっている植物】)と言うがこれは杖の形態を表したものといえる。 これらは中空と成っていて軽く、また適度に固いために地面を叩いた時と石を叩いた時で明らかに音が違う。 今日の白杖も、同様に使用者に通路の様々な情報を、音によって与えている。

   3.白杖のはじまり。
 昔から、盲人にとって、杖は歩くためには欠かせない道具であったが、現在のように、白くて光沢のある塗装を施した杖を考え出したのは、フランスのある警察官の婦人である。
 彼女は1930年頃、自動車の増加に伴って、視覚障害者が交通の危険にさらされているのを見て、夫の使っていた警棒からヒントを得て、現在の形の物を考えつくとともに、視覚障害者以外の人が白い杖を携行することを禁止させたという。

   4.形態について
 白杖にはストレート式(直杖)、折りたたみ式、スライド式の三種がある。
 ストレート式は主に視覚障害者の単独歩行を目的とした長めの杖 (long cane) であり、折りたたみ式とスライド式は視覚障害者である事を周囲に知らせる事を主な目的として利用される (ID cane) 。
 ただし、実際の利用の際は必ずしも上記の分類通りとはならない。 交通機関の利用や着座時等の収納性を考えて、直杖では無くやや太めのID caneを単独歩行用に利用する利用者も多い。
 折りたたみ式の特許は静岡県浜松市の斯波千秋が保有していたが、現在は特許権が切れている。
 グリップ(握り)は主としてゴルフクラブの物を流用したものが多いようだ。 なおlong caneでは少々無理な力が掛かっても破損し難いように作られてはいるが、ID caneの場合では雑踏に於ける人との衝突や、路面の隙間に突っ込んでしまうと、アルミパイプ等で作られた物などでは簡単に曲がってしまうケースも見られる。 周囲の無理解が、この杖破損に繋がる事もあるので、注意が必要である。
 また近年では、超音波センサーなどを組み込んだ高機能化を図るための物も試作されており、視覚障害者の自立を目指して様々な研究が行われている。

   5.適した長さ
 一般的に言われるのは白杖を垂直に立ててわきの下に挟まる程度が良いとされている。 それより若干長めのほうが具合が良いともされ、又、肩にちょうど合わせる人も居るため人によって様々である。

   6.使い方
 地面にスライドさせる「スライドテクニック」と、離れた2点をタッチしながら歩く「タッチテクニック」(フーバーズテクニック)とがある。
 スライドテクニックでは地面の凹凸に敏感に対応できる効果が、又、タッチテクニックでは音で周囲に自分の存在を知らせる効果が高いようだ。


 ジョーです。 どうかな?知ってるようでも案外知らないことも多いでしょ? ちょっと僕たち白杖について見直してくれたかな?
 白杖は、ご主人様達に歩行時に障害物の存在や危険を教えるだけでなく、回りの人(健常者)にご主人が「目の見えない人」であることを知らせる大きな役目もしているのよね。 これが案外大きな僕たちの仕事でもあるんですよ。 というのは、ご主人様には、眠っているように目を閉じていて、周りの人から一見して目の見えない人であることを分かってもらえる人もいるけど、一見健常者と変わらない奇麗な目をしている人もいるから、そんな人には周囲から目の見えない人であることを分かってもらうことが大切なんですよね。
 単独歩行している時は、言うまでもないけど、手引きをしてもらって歩いている時にでも、白杖を持っていれば、周囲の人が自然に避けてくれたり、そのように対応してくれることが多いから手引きしてくれる人も楽なようだよ。 ただ、白杖を持っていることで、どうしても注目されるから手引きの人の中には嫌う人もいるようだけど、持っていないで肩がぶつかりそれが原因でトラブルになった人もいるようだから、見得やルックスと危険やトラブルを秤に掛けたらどっちが得かを僕が力説することもないでしょう。

 じゃあ、ここからは、僕の旦那以外の人に白杖についての「想い」を語ってもらうことにしましょう。 途夢太郎旦那などに比べてずっと白杖に対する情愛や思い入れが熱く熱く語られているよ。 絶対最後まで読んでね。


   その2 「白杖は棒!?」

                 紀伊分会 尾家章夫

 ある日、いつもの田んぼの中の散歩コースを歩いていると、「おっちゃん、その棒貸してぇー」。
「棒お?」、一瞬何のことかと考えたが、しばらくして、おおっ、白杖のことかと思いつく。
 小学校の1・2年生だろうか、子供達が何人か集まって、用水路を覗き込んでいる。
「何するんやあー」。と尋ねる。
「それはダメだよっ」、と言う声も聞こえる。
 棒と言われて、少しムッとしたが、子供達のことだし、そんなに目くじらをたてて、白杖のことで薀蓄を並べ立てることもあるまい、とあっさりと杖を渡した。 そして、自分はボンヤリトした視力で様子を眺めていた。
 どうも、用水路に落ちたサッカーボールを拾い上げているようである。
冬場の用水路は水は流れていないが、底には水が溜まっていて、いきなり用水路に飛び込むことはできない。
 一人が水に浸かっていない石の上で待っている。もう一人の子が杖でボールをつついて、その子のほうへ移動させてボールを拾い上げるようだ。
 そして無事ボールを拾い上げるのに成功し、その後、「ありがとうございました」。 とキッチリ礼を言って杖を返してくれた。
 彼らの礼儀正しいのに救われた感じがした。 
 その子供達はおそらく紀伊小学校の子供達だろうし、いつも盲学校との交流が行われており、視覚障害者のことや、白杖のことも良く知っていると思うのだが、1・2年生となると、まだそのような交流はされていないのかもしれない。 ただ、「棒を貸してっ」、と誰かが言ったとき、子供達の中にはそれを制止した子もいたようだし、白杖のことは分っていても、ボールを拾い上げたい一心で、相手の心情も考えられなかったのかも知れない。
 視覚障害者にとっては白杖は命の綱であり、肌身離さず持ち歩かなければならないものですが、健常者から見れば、ただの棒って、ことになるのでしょうかね。
 子供だけでなく、世間一般の白杖の認知度はどうでしょうか?。
 いつもの散歩コースの農道でも、それほど広い道幅ではないのに、白杖を持つ自分の脇を猛スピードで通り過ぎる車もあります。 白杖を発見できなかったのか、それとも白杖を発見しても、運転者が歩行者に対する配慮が欠けていたら、そのような運転になるのかもしれません。
 運転免許取得の際、道路交通法を勉強しているはずですが、馴れてくると運転マナーも乱れてくるのでしょうかね?。 ただ、子供や障害者に対する配慮義務については、運転者への道路交通法の縛りは結構厳しいものがあるのですがね。
 また、我々視覚障害者の側にも、道路交通法では白杖携帯の義務があります。 日頃、ごく当たり前に使っている白杖ですが、その内容についてはあまり知られてないように思います。


 ジョーです。尾家さんが遭遇した子供達はまだ優秀ですよね。
 尾家さんも書かれているように、立派な大人の中にも僕たち白杖の存在など何するものぞと言わんばかりのドライバーも多いようですよ。 白杖どころか、人間を引っかけたまま何キロも平気で走らせる輩も多い昨今だものね。 でも、中にはかなり前方から超低速走行になる車もいて、妙にこちらがいぶかるほどのドライバーもおりますね。 それが普通なのに…。

 次は、白杖に纏わるこんなエピソードです。

   その3 「消えた白杖」

                   紀伊分会 尾家章夫

 それは、今から十数年前のことで、私がまだ盲学校に在学中のことです。 毎年春に行われる、盲学校の遠足の日でした。 高等部以上でみさき公園へ遠足へ行った帰りに、南海電鉄の紀ノ川駅で電車を降り、盲学校へ帰るため、駅近くの県道粉河・加太線のバス停でのことです。
 ある全盲の方が突然「誰か私の白杖を預かってくれていますか?」。 と言い出したのです。 周囲の人も突然のことで、なんのことか、と思いながら、「ええ!?、知らんでえ?」、「どうしたん?」、などと言いながら探し回ったが、いっこうに見つからない。
 本人からもう一度そのときの状況を聞いてみると、こうであった。
 その方は財布から小銭を取り出そうと、持っていた白杖を腕で抱え込むようにして、杖から手を離し、ポケットから財布を抜き、小銭を取り出した。 その後、白杖を掴もうとしたが、白杖がなくなっているのに気付き、誰かが白杖を預かってくれているものと思い、聞いてみると誰も知らないと言う。
 周りの者も狐につままれたようで、「エエッ、なんでぇー」、と口々に叫びながら周囲を探して見るが、どこにも見当たらない。
 バスの時間も迫ってくるし、「ホントに持っていたんですか?」、などとその人が疑われる始末である。
 そのとき、「あったぁー」、と叫び声が上がる。
 どこどこと、みんながその部分を注視する。 地面に穴が空いていて、その中に白
杖のグリップの部分が見えると言う。 「エエッ、こんなところに落ちているなんて!、ビックリだね」、と驚嘆の声。
 そのバス停のある場所は用水路に蓋をしたところで、ところどころに排水用の穴が空いている。
 その穴の上でたまたま白杖を手放したものと思われる。 用水路は白杖がすっぽり隠れてしまうほどの深さで、かなりのヘドロが溜まっていて、そのお陰で、杖は垂直
に立ったままだったのが幸いして、付き添いの人達でなんとか、拾い上げることに成功した。
 杖はヘドロで汚れていたが、無事本人に戻り、その後来たバスにも間に合い、何事も無かったように、学校へ戻ることができた。
 最近は溝蓋などもすのこ状のグレーチングのものが多くなっているので特に注意を要します。
 教訓として、白杖を手放すときは地面に注意!。でした。


 ジョーです。こんなことは時々ありますよね。 そんな場合を防ぐために、グリップに取り付けられているゴム紐は手首に通しておくのが賢明でしょうね。 でも、手首に通していて、杖だけ自転車などに持って行かれるような場合があって、そんな時に旦那も転倒するような危険もあるので、けっこう難しいのだけれど、手を通していないと歩行中に杖を取り落とす時がよくあり、落とした杖を路面を手探りしなければならないこともあるので、やっぱり通しておいた方が無難かな? 旦那のあの姿はとても惨めだよぅ。


   その4 「忘れられた白杖」

                   (紀伊分会 尾家章夫)

 大変恥ずかしい話ですが、この一部始終がテレビ和歌山で放送されました。ご覧になられた方もおられるかもしれませんが、以下に記します。
 それは、今から十数年前のことです。 当時テレビ和歌山で放送されていた、和歌山県教育委員会提供の「はばたけ紀の国」という番組があり、教育に関係のある内容を取り上げていたものでした。
 その番組で盲学校を紹介することになったとかで、放送のためのビデオ撮影が行われました。
 特に中途視覚障害者にスポットを当てることになったようで、私たちのクラスを含め、理療科での授業や実習風景。 それに寄宿舎での生活状況も撮影されました。 その一つとして、白杖を使った歩行訓練風景を撮ることになり、その役目が自分に当たったのです。
 歩行訓練の撮影は市内の交通量の多い場所で行われることになり、撮影スタッフが待つ、宇治交差点近くまで、歩行訓練指導員の先生の運転する車で行ったのですが、いざ撮影に入ろうとしたところで、白杖のないことに気が付いたのです。 先生にも探してもらいましたが、車の中には見つかりません。 そこへ担当の女性のディレクターが、そろそろ始めますので、準備をお願いします。 と言ってきた。「チョ、チョッと待ってください」。 と事情を話して謝りを入れる。 その間もビデオカメラを回しているので、「チョッと、それ止めて下さい」、「撮っても、編集では消してくださいね!」。 などとお願いしたが、大事な杖を忘れる、大失態に恥じるばかりで、カメラを回されていてもそれ以上抗議もできず、又その余裕も無く、ただただ平謝りするだけだった。

ことの始まりは、盲学校で車に乗り込むときに白杖を持つのを忘れたことからで、その頃は、片目だけだが、視野は欠けているものの、まだ視力もあったので、歩行時は杖を持ったり、持たなかったり、と中途半端な時期でした。 その日も慌てて車に乗り込んだもので、ロビーの傘たてに置いていた杖をすっかり忘れてしまったのです。
 その後、盲学校の事務長さんがわざわざ車で運んでくれた杖で、無事撮影は終わりました。 ただ、その一部始終をきっちり撮られていて、番組のオープニングのシーンに使われてしまいました。
 改めて、当時お世話になった方々に、謝らなければと思います。

 ことほどさように、中途障害者は白杖を持つことへの気持ちの上で抵抗があったり、まだ大丈夫と言う過信から、白杖を持ちたがらない傾向にありますが、自分を危険物から守るだけでなく周囲の人への警告の意味でも、持つ習慣をつけなければと思いました。
 白杖に関するエピソードは皆さんも多くお持ちのことと思いますが、視覚障害者の命の綱である、白杖のことをよく知り、それを生活の中で行かして行かなければと思います。


 ジョーです。こんなことはよく有りますよね。車の中や出先の机の上にぽつんと置き去りにされたり、ひどい人になると、単独歩行の最中にでもたくさん荷物が有るような時に忘れられたりすることもあるんですよ。 そんな時は僕たちは泣きたくなりますね。
 途夢太郎旦那も最近は歳のせいか、よく僕を独りぽっちにすることがあり、周りの人たちに捜索願を出すことがおおくなったけど、ほとんどはバッグの中に収まっていることが多いみたいだからなんとか許してあげていますよ。
 で、やはり中途失明の方や弱視者には、白杖を持つことに少なからず抵抗があるようで、途夢太郎旦那などは、うるさいくらいに杖の携帯を主張しますが、個人個人で考え方も様々ですし、その人が白杖の必要性を感じた時、持つことの大切さを知った時に持ち始めるのが最適で、他人が決して無理強いするものでもなく、先に紹介した法的根拠やトラブル発声の時の対処は自己責任ですから、それを十分承知の上で持つ持たないは各自の判断に委ねるしかないでしょう。

次も、和視協には最近入会された方の投稿ですが、大変興味深い白杖に関するエピソードを紹介してくれています。


   その5 白杖との出会い

                       白杖王子

 私が白杖をもちだしたのは、平成17年に大阪のライトハウスの寮で寝起きを始めた時です。 歩行訓練を始めるにあたり、白杖を購入しました。 白杖を持って歩き始めて、自分が視覚障害であると実感するようになりました。
 大阪での訓練では、なんて歩くのに便利なんだと思って、振り回してあるいておりましたが、週末に和歌山に帰る時は、和歌山市駅からバスに乗ると、リュックに杖をこそっと隠すようにしまっておりました。 心の片隅に、近所の人にばれると格好悪いという気持ちがあったのだと思います。 今は、そんな気持ちがなくなったのかというと、完全になくなったといえないと思います。 まだ実家に帰省すると、子供の肩をもって歩いておりますし、もちろん、白杖は持っておりません。 このあたりの気持ちが微妙なんですよね。
 白杖を持って、職場に復帰して、周囲に私が視覚障害者であるとの認識が少しずつ広がりました。
 そんなある日、仲間が復職祝いをしてくれました。二次会で、別のグループと一緒になった時、こんな話をされました。 昔、仕事で少し知り合いになって、気軽に話をしていた人ですが、何時からか疎遠になっていたんです。 この人の一言が、今も心に残っております。
 「おまえ、目が悪かったのか。知らなかった。そりゃ、俺が道で手を上げたり、頭を下げてもわからんわな。 早くに知っていたら付き合い方が違っていたのに。 こちらが頭下げているのに無視して、なんてえらっそうな男やて思っていたわ。 目が悪いって思わんかった。」 この日から彼は、私に会うと、近くまできて自分の名前を言ってから話しかけてくれるようになりました。
 このことが有ってから、多分、私のことを同じように感じていた人が沢山いるのだろうなと思いました。 そして、友達を何人も無くしてしまったのかなと思いました。 もっと早く、白杖を持って歩いていたら、無くさなくて良い友達がいたのにと感じています。
 私は、白杖を持ち始めたころ白杖を「魔法の杖」と呼んでいました。外に出ることが苦になって、外に出なくなっていたのですが、白杖を持つようになってからは、1人で外に出歩く事が多くなりました。
 目が見えなくても、この杖があったら歩き回る事ができる、不思議な杖、まるで魔法の杖です。
 最近では、あっちこっちで白杖王子を名乗っています。ハンカチ王子、ハニカミ王子に続く第三の王子、白杖王子を全国区にして、白杖を理解してもらう役に立てればと思っております。
 白杖を持つ、持たないの葛藤が、白杖王子を名乗る事で少し薄らいできたかなと思うようになったからです。
 今、白杖を持つか、持たないか悩んでいる人がいると思いますが、無理して持たなくても良いと思います。 持ちたい時、必要になる時が、皆さんとの白杖との出会いだと思います。
 白杖は、魔法の杖。 人にぶつかっても相手が誤ってくれる、道に迷ったり、困っている時に誰かが声をかけてくれる、そんなことを起こしてくれる魔法の杖です。
 まだまだ全国区に程遠い白杖王子ですが、白杖を持って街を歩く事が普通で、街を歩いている人が白杖を特別な目で見ない日が来ることを望んで、白杖王子が全国区になるよう頑張ります。

 (プロフィール)白杖王子本名 山崎浩敬 やまさきひろたか(河北分会)年齢 40を少しすぎた50近く出身地 和歌山県古座町(現串本町)趣味 酒を飲む事家族 鬼嫁一人 可愛い息子と娘一人ずつ


 ジョーです。中途失明の方々には、僕の旦那のような子供の頃からの全盲者には到底分からない苦い経験がたくさん有るものですね。
 白杖を持つにあたっては、白杖王子さんが体験した葛藤のようなことはたくさんるもので、この民主的な世の中になっても、障害者に対する偏見はまだまだ残ってるようですし、白杖を持つと言うことは、自分は障害者です。 ということを周知するんですよ。 自宅の近所や特に生まれ故郷の田舎では、子供の頃元気で駆け回っていた悪ガキが、杖を頼りにトボトボと歩いているなんて…。 などと思われはしないかと考えたり、郷里に住む兄弟や親戚に対しても、余計なうわさを立てられないかとか、白杖を持ち始めることについては、なかなか勇気のいることなんだとある中途失明者から聞いたことがあります。
 また、弱視者でも、上手に白杖を使って毎日の生活の質を高めている人もいるのに対し、世の中には、僕たち白杖を悪用する輩もいるようで、晴眼者にもかかわらず、公的補助を受けるため不正請求をして、障害者手帳を取得したというとんでもない連中のいたことなどもニュースになったこともありますね。 勿論、それは論外ですが…。

 この「ジョージの独り言」について、ジョージと違うご意見のお持ちの方のお話しも聞きたいものです。 和視協の「教養講座」などでもいつか皆さんとそんな意見交換の機会が持てればと…。
 「ジョージの独り言」に最後までお付き合いくださり、どうもありがとうございました。



        お楽しみ懸賞クイズ

 今回は、和歌山に因んだ問題を集めてみました。
 次の各問題で、下に挙げた選択肢の中から正しいと想う番号をを選び、その合計に本「白い杖」の発行ナンバーを加えた数字をお答えください。 正解者に粗品を進呈します。
 なお、正解は直近の「和視協からのお知らせ」に掲載します。
 応募先  〒641-0013 和歌山市内原871−9 北口 豊 
 Eメール owlmail−from−tomtarotan@silver.plala.or.jp 
 応募閉め切り  平成21年5月10日(必着)
 ※ 解答には、所属分会と氏名を明記してください。
 ※ 電話での解答はお断りします。 

問1 昨年4月に和歌山市に開局したコミュニティーFM局の愛称は何。
  1.FMミカン   2.FMリンゴ   3.FMバナナ
  4.FMキウイ   5.FMマンゴー

問2 昨年7月の第90回全国高校野球選手権和歌山大会の開会式で、始球式をした県立盲学校の全盲女生徒は誰。
  6.山本五十六   7.田口豊   8.倉木真衣
  9.左甚五郎   10.立木早絵

問3 昨年行われた北京五輪で、レスリングフリースタイル60キロ級に出場し、見事銅メダルを獲得した和歌山市出身の選手は誰。
  11.湯本慎一   12.井本健一   13.湯元健一
  14.木元謙一   15.津本健一

問4 欧州モナコにも自宅を持ち、新宮市で生まれ、和歌山県立北高校出身の全国的に知られるウォーキングドクターは誰。
  16.デーブ大久保   17.ケーシー高峯
  18.デューク更家   19.ディック峰
  20.ジャッキー吉川

問5 昨年秋、日本で一番短い川として認定された那智勝浦町の粉白川の支流の長さ13.5メートルの川の名前は何。
  21.プクプク川   22.ピチョピチョ川
  23.ぶくぶく川   24.ブツブツ川   25.雲取り川

問6 漆器や金山寺みそ・梅干しなどの和歌山の物産を販売するぶらくり丁にオープンした県のアンテナショップの名前は何。
  26.よってこ広場   27.ワカヤマーケット
  28.チロリン村    29.スーパーいこら
  30.レッツわかやま

問7 入場券が「学文の路に入る」と読めることから、合格祈願の縁起物として人気の高い南海高野線の駅は何処。
  31.六十谷    32.学文路(かむろ)
  33.天下茶屋   34.極楽橋     35.桜坂

問8 世界で初めて全身麻酔で乳がんの手術を成功させた華岡青洲の住居兼診療所の名前を何という。
  36.玉姫堂   37.ちゃんちゃん堂   38.春林軒
  39.春栄庵   40.都夢太郎庵

問9 平泳ぎ200メートルで、1932年のロサンゼルス大会銀メダル、次のベルリン大会で金メダル。 「前畑がんばれ、前畑がんばれ」と、アナウンサーが連呼したラジオ中継で一躍有名になった往年の水泳の兵藤(旧姓・前畑)秀子さんの出身は何処。
  41.新宮市    42.御坊市    43.海南市
  44.紀ノ川市   45.橋本市



         編 集 後 記

 今号も機関誌「白い杖」(第37号)を最後までお読みいただき、ありがとうございました。 会員の皆様方のご協力により、なんとか発刊することができ、スタッフ一同感謝いたしております。
 本機関誌を作成するに当たり、まず原稿集めに苦慮します。
 そして、次に構成をどうすればより良いものになるかで悩みます。 前回は、思い切って本会の文芸サークルの会員の作品を各記事の間に料理の「箸休め」的に配置しましたが、今回は前々号のようにそれはそれで一つにまとめてみました。 また、皆さんに情報として重要と思われるものをまとめてみました。 また、初めての企画ですが、一般会員からの投稿文が少なかったので、「ジョージの独り言」として、特集のような形で本機関誌の名前にもなっている「白杖」について検証を深め一括記載してみました。 そして、クイズコーナーも、ひとりでも多くの方からの応募があるよう、比較的平易でなじみ深い和歌山県に関する問題を集めてみました。
 何分、スタッフ全員が点字使用者ですので、活字版については、より良いレイアウトが難しく、誤字変換やミスプリなどがあるかも知れませんが、読者の方々の寛大なお気持ちでお許しください。
 最後に原稿をお寄せいただいた方々に対し、紙面をお借りして御礼申し上げ、編集後記といたします。

  和歌山市視覚障害者福祉協会機関誌「白い杖」(通巻第37号)

  発   行   平成21年3月
  発 行 者   和歌山市視覚障害者福祉協会
  編集責任者   畠中 常男
          電話 073-472ー7872
          〒640-8314 和歌山市神前285ー16
          Eメール hatakenaka@jtw.zaq.ne.jp

  編集スタッフ  畠中 常男   山嵜 景生   北口 豊
          能澤 義和   幸前 勇




白い杖INDEXへ トップページへ