白い杖 第39号


和歌山市視覚障害者福祉協会機関誌「白い杖」第39号




和歌山市視覚障害者福祉協会機関誌

白   い   杖

第39号(平成23年3月発行)


目   次

巻頭言 ……………………………………………………………… 1
平成22年度事業報告 ……………………………………………… 2
平成22年度和視協女性部事業報告 ……………………………… 10
あがらの広場 ……………………………………………………… 12
  記憶力 ………………………………………………………… 12
  友達になりたい
  でもなれない〜ならなきゃいけないのに!! ……………… 12
  怖くて震えて不愉快でほっとして、笑えたはなし ……… 13
  かあちゃんの独り言 ………………………………………… 15
  白杖と共に …………………………………………………… 17
文芸の広場 ………………………………………………………… 22
  「若竹」句集から …………………………………………… 22
  「ドングリ」句集より ……………………………………… 23
お楽しみ懸賞クイズ ……………………………………………… 24
編集後記 …………………………………………………………… 25


製作・発行:和歌山市視覚障害者福祉協会
〒640-8314 和歌山市神前285-16 電話073-472-7872
ホームページ・アドレス http://washikyo.org/



巻  頭  言

                     会 長  畠中 常男

 今年もこの機関誌「白い杖」を発行する季節となりました。
 この一年、皆様方には和視協への温かいご支援とご協力を賜り、役員一同まずは御礼申し上げます。
 早いもので、この巻頭言も、平成19年の第35号以来、5回目の執筆となります。毎回大いに悩むのは、いつも同じような内容となってしまうことです。

 さて、この5年間「情報の全員共有」と「楽しい行事創り」に注力しつつ、会務に当たってまいりました。
 その内容として、まず情報の共有ですが、点字やカセットテープによる情報の配信はもちろんのこと、喜ばしいことに電子メディアが大いに活用されていると言うことです。
 会からのお知らせを、電子メールでアドレスをお持ちの会員の皆さん宛てに配信しておりますが、その宛先が全会員の過半数を超えました。また、当会のホームページへのアクセス数が、今日の時点で10578回となっております。
 見方にもよりますが、会員の半数以上が電子メールで情報を受け取り、また年間約2000回ホームページが閲覧されていると言うことに、改めて情報がアクセシブルであることの大切さを知りました。
 次に「楽しい行事創り」でありますが、皆様方からのご発案もあり、いろんな企画で毎回の行事を行ってまいりました。ただ最近ちょっと「ネタ切れ」の感が否めません。是非もっと多くの皆さんからのご提案をいただき、だれもが楽しめる集い創りをしてまいります。
 いろいろ大事なことも多々ありますが、「会の繁栄は情報の共有と楽しい会作りから」と信じております。皆さん一緒に楽しい和視協を作っていきましょう。


平成22年度事業報告

                      書 記 坂井  勉

  平成22年
◎ 4月 4日 22年度定期総会 「ふれ愛センター」 13時30分
      来賓 社会福祉部長 障害福祉課長 市社協会長
         市身連会長 県視協会長
      市長からメッセージ 市議会議長から祝電
      出席者 45名 委任状 38
   議 長 宮本克二 副議長 石野成人
   1. 21年度事業報告と決算報告とその承認。
   2. 22年度事業計画と予算審議とその承認。
   3. その他
   4. 役員改選
   選挙結果 会 長 畠中 常男  副会長 北口 豊  幸前 勇        監 事 松下 淳二・山崎 昇平  当選

◎ 4月18日 10時より執行部会 11時より第1回理事会
       「ふれ愛センター」
   1. 会計 能沢 義和氏  書記 坂井 勉氏の承認と新分会長
(郡みず代氏東和分会・西中利明氏和歌浦分会・宮地良和氏川西分会)。
女性部長(寺本津規子氏)。文化部長(北口 豊氏)。青年部長(幸前勇氏)。の報告。
   2. 22年度前半の諸行事についての審議。
   3. その他

◎ 6月 6日 点字教室 13時30分 「ふれ愛センター」 出席者32名 内 容: 1. 講 演 「点字について考える」   講 師 笹出 和美氏
   2. パネラーに点訳サークル「みちしるべ」の方々を招いての点字に     ついてのディスカッション
   3. 携帯型拡大読書器の展示説明「メガネのタナカ」
   4. 機関誌「白い杖」のクイズの当選発表と商品授与。
   5. 昨年度の日盲連通信陸上大会入賞者沢田留司氏への伝達表彰

◎ 7月 4日 和視協 第1回教養講座
      「ふれ愛センター」 13時30分  出席者 38名
内 容: 日本野鳥の会和歌山県支部の方々7名の講師による講演

◎ 8月29日 執行部会(10時)・第2回理事会13時30分「ふれ愛センター」
   1. 社会見学・文化研修会などの今年度後半の事業についての審      議。
   2. 和歌山市登録の外出移動支援事業所に対するアンケート調査の     実施を確認。その他、ほぼ議案書通り可決。

◎ 9月26日 福祉学習会 「ふれ愛センター」 13時30分
      出席者 19名
  内 容: 1. 地デジ受信機(音声案内付きテレビ)の展示と説明
     2. 携帯電話・プレクストークの使い方
      講 師 県身連堀事務局長・県身連職員(菊池氏)・県視協会          長(渋田氏)・ 和視協 畠中・北口・幸前

◎10月24日 社会見学・文芸大会  参加者39名
  行き先: 福祉バスにて大阪府南河内郡の「ワールド牧場」

◎12月12日 文化研修会 「ふれ愛センター」 13時30分 参加者50名
  内 容: 1. 文芸大会投句作品の発表と表彰
     2. 和歌山ハーモニカクラブの方々による演奏会

  平成23年
◎ 1月16日 研修会 「ふれ愛センター」 13時30分 出席者37名
  内 容: 「障害者に対する給付制度について(視覚障害者を中心に)}
  講 師: 市障害福祉課より高垣課長、山田副課長、給付班から山口氏、      管理班から嶋田氏の4氏

-当日の質問に対する回答の要点-
   質問1 介護保険で通院介助は週3回1時間半の支給量であるが、       不足であるので障害福祉の移動支援で支給できないか。
   (回答) 通院介助は移動支援ではなく通院等介助で支給決定して       いますので、移動支援では支給できません。また、通院等       介助は介護保険優先となっているため、障害福祉サービス       では併給できません。

   質問2 夫婦とも視覚障害者の場合、妻が入院すると付き添いや見       舞いのための移動支援が不足する。また、介護保険の居宅       介護も不足する。妻の移動支援を振り替えるなど良い方法は       ないか。
   (回答) 移動支援については、入院中に限り、社会的理由として必要       量を支給することは可能ですので、担当者に相談してくださ        い。なお、居宅介護については介護保険優先となっているた       め、障害福祉サービスでは併給できません。

   質問3 同一生計(公共料金が一緒)の別居で同一敷地内に健常者       の家族がいる場合、単身世帯で私的理由20時間の支給が       認められるのか。
   (回答) 基本的に住民票が別であれば単身世帯と判断されますが、      生計が同一であることが明らかな場合は、健常者がいる世帯      としてみなされます。したがって、私的理由では月10時間となり      ます。

   質問4 健常者が同居していても仕事でいなかったり、子どももいつ       も言う事を聞くとは限らないので私的理由10時間では不足       する。
   (回答) そのような場合でも、健常者がいるということで10時間しか支       給できません。


◎ 2月 6日 第2回和視協教養講座 「ふれ愛センター」 13時30分
      参加者35名
  内 容: 視覚障害者・高齢者にも出来る簡単健康法〜寝たきりにならず      ピンピンころりと逝くための筋トレ・介護予防講座〜
  講 師: 北上浩之氏・他サポーター5名

◎ 3月13日 最終理事会 「ふれ愛センター」 13時30分
      1. 平成22年度の事業及び・決算報告とその承認
      2. 平成23年度の事業計画と予算審議
      3. その他


関連他団体の事業
市身連関連
◎ 4月18日 市身連代議員会 「ふれ愛センター」 14時
  議長団 北口豊(視覚) 武田(肢体) 西(聴覚)
   1.  21年度事業報告と決算報告とその承認
   2.  22年度事業計画と予算審議とその承認。
   3.  その他
   4.  役員改選
    団体から代表の選考委員会での審議の結果、会長に畠中常男氏     (視覚)、副会長に阪本勇氏(肢体)・馬場昌義氏(聴覚)が選任

◎ 5月21日 第1回理事会開催 「ふれ愛センター」
   1. 新理事の紹介
   2. 今年度の行事日程についての審議
   3. 財政逼迫に伴い規約の見直しにつき、慶弔・功労金細則の改訂     は結論が出ず、次回の理事会へ継続審議となる。
   4. ふれ愛センターの公衆電話の設置場所については、検討の上、セ     ンター事務局1階に設置要請することになり、21日に決定。

◎ 7月18日 将棋大会 「ふれ愛センター」 10時
      和視協から山嵜景生氏出場

◎ 7月27日 市身連のホームページ開設。

◎ 8月 3日 第2回理事会 「ふれ愛センター」 18時
      福祉対策協議会に提出すべき要望事項を各単協別に全10      項目を選別。

◎ 8月31日 和歌山市福祉対策協議会 「ふれ愛センター」 18時
       平成22年度福祉対策協議会 回答書の要点(抜粋)

   要望事項1 障害のある者に対する理解を進める教育を、早期からよ         り充実したものにしてくださるようお願いいたします。
   回 答: 学校教育課=学校では、子どもたちの発達段階に合わせて、      様々な人権問題についての学習を行っています。障害者の      人権問題については、すべての学校で学習が行われていま      す。今後も皆さんのご意見を尊重し継続していきます。

   要望事項2 視覚障害者にも安心して歩けるまちづくりを
   回 答: 交通安全対策課=音響式信号機については、平成22年3月       末現在、和歌山市内で147基設置しています。又、歩車分離型      信号機は、平成22年3月末現在、和歌山市内には24基設置し      ています。この歩車分離型信号機24基のうち音響式信号機を      整備しているのは11基となっております。警察では、限られた      予算内で毎年10基程度の増設と、設置後20年以上経過して      いる古くなった装置の取り替えを10基程度行っています。
      今後とも、視覚障害者の方々の交通安全を図るため、これを継      続します。

      (1)歩道上に設置された、古い点字ブロックの色があせ、弱視       者には大変視認しにくくなっております。改善をお願いいた       します。
   回 答: 交通安全対策課=要望につきましては、現場を調査させて
      いただき順次点字ブロックの塗装を改修させていただきます。

      (2)道幅の広い交差点には、音響信号機とともに、エスコートゾ       ーンを整備して下さい。
   回 答: 交通安全対策課=横断歩道のエスコートゾーンについて        は、平成22年3月末現在で、和歌山市内の17交差点に設置       しています。
      今後、駅・役所・社会福祉施設等の周辺など利用頻度の高い      場所を優先的に選定し、歩道に設置されている点字ブロックと      の整合性を図りながら進めていきたいと考えています。

      (3)JR和歌山駅からふれ愛センターに至るまでの歩道が古く       なり、白杖による歩行が困難になっております。是非整備下       さいますようお願いいたします。
   回 答: 道路管理課=今後、現場を調査して劣化した箇所、歩行が困       難と思われる箇所については、修繕していきたいと考えてい      ます。

   要望事項3 希望する身体障害者家庭の家具等に、転倒防止器具         の設置をお願いします。
   回 答: 総合防災課=地震が発生したさい、家具の転倒等で負傷する      可能性は非常に高く対策は喫緊の課題であると認識して       います。特に、障がいをお持ちの方は家具等の転倒防止器具      を取り付けることは大変困難であることは理解しております。
      今回の要望を受け、今後検討を進めてまいります。

   要望事項4 タクシー券の枚数の増加をおねがいします。
   回 答: 障害福祉課=福祉タクシー制度は、昭和59年度から市の単独      事業として行っており、タクシーへの乗車1回につき500円を年      間24枚助成するものでございます。本市の財政状況を考えま      すと、事業の存続及び継続実施が最優先で増額・増枚は困      難な状況でありますが、今後、行政改革など制度の見直しの      中で関係各課と検討していきたいと考えています。

◎10月29日 第39回日身連近畿ブロック福祉大会
   「和歌山市民会館」 小ホール 11時 和視協より5名出席

◎11月14日 第1回教育講座 和視協から24名参加
   行き先:バスにて大阪歴史博物館・アサヒビール吹田工場

◎11月16日 和歌山市社会福祉大会 和歌山市民会館 13時30分

◎12月 4日 第3回理事会および福祉懇親会
      「アバローム紀の国」 16時
  平成23年
◎ 1月 4日 市長への年始挨拶 11時  和視協から北口・能澤・畠中       出席
◎ 2月20日 第2回教育講座 「ふれ愛センター」 13時
   内 容: 講演 「食の安全確保について」
   講 師: 和歌山県 食品・生活衛生課 食品衛生班

◎ 2月25日 第12回日身連近畿ブロック身体障害者相談員研修会
      「大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)」      畠中会長出席

◎ 3月29日 第4回理事会 「ふれ愛センター」 18時


県視協関連
◎ 4月11日 女性部総会 白浜町
◎ 4月25日 視覚部会 「県身連会館(総福)」
◎ 5月24日 三役会  「県身連会館(総福)」
◎ 6月10日 三役会  「県身連会館(総福)」
◎ 6月13日 県盲人俳句大会 「県身連会館(総福)」
◎ 6月20日 日盲連近畿ブロック協議会 青年部委員会
       滋賀県視覚障害者福祉協会 幸前部長出席
◎ 6月25日 日盲連近畿ブロック協議会 委員会 「堺市福祉会館」
       畠中会長 出席
◎ 6月27日 日盲連近畿ブロック協議会 第1回スポーツ部委員会          「神戸市心身障害者福祉センター」 北口出席
◎ 8月 8日 無免許対策キャンペーン 和歌山駅・和歌山市駅前
       畠中・北口・幸前・松下参加
◎ 8月 8日 県視協点字講習会 「県身連会館(総福)」
◎ 9月26日 三役会議  「ふれ愛センター」
◎11月 7日 第32回近畿視覚障害者フロアバレーボール大会
       「和歌山県立体育館」  和歌山県チーム第3位
◎11月19日 日盲連近畿ブロック協議会 委員会  大阪府
       幸前氏出席
◎11月21日 県視協女性部研修会 「県身連会館(総福)」 畠中挨拶
◎11月28日 県視協研修会 「ふれ愛センター」
       地デジテレビの紹介と消費者問題講座
  講 師: 社団法人全国消費者生活相談員協会職員および県身連職員
◎ 2月27日 県視協部会委員会 「県身連会館(総福)」
◎ 2月27日 日盲連近畿ブロック協議会 第2回スポーツ部委員会          「神戸市心身障害者福祉センター」 北口出席
◎ 3月 6日 日盲連近畿ブロック協議会 青年部委員会
       「大阪府盲人福祉センター」 幸前氏出席

県身連関連
◎ 5月16日 県身連評議員会・理事会 県身連会館(総福)
◎ 5月27日(木)〜28日(金) 第55回日身連福祉大会
       大阪市舞洲アリーナ
◎ 7月25日 囲碁・将棋大会  県身連会館(総福)
       和視協からは山嵜 景生氏・葉華氏出場
◎ 9月 1日 身障者雇用推進キャンペーン  JR和歌山駅前
       畠中参加協力
◎ 9月19日 県身連福祉大会  橋本市産業文化会館
       和視協からは12名出席
◎10月29日 日身連近畿ブロック福祉大会  和歌山市民会館
       和視協から5名出席
◎12月 3日 障害者週間キャンペーン 和歌山駅・和歌山市駅駅前
       畠中氏・坂井氏参加協力
23年1月30〜31日 県身連幹部研修会 白浜町 白良荘
       畠中会長・山崎 昇平氏出席


褒  賞
  5月 9日  山嵜 景生氏 市身連永年功労者賞
 11月16日  市社協、和歌山市福祉大会において、
       河西分会の北本けい氏 市社協会長表彰受賞
 12月 4日  和歌山市障害者福祉賞 能澤 義和氏受賞




執行部役員・理事・新入会者一覧(敬称略)
  会  長      畠中 常男(新光分会)
  副会長兼文化部長  北口  豊(和歌浦分会)
  副会長兼青年部長  幸前  勇(河西分会)
  書  記      坂井  勉(河西分会)
  会計兼新光分会長  能沢 義和
  監査兼河北分会長  山崎 昇平
  監  査      松下 純二
  女性部長      寺本 津規子
  葵分会長      唐門 一馬
  河西分会長     宮地 良和
  紀伊分会長     市川 和郎
  弘親分会長     澤田 留司
  城東分会長     佐野 磯雄
  東和分会長     郡 みず代
  和歌浦分会長    西中 利明

  新入会者
  4月  吉田 稔夫氏(東和分会)  坂田 貴美代氏(河西分会)
  9月  竹原 平氏(和歌浦分会)  10月  久保  健氏(河西分会)
 12月  瀬尾 博志氏(和歌浦分会)


平成22年度和視協女性部事業報告
               和視協女性部 部 長 寺本 津規子

 平成22年度の女性部の活動について報告させていただきます。
 まず初めに、県女性部の行事についての報告です。県女性部総会と交流会が白浜町で、また第39回盲女性家庭生活訓練事業が和歌山市で行われました。
 家庭生活訓練事業では講師に、The Focusing Institute trainerであり、企業メンタルヘルス研修講師などの活動をされている中西一恵氏の『「からだ」からのメッセージを受け取るということ』について、体験型の研修を受けました。
 次に本会の行事についての報告です。まず今年最初の行事は、5月に海南市で行われた童謡を歌う集いに参加して来ました。初めてJRのサポートを受けて車いすの会員さんも一緒に参加しました。
 毎年恒例の料理教室は6月と1月に行いました。
 また予てから希望していた、視覚障碍者が安全で手軽に調理ができる最新の電磁調理器や電子レンジを使っての実習を関西電力で行うことができました。
 7月には、「ヨガを応用した体操教室」。8月は、「解説付き映画鑑賞会」を行い参加者には好評でした。
 9月は、福祉バスを利用して「ぶどう狩り」に行き、昼食交流会でカラオケを楽しみました。
 10月の手芸教室では、希望園の方に講師をお願いして牛乳パックを使って「くまの小物入れ」を作りました。
 12月にはお正月用の生け花教室、プレゼント交換会と交流会を開催しました。交流会の中では近畿ブロック女性会議に出す要望事項として公共施設のトイレの流すボタンの統一化を求める声が何人かから出されました。
 また1日ゆっくり楽しめる視覚障碍者のためのデイサービスを作ってほしいといった、これまでと違った発言もありました。
 2月には喜望園を訪問し、施設見学をさせていただき、入所者の方との交流会をもちました。
 最終行事として3月の講演会では、大阪府吹田市でピアノ・箏・声楽などを教えながら勉強を続けていらっしゃる視覚障碍者の黒葛原富士子(つづらはらふじこ)さんに「日々自分らしく社会と関わって生きるために」という演題で、お話を聞きました。
 本年度も各方面の皆様の御協力をいただき、また参加者に支えられて10回の行事を行うことができました。来年度も新しい方に入会していただけるよう、そして参加いただけていない会員さんにも出てきていただけるように、行事を通じて女性会員相互の親睦を深めるとともに、身近な生活を豊かにしていくための企画を考えていきたいと思います。






あがらの広場
 この広場では、会員からお寄せ頂いたエッセー等をご紹介しましょう。

記 憶 力
                    河北分会 南部 照明

 歳を取ると昔のことはよく憶えているが、今の出来事は直ぐ忘れると言います。そのことに関しては私はまだ憶えている方だと思っていますが、最近人や物の名前が出てこないことがあります。先日も楽団の名前が出てこなくてどうしても思い出せずKさんに電話で聞きました。その時もメロディーはドンドン出てくるのにもうすぐそこまで出かかっているのに何で出てこないんだとイライラしたものです。
 私はカラオケ大好き人間で休みともなると必ず出かけます。ところが肝心の歌詞をさっぱり憶えないんです。ただ、どんなに酔っぱらっていても歌えるのはたった5曲ですが歌詞を見ずに歌えます。カラオケは昭和53年から始めたので32年にもなります。余談ですが昭和53年は1978年で、これに4月26日か6月24日を入れると1から9までの数字が揃うという珍しい年だったんですよ。私は数字に関しては強くて電話番号は得意でした。尼崎にいた頃は会の事務局長を長くやっておりましたので会員すべてを憶えていて、○○さんは何番か104の代わりもしたもので100件以上は知っていました。和歌山へ来て11年になりますが、指折り数えたら26件で、最初に憶えたのは酒屋でした。
 前にも書きましたが私はタイガースファンですが、背番号はテレビを見始めた頃左バッターだけ大写しになったので知っているのと永久欠番だけで選手名鑑を持っているのにさっぱりです。パソコンをもっと覚えると良いのですが能無し野郎です。


友達になりたい、でもなれない〜ならなきゃいけないのに!!

                           兎の嫁

 [やつ]はいつも私の部屋にいる。前を通るたびに「ここにいるよう」と誘ってくる。
 「ちょっと相手をしてやろうかな」なーんて軽い気持ちで手を出すと、これがなかなか手強い。直ぐに機嫌が悪くなって、予想もしていないこと(意味不明)をしゃべりだしたり、時にはピタッと黙り込んだりもする。こうなると[やつ]も相当な頑固者。私の手には負えないので、夫にちょいと機嫌を取りに来てもらう。そんな[やつ]と私がふれあうのは夫が在宅している時がほとんどだ。そんなどうしようもない[やつ]とはお気づきの通り、[パ・ソ・コ・ン]。
 「難しく考えすぎじゃないの?」とか、「嫌だったらやらなきゃ良いのに。」なんてよく言われるが、悔しいことに私の一番の趣味が読書なのだ。現在「サピエ」という便利なシステムもある。誰にも内緒でちょっと覗いてみたい本だってある(かも知れない?)。メル友も増えてきたし、大事なお知らせなんかもメールで来ることが多くなった。いろんなところのホームページも見れたら楽しいだろうな。近頃は「スカイプしよう」と誘ってくれる友もいる。だからこそ、この面倒くさい[やつ]ともできるだけふれあって仲良くなれるように今年の目標にしたいと思っている。


怖くて震えて不愉快でほっとして、笑えたはなし

                         寺本 津規子

 家事も一段落しようかというとき家の電話が鳴った。携帯電話の電波状態が悪いような途切れ途切れの声「もしもし、もしもし、だれ?」。「私絵美やけどねー、急に知らない人に車に乗せられて、どこかわからないところにつれて来られた。」と泣きじゃくる声。急に電話が男に変わり、「そう言う事だから」
 「そこはどこなんですか?」と私。
 「そんなこと言うわけねえだろう。娘さんは今隣の部屋にいます。目隠しして口をふさいで紐で縛ってある。こちらの顔を見られたくないからね」
 「返してくださいかけがえのない大事な娘なんですから返してください」
 「そんなのしらねえよー」
 「あなたには子供さんいらっしゃらないんですか?」
 「そんなこと関係ねえだろう」
 「娘を返してください。私視力あまりないし、苦労して育てた子なんです」
 「そんなのしらねえよー」
 「娘はやっと専門学校にいって、今だってまだ大変な思いして、やっと頑張っている子なんです。だから返してください」 (震える泣き声になりながら)
 「じゃー今からつれていきますから」と男。
 「帰してください」。「裏風俗、裏風俗知ってるか」
 「えー?」(メモ帳を電話の前の机に置き、赤鉛筆で「裏風俗」と書きながら受話器を握りしめている)
 「今から娘さんに薬を打って、眠ってもらって裏の風俗に売りに行きます。裏の風俗に連れて行けば、100万円で買ってくれることになってる」
 「だったら同じ金額を私、お支払いしますから娘を返してください」
 「警察のリスクあるから200万だな。どうだ、200万払ったら娘さん返してやるよ。お母さん払えるか」
 「はい、払います」
 「家にお金200万あるんかよ」
 「家にはありませんが、何とか用意します」
 「家族にも警察にも言うなよ!」
 「はい、言いません」頭の中では(研究所に娘の安否を確認しないといけないし、夫に連絡しないといけないし、警察の電話番号携帯に入っていたっけ?)などと思い携帯電話を足で引きずりよせ、研究所にいれば携帯はロッカーの中だろかと思いながら、娘に電話かけながら男の電話を聞く。子機であれば携帯電話も難なく近くに持ってこられるところを、こともあろうに親機で電話に出てしまったのだ。
 「どうするんだよ。1時間以内にお金用意できるかよ」
 「私、視力がないから今から行くにしても、銀行の通帳探してタクシー呼ばないといけないから、1時間ではチョット無理かも知れません」
 「えー、視力がないって、目がみえねえんかよ。今家に誰かいるんか」
 「誰もいません。私一人です」
 「じゃあー、どうやって金用意するんだよ。本当に用意できるんかよー」。
 「大丈夫です」。「見えねえのにどうやって金おろすんだよー。銀行の通帳は見えるのかよー」
 「通帳を全部持って行って銀行の人に見てもらいます」
 「ハンコは、どうするんだよー」
 「印鑑も全部持っていきます」
 「そんなんで本当おろせるのかよー」
 「大丈夫です。」「銀行で何に使うかって聞かれたら、なんていうんだよー」
 「点字プリンターを買うって言います」
 「えー、本当にそれで大丈夫かよー。じゃー銀行におろしにどうやって行くんだよー」
 「タクシーで行きます。娘を返して」
 左手に親器を、右手に携帯を持ち「絵美さんどこですか」と両手の電話に大声で叫ぶ私。
 「お母さん、娘さんはここにいないよ」
 「駅にいるけど」と言う娘と男の電話の声が重なる。左手の親器を遠ざけて、携帯の娘に「とにかく早く帰っておいで」と言ってから、男のほうの電話に耳をやると、「娘さんはここにいないよ、どういうことかわかりますか?」
 「えっ!」なんて言おうかと考えながら沈黙する私。「今娘さんどこにいますか?」。「・・・じゃあ、これがどういうことかわかりますか?お母さんあまり気の毒すぎて金取れねえよ。振り込め詐欺、振り込め詐欺だよ。こんな電話に気をつけろよ。まあー、そう言うことだよ。振り込み詐欺の電話には気をつけろよ」。と言って電話は切れた。

 どれくらいの間がたがたと震えていたことだろう。その夜に家族みんなで、家族にしかわからない安否確認のための合言葉をきめた。
 そして落ち着かない数日が続いた。
 後になって警察に電話をしておけばよかったかなと思ったが、私の話に、 「一端電話を切ればよかったのに」。「子供のことを信頼できていないから電話が切れなかったんじゃないの!」などと言う人もいて、非難と受け取れるような言葉に不愉快な思いをして、それ以後はこの話をすることはめったになかった。「銀行で何に使うかって聞かれたら、なんていうんだよー」。「点字プリンターを買うって言います」と、背筋が凍るような思いの中でとっさに出た言葉に振り返れば笑えるが、大切な家族の名を名乗られたらどうだろう・・・。
 あれから6年が経つ。現在もあの手この手の振り込み詐欺が後を絶たないようですが、みなさんも被害にあわれませんようにお気を付けくださいね。


かあちゃんの独り言
                          伊達 直也

 冬の山形雪深い新田
 悪いことをするんじゃないよ!きっと誰かが見てるんだよ。
 天井も壁も柱もな。夜なべしながらかあちゃんの独り言。
 水飴の壺に指を入れてなめたら指が無くなるぞ
 いたずら笑顔のかあちゃんに会いたい

 冬の山形クリスマスの夜。こんな田舎にサンタはこねえな
 本当に来ると思うなら靴下つっとけ。でっかいの
 夜なべしながらかあちゃんの独り言
 朝の日差しに太った靴下。値札の付いた駄菓子がいっぱい。
 綿入れ半纏かあちゃんに会いたい。

 春が来て夏が来て、かあちゃんと別れた秋が来て
 悔やむこと思い出す。ごめんねかあちゃんもう1度会いたい
 春が来て夏が来てかあちゃんと別れた秋が来て
 そっと写真を撫でてみる。ごめんねかあちゃんもう1度会いたい

 この歌は小林幸子さんの「かあちゃんの独り言」という歌です。演歌をあまり好んで聴かない私がこの歌を初めて聴いた時に何とも言えない感動を覚えたものです。メロディーを覚え自分で少し歌えるようになってそっと口ずさんでみると声が詰まって熱いものがこみ上げてきて歌えなくなりました。
 私の母は平成元年に旅立ちましたが、7人の子を産み、貧乏生活の見本のような我が家を切り回して無事に子供達を成人させ、まじめだけが取り柄の、私にしては少し物足りない父を見送り、余生を楽しもうとしていた矢先、脳梗塞に倒れて2年の闘病生活の末に逝ってしまった母。この歌を聴いた時に、ついその母を思いだしてしまったのです。
 母の口癖は「子供は手の指と同じで、どの指を切っても痛いもの」というもので、その一つがまた目の見えない子供となってしまったことをずっと自分の責任のように感じていたのだろう。そんな母がよく私に言ったのは「おまえの手は、目の代わりもするんだから手は大事にせえよ」ということでした。その為か、好奇心旺盛な子供時代から、この手はいろんなものを触ってきた。蜘蛛や蛇・ナマズ・ウナギ・ミミズ・ナメクジ等は言うに及ばず、大人になってからは面白いことにその手に頼って日々の生業としているのである。
 そんな私に10年前、新しいかあちゃんができた。当時知り合った女性のお母さんである。
 自分の娘が目の見えない男と交際していることを知った彼女はその男のことをどうやってお父さんに切り出そうかと迷っている娘に「お父さんのことなんか気にせんと自分から家を出ていけよ。お父さんにはおかあちゃんから話してやるから、後のことはどうにでもなるようにならしてよ」と娘の背中を押してくれたのです。その一言で、今の私たち夫婦があるのです。障害者に自分の娘を嫁がせるのには彼女なりにずいぶんと苦しんだはずだ。結局最大の難関だと思っていたお父さんもお母さんの説得で快く私を受け入れてくれたのである。お父さんの叔父に当たる人が緑内障から晩年失明したこともあり、お父さんも子供の頃その叔父に可愛がってもらっていたことから、全く視覚障害者に対する素養がなかったわけでもないことが幸いしたのも事実だ。
 これからは、この新しい両親には世話になり続けるだろうからずっと大事にして行きたいし、いつまでも元気で長生きして欲しいと思っている。
 最後に私の作り貯めた母に関する拙句を紹介して還暦近いマザコン男のつぶやきを終わりにします。

 あかぎれは 母の涙を 知っている
 ささくれの 指が支えた 母の日々
 辛いのに 母さんは何故 笑えるの
 元気かと 一言 母の日に電話
 母の日に 初月給と照れも添え
 提灯は 我が手に持てと母の言
 灯灯し頃 1人母待つ 僕がいた
 介護士を 母さんと呼ぶ 二度童
 愛用の 巾着も入れ 母送る
 もう一度 聴きたい母の 笑い声
 永久に 遺影の母は 古稀のまま
 指は目と 教えた母の 指示守り
 目覚ましは 母の形見の古時計
 仏前に 母好物の おはぎおく
 不器用に 母乗って来る 茄子の馬
 母さんに会い なるほどと納得し
 母の日に 後で鯛釣る エビ贈る
 直送の 母の肉じゃが 飛んでくる


白杖と共に
                         中村 純治
 はじめに
 視覚障害者の歩行においては、ガイドヘルプのように人が手引きして歩く方法と、盲導犬や白杖を使って単独で歩く方法とがあります。
 私の場合、単独では白杖を使用しています。
 皆さんにもご理解いただけると思いますが、白杖を使っての歩行では本当に様々な失敗や恐怖を体験してきました。仲間と飲みながらそんな体験談を披露し合う時もあり、その時は笑ったり驚いたり関心したりと、私にとっては有意義な時間となっています。「杖1本でよくそこまで行けますねぇ」と、同じ1本の杖なのに歩行の技術や精神面の強さに脱帽の連続です。何とかしなければいけないなと反省の日々の中で、現在私が取り組んでいる事を簡単に紹介し「それはいかんで」というご指摘を皆さんより頂戴出来れば幸いです。

 ノートの活用
 私はまず歩行に関する情報、例えば駅や病院内部など、そしてその周辺更には特定の地域の地理的情報は出来るだけ点字データとしてパソコンで記録するようにしています。学生時代は授業中なかなかノートをとれと注意されてもとらなかった私ですがこれに関しては真面目に記録します。他府県のものも含めていくつもファイルを作りそれぞれ内容がすぐ探せるように目次まで作っています。ノートを作るようになった最も大きな原因はやはり忘れるからです。忘れたときの不安、ノートが在る事の安心感、これらは言葉では言い尽くせないほど大きいものがあります。
 3・4年に1度ほどの割合で訪ねる東京の母校をはじめ関係施設ではトイレを探して廊下を歩くのですが、人と出会わない時のあの心細さ、そして記憶の曖昧さは本当に危ないですね。トイレを探して廊下の壁沿いを歩いていても出入り口に教室と同じようなしっかりした扉がついている所もありなかなか見つからない事もあります。近畿の盲学校の中にもそんな学校があります。
 書き留める内容は安全面が一番多いかも知れません。自分なりのノートなので私なりの感覚で捉えている事を書いていると思います。螺旋階段であったりそれ以上奥に進むと頭をぶつける所があるので注意など具体的に後で読んでも分かるようにしています。書いた時にはこれで良いと思っていても数ヵ月経って読み返すと理解に苦しむところもあり再度部分書き換えを行っています。このあたりもパソコンのメリットですね。
 これらのノートは普段から常に読んでいる訳ではなく出かける前日に読む程度です。一言で言えば「一夜漬け」です。ブレイルメモポケットなど持って出かける事が多いため時には東京や九州へ向かう新幹線の中で読む時もあるほどです。歳をとれば勘違いもしますし途中で手引きをして下さる方も旅行客であったりしますのでこちらとしても出来るだけ詳しい情報を伝えなければいけません。飲食店などいろいろなお店が並んでいる所ではきちっと店名を知っておく事も重要ですね。
 私の体験ですが以前大阪駅で紀州路快速に乗るためホームに上がろうとしてエスカレーターに乗ろうとしたのですがそれがホームから下ってくるエスカレーターでステップに足がかかる前に上からエスカレーターで降りてきた方にぶつかりそうになりました。いつもは自信がない所ではエスカレーターを使わず階段を使うのですがやはり「見えないから仕方がない」ではなく、出来るだけ迷惑かけずに歩く努力はするべきだと思っています。一人で泊まるホテルでもそこまで向かうタクシーで獲た情報はすぐには書けないのでICレコーダーに自分の声で録音するようにしています。そうしないとホテルの部屋に入った時にはすっかり忘れているからです。
 ICレコーダーもやはり重要な必需品ですね。
 勿論道の様子や安全に関する事など書き留めてそれらをしっかり把握して出かけても時には様子が変わっている事もあります。したがって情報は鵜呑みにせずあくまでも参考までにとどめておきます。

 積極的な情報の入手
 一般の人と話をする中で住まわれている地域や通勤ルートなど地理的情報が乏しいために非情に困った経験はぼざいませんか。ハンドルを持つ人は道の話が出ます。勿論詳しい事に越した事はありませんが私などは基礎的な知識さえ無いために質問や確認すら出来なかった事もあります。私も和歌山に来た当初はタクシーに一人で乗っても「どちらを通って行った方がいいですか」と尋ねられても全く答えられなかった事もありますしまたタクシーを降りても道と建物や門との位置関係が分からず再度確認のため運転手に尋ねてもその答えもよく理解出来なかった事もありました。親切に教えて下さる方そんな会話の中にも加わる事も出来ない自分を何とかしなければならないと意識し積極的に尋ねるようにもしています。
 最初は僅かずつつまり点であった知識が線として繋がりいつしか面を構成するまでコツコツと急がずあせらず取り組んでいこうと思っています。そのためそれらに役立つようなあらゆる触地図も手に入れるよう注意をはらっています。地図が有ると無いとでは説明する側それを聞く側共に大きな開きを生じます。「百聞は一見に如かず」と言われるように言葉では勝てない力があります。
 勿論触地図で補えない部分や欠点は文章で補っていかなければなりません。
 触地図を手に入れようとしても販売されていないのもありますし期間限定で乗り換え案内を購入すると付いてくるのもありました。
 乗り換え案内などパソコンで調べれば分かるので特に必要ないのですが触地図欲しさに買ってしまったり図書館等へ寄贈するたぐいのものでも電話をかけて在庫があれば手に入れるようにしています。
 ここまでこのように真面目な事を書いてきましたが最初からしっかりした考えで取り組んできた訳でもなくいつから始めたかも定かではありません。それはこの仕事についた頃休みの退屈な時間を持て余しアマチュア無線を始めた頃でしょうか。他府県の人と話すのですが話す内容の一つに地理的な事がよく話題となります。視覚障害がありますとどうもこのあたりが弱く無線機の前ではその話題の上手い切り抜け方ばかり考えていました。相手の方が地図や資料をひろげ話すのでこちらも何か欲しいなと思ったのがきっかけだったと思います。
 しばらくして6冊の日本地図を購入し更には世界地図まで買ってしまいました。
 その後立体の地球儀が発売されたと聞き確か3万円だったと思いますがそれも買ってしまいました。いつの日かアマチュア無線にも力を入れ海外の方と交信し地球儀を回しながらその地域を確認するそのような幻覚を見るんですね。英語も全く話せないのに今のところその地球儀もほとんど箱に入れたままの有様です。すぐには買わなくていい事も分かっているのですが視覚障害者が使える商品はいつでも手に入るとは限りませんね。手に入る時に買っておく、これも鉄則でしょうか。

歩行補助具の活用
 いろいろと情報は獲ても白杖を使い安全に歩くには身体の前数メートルの情報が必要になりました。路上に放置されている自転車や点字ブロックの上でこちらに背中を向けて誰かを待っている人の存在、ランドマークになる周りの電柱やフェンスなど安全に効率よく歩くにはそういった情報が必要かと思い学生の終わり頃超音波メガネに辿り着きました。
大阪のライトハウスで暑い夏の日に数人で2週間以上受けた訓練は今も良い思い出です。輸入したそのメガネと宿泊訓練費込みで50万円ほどだったと思いますがこれまでで私が見たり使用した機器の中では最もこの機械が優れて使い易かったと思っています。訓練もかなり苦労はありましたがあの超音波メガネが教えてくれる世界は他の補助具では代用出来ないと思っています。マニアの世界であり需要もそれほど多くなかったのか生産が終わってしまいました。大切に使っていたのですが僅かな不具合が気になり修理に出したところ相手の方と連絡がつかなくなり現在は手元にありません。
 ところが我が国の民間企業も頑張っており福井県の企業でこういった超音波のメガネを開発し22年の秋には発売したいという記事が5月の朝日新聞に書かれていました。さっそくインターネットで同じ記事をダウンロードしてパソコンに保存はしているのですが追跡調査は行っていません。期待を持ちながら行うこの情報収集が楽しいのでしょうね。このように新製品を調べる時のエネルギーが他のものに向けばもう少しは賢くなったのにと苦笑混じりにささやかな反省です。
 そしてこれに懲りず次に手を出したのが同じ超音波でも震動によって障害物を教えてくれる補助具です。
 最初にモーワットセンサーという機械を手に入れました。そしてしばらくしたらこれまた生産完了。輸入品であり修理も出来ない、壊れた時はどうしようという事もありパームソナーという小さな日本製の機械まで買いました。
 このパームソナーは大きさはタバコの箱を縦に二つに切ったぐらいの大きさでしょうか。
 パームは手のひらという意味で、文字通りそれをマジックテープで手のひらに固定します。
 さすがに日本の企業の得意技でこれまでのモーワットセンサーより遙かに小さく、雨の日は傘の持ち手の所に付けられるなど利用者の意見にも耳を傾けた細やかな取り組みも感じられます。
 これも使いこなしているかと聞かれるとお恥ずかしいのですがコレクションの一つです。
 本来は白杖と併用し歩行補助具として使用するのですが上手な人は電車などで空いている座席を探したり写真を撮るのに活用したりと様々です。
 私はあいにく写真の趣味が無いのでこのあたりは何とも言えませんが3メートル先に立っている人も障害物と同じようにその頭の高さもだいたい見当が付くようになるのかも知れませんね。私の場合は、以前7・8人でテーブルを囲みゆったりと食後のお茶を楽しんでいる時、ポケットからこのパームソナーを取り出し遊んでいて、偶然にも話しかけようとしていた方が席を立ち、いない事が分かり少し助かりました。静かに席を離れ、こちらがいるとばかり思っていない所に話しかけてしまった経験を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。このように、いろいろな器具に興味関心を持ち、追い求めています。
 それによって何かが変わる、あるいは変われるような、そんな気持ちにさせられるところは怖いですね。

 おわりに
 これらノートや触地図、そしてパームソナーなどの電子機器は、いずれも白杖に取って代わる物ではなく白杖歩行を補う物でしかありません。「白杖と共に」歩いていくスタイルはこれからも変わらないと思います。今後も現状に満足する事なく、模索しつつ悩む事も続くと思います。これらを苦労の連続と暗くとらえるのではなく、携帯電話やパソコンのようにもっと良くなる未来を夢見て、希望を持って歩いていきたいものです。
文芸の広場
 本会には俳句を楽しむ「若竹」と川柳で頑張っている「ドングリ」の二つのサークルがあり、13名の人達が句作で脳トレをしています。
 以下に22年度中に選者の渡辺(俳句)・三宅(川柳)のお二人から好評価を頂いたサークル員の句を紹介します。皆さんも脳の活性化にチャレンジしてみませんか。

  「若竹」の句集から

  鉢植えの 仄かに香る 寒の梅      (俊恵)
  友逝きし 報せ届きて 鰤起こし      (豊)
  着せ掛けて 毛皮の重み手に 残る     (正文)
  寒風に 吹晒されし 駅ホーム       (薫)
  冬日差す 部屋に床取る 小正月     (和代)
  山里の 穫る人も無き サクランボ      (敦美)
  ふらここを 停め我が心 揺らし置く    (正文)
  春野菜 嫁の手料理 母の味       (良和)
  狛犬の 足に結ばる 花の枝        (和郎)
  客室の 窓満開の 藤垂るる        (俊恵)
  友帰院 カサブランカの 香り立ち      (薫)
  ラジオより 懐メロ聞こゆ 昭和の日     (和郎)
  山藤や 炭焼く煙 たなびいて        (孝雄)
  低空の 燕ツイッと 雨近し         (豊)
  添い寝して 団扇の風も 止まりがち     (孝雄)
  土の香の 浮き上がるまで 水を打つ     (俊恵)
  久方の 雨に草も 生き返る         (道)
  触れてみる ゴーヤの葉っぱ 露溢る     (俊恵)
  単線や すすきの先に 熊野灘       (孝雄)
  濡れ縁や 何処くまで延ぶ 牽牛花     (豊)
  秋彼岸 妻の好みし 歌聞こゆ       (和郎)
  古里の 香りと共に 柿届く         (敦美)

  (注1)「ふらここ」=ブランコのこと。
  (注2)「牽牛花」=朝顔のこと。
  「ドングリ」の句集より(括弧の中は兼題です)

  十円の柏手が鳴る初詣         (正文 初詣)
  兄の歳越えて感謝の初詣        (章夫 初詣)
  吉凶を小枝に託す懸想文        (途夢太郎 初詣)
  初詣新たなページ開く朝        (良和 初詣)
  初詣盲導犬も一緒です         (敦美 初詣)
  寄進者のトンネルくぐる初詣       (薫 初詣)
  屠蘇に酔い詣では後と下戸の家     (志津子 初詣)
  メールして返事が待てず電話する    (照明 電話)
  携帯の着メロ忘れ知らん顔       (敦美 電話)
  大事なこと切って気がつく長電話    (和代 電話)
  その昔読み書き算盤今電話       (一歩 電話)
  あの世この世繋ぐ電話が欲しいなあ    (道 電話)
  応対の声に笑顔も聞こえてる      (途夢太郎 電話)
  出世した友が電話を先に切る      (正文 電話)
  電話口おくに訛りに早変わり       (章夫 電話)
  受けて立つオレオレ詐欺の電話番    (俊恵 電話)
  押し売りの電話に声のトーン下げ     (志津子 電話)
  手作りのケーキに感謝誕生日      (敦美 食べる)
  美味しいなその一言で仲直り       (途夢太郎 食べる)
  筍を猪に食べられ町で買い       (孝雄 食べる)
  検査表にらんで食事腹六分       (良和 食べる)
  豆ご飯季節の中にいる夫婦       (正文 食べる)
  地方紙に巻かれて友の味届く      (正文 食べる)
  食べたいなカロリーオフのごちそうを    (志津子 食べる)
  迷ったら四股思いきり踏んでみる     (途夢太郎 迷う)
  愚痴聞いてあげる仏もさぞ迷い      (正文 迷う)
  就職難迷うほど無い選択肢        (孝雄 迷う)
  手触りの良い方選ぶマーケット      (和代 手)
  手加減してボール投げてるお兄ちゃん   (章夫 手)
  一球に手に汗握ってる平和        (途夢太郎 手)
  手を延べて私も人の役に立ち       (志津子 手)


お楽しみ懸賞クイズ
 今回は、22年度に和視協が行った行事に関連したクイズです。
 各問いの答えの選択肢の数字を加算した合計の数字をお答えください。
 奮ってご参加下さい。
 全問正解の方、5名に景品を準備しています。なお正解者多数の場合は抽選とさせて頂きます。
 応募は、メール・郵便にて、平成23年5月9日(必着)までにお寄せ下さい。
 電話での参加はお断りします。
   応募先   〒641ー0013 和歌山市内原871ー9  北口 豊
         E-mail owlmail-from-tomtarotan@silver.plala.or.jp

 問1 「点字教室」から 点字を考案したルイ・ブライユはどこの国の出身    でしょうか?
     @エジプト   Aガーナ   Bチリ   Cフランス

 問2 「教養講座」から 現在運行されている「はやぶさ」はどこを走って    いる列車か?
     @東北新幹線   A長野新幹線   B東海道新幹線
     C九州新幹線

 問3 「福祉学習会」から 地上波デジタルテレビ放送が関東・近畿・中    京地区で本格運用が始まったのはいつか?
     @2001年   A2002年   B2003年   C2004年

 問4 「社会見学」から人の足の角質を食べるという魚は?
     @ソードフィッシュ    Aデビルフィッシュ
     Bドクターフィッシュ   Cフィレオフィッシュ

 問5 「文化研修会」から。ハーモニカは大きく分けるとどの楽器類になる    か?
     @鍵盤楽器  A弦楽器  B吹奏楽器  C打楽器

 問6 「研修会」から。現在和歌山市の障害者福祉サービスとして配布され    ていないのはどれか?
     @ガソリン券  Aタクシー券  B入浴券  Cバスカード

 問7 「教養講座」から。ラジオ体操の原型の放送が始まったのはいつか?
     @明治3年  A大正3年  B昭和3年  C平成3年

*******************************

編 集 後 記

 なんとか今回も機関誌「白い杖」を発刊できる運びとなったことをまずもって感謝し、ご協力頂いた方々に紙面をお借りして御礼申し上げます。
 さて、今回も構成はこれまでとは大きな変化はありません。ただ、クイズコーナーに関しては、ずっと北口が担当しておりましたので、出題傾向がマンネリ化しないようにと幸前副会長にお願いしました。今回は、本会の諸行事に関する出題でしたが、皆さんいかがでしたでしょう。
 それから、原稿も毎回少しずつお寄せ頂く方の顔ぶれが変わり編集者としては嬉しいかぎりです。特に中村さんの投稿は大変興味有る投稿で、全国ニュースでも取り上げられた駅のホームでの転落事故が後を絶ちませんが、我々が単独行動する上で避けては通れない永遠の課題で、とても良い参考になる貴重なものだと思います。また寺本さんのテレビの推理ドラマのような投稿はドキドキしながら読んで頂けたのではと思います。
 次号も読んで楽しくなるような機関誌にできたらと思います。本誌を読んでの感想やご意見をお聞かせ頂けるようお願いして編集後記といたします。


和歌山市視覚障害者福祉協会機関誌「白い杖」(通巻第39号)
     発   行   平成23年 3月
     発 行 者   和歌山市視覚障害者福祉協会
     編集責任者   畠中 常男
             電話 073(472)7872
             〒640-8314 和歌山市神前285ー16
             E-mail hatakenaka@jtw.zaq.ne.jp

     編集スタッフ   畠中 常男  北口  豊  幸前  勇
             坂井  勉  能澤 義和



白い杖INDEXへ トップページへ