白い杖 第44号


和歌山市視覚障害者福祉協会機関誌「白い杖」第44号





    和歌山市視覚障害者福祉協会 機関誌 白い杖 第44号

          平成28年3月発行

     製作・発行  和歌山市視覚障害者福祉協会
        〒640-8314 和歌山市神前285-16
        電話073(472)7872
     ホームページアドレス http://washikyo.org/


 目次

 巻頭言 会長 畠中常男 1
 平成27年度和視協の歩み 書記 坂井勉 2
 平成28年4月から和歌山市において施行される障害者のための新しい条例について
   会長 畠中常男 8
 新人さん、いらしゃあい! 副会長 北口豊 10
 文芸の広場 12
 「若竹」 (俳句) 12
 「ドングリ」(川柳) 13
 あがらの広場  14
 10年目に叶った新婚旅行 和歌浦分会 西中利明 14
 「ふれ愛センター」  河西分会 生駒芳久 16
 忘れえぬ人 東和分会 岩本興治 17
 母の手料理と心の旅  東和分会 寺本津規子 19
 猿に願いを  和歌浦分会 北口豊 21
 お楽しみ懸賞クイズ 23
 編集後記 24



        巻頭言

                    会長  畠中 常男

 まずこの1年、皆様方からいただいた和視協に対するご支援とご協力に対し、役員
一同心から御礼申し上げます。
 よく「十年ひとむかし」といいますが、平成18年 4月に和視協の会長をお引き受け
して、はや10年、その間、私たち視覚障害者を取り巻く福祉環境もずいぶん変わりま
した。 ことに、平成28年 4月から施行されることとなった「障害を理由とする差別
の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)は、平成26年に批准された「障害者
の権利に関する条約」に向けて制定された法律です。
 この法律が効力を発することにより、私たち障害者がかねてより待ち望んでいた「
機会の平等」が、法的裏付けをもって保証されることとなります。
 すなわち国や県、市等の行政においては、障害を理由とする不当な差別的取扱いを
禁止することが義務づけられ、民間企業等においても、解消に向けて努力することが
義務となります。
 例えば、和歌山市においても、市が発出する文書の点字化や音訳の推進、また、表
示の拡大やコントラストの強調等を始め、情報技術を活用した支援も実施されること
となります。
 この他、同行援護事業の充実や、障害と、障害を持つ人に対する理解を深めるため
の市民に向けた啓蒙活動が実施されることとなるようです。 また、民間企業等にお
いても、障害を理由とする待遇の格差や、取り扱いの違いが是正されるものと思われ
ます。
 とはいえ、具体的に今まで受けていた福祉サービスと、 4月から実施される内容に
、どのような改善がなされるかについては、現時点ではわからないことが多くありま
す。
 今後それぞれの立場で検証し、もし改善を必要とする問題があるのであれば、和視
協や市身連、あるいは県視協や県身連を通じ、市や県当局に申し入れる必要がありま
す。
 そのためにも和視協は、自らの足場を固め、存在感を社会にアピールできる実力を
持たなければなりません。
 どうぞ今後とも和視協の運営に、理解ある皆様方のお力添えを下さいますようお願
い申し上げ、巻頭言といたします。



       平成27年度和視協の歩み

                    書記  坂井 勉

 本年度は、紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会という県をあげての大きなイ
ベントがありました。街の雰囲気も活気も最近では味わったことのない華やかさがあ
りました。
出場された選手の皆様・それに付随する任務に係わられた皆様方大変お疲れ様でした

 又、平成28年度から施行される「差別解消法」や新市民会館建設についての話し合
い等、公私共に多忙な一年となりました。

平成27年 4月 5日  和視協27年度定期総会 ふれ愛センター 3階研修室(2)13:30〜
  会員総数91名 出席者47名 委任状32通
議長:西中利明氏 佐野磯雄氏
来賓 和歌山市長:尾花正啓様・市社協会長:津田幸様・県視協会長:渋田年男様
市障害者支援課長:坂下雅朗様・市障害者支援課管理班長:真嶋泉様
議事報告及び一般提案でも理事会に付託する様な意見・質問はなく、事業報告・決算
報告・ 事業計画・予算審議共に全て承認。

4月19日 第1回執行部会 第1回理事会 ふれ愛センター1階会議室(2) 12:00〜

5月31日 点字教室 ふれ愛センター 3階研修室(2) 13:30〜 「点字の市民権」
他 講師:四天王寺大学人文社会研究科教授 愼英弘(しんよんほん)氏 参加者数2
6名

7月 5日 第1回教養講座 ふれ愛センター 2階会議室(1) 13:30〜 「大人の折
り紙」 講師:東克己氏 参加者数30名

8月23日 第2回執行部会・理事会 ふれ愛センター 3階会議室(2) 10:00〜

9月13日 福祉学習会 ふれ愛センター 3階研修室(2) 13:30〜
らくらくスマートフォン体験講習 NTT docomoハーティー講座チーム 受講者14名

10月 4日 社会見学・文芸大会 イオンモール和歌山 参加者16名

12月 6日 和視協文化研修会  ふれ愛センター4階大会議室 13:30〜
文芸発表会・ウクレレコンサート 参加者40名

平成28年 1月10日 和視協研修会  ふれ愛センター 3階研修室(2) 13:30〜 
障害者差別解消法の施行にかかる和歌山市の施策について 講師:市障害者支援課課
長 坂下雅朗氏
2月14日 和視協第2回教養講座  ふれ愛センター 3階研修室(1) 13:30 「日本
酒、梅酒、機能性食品の開発について」 中野BC株式会社 食品科学研究所所長 我
藤伸樹(がとうのぶき)氏

同日 和視協第3回執行部会

3月13日 第3回理事会 ふれ愛センター 3階研修室(2) 13:30〜


文芸教室 俳句 平成27年5月3日ふれ愛センター  大蔵義正氏

文芸教室 川柳 平成28年1月10日 ふれ愛センター  三宅保州(ほしゅう)氏

和歌山市コミュニケーション条例説明会 ふれ愛センター 6月11日・ 9月 9日

手話言語コミュニケーション条例案意見交換会 市役所 7月23日・ 8月20日・10月2
9日・ 1月14日

新市民会館建設に向けてのワークショップ 市民会館他 7月31日・ 8月10日・ 8月2
7日・ 9月 8日・ 9月18日


     関連団体の行事・会議他

4月19日 平成27年度市身連代議員会 ふれ愛センター

4月26日 県視協部会委員会 県総福

5月10日 市身連社会見学 神戸市

5月19日 市身連第1回理事会 ふれ愛センター

5月23日 県身連理事会 県総福

同日 県身連評議員会 県総福

5月25日〜26日 第60回日本身体障害者福祉大会(宮崎大会) 宮崎県

5月29〜31日 全国盲人福祉大会 岐阜県

6月 7日 第15回和歌山県障害者スポーツ大会・第15回全国障害者スポーツ大会リハ
ーサル大会 和歌山県

6月14日 県視協文芸大会 御坊市

7月 1日 県身連理事会 プラザホープ

7月16日 県視協弱視者用信号機点灯式 田中町交差点

7月26日 市身連将棋大会 ふれ愛センター

7月31日 市身連第2回理事会 ふれ愛センター

8月 9日 県視協街頭キャンペーン 和歌山駅前

同日 県視協点字教室 県総福

8月28日 市身連福祉対策協議会 ふれ愛センター これからの福祉について

9月 1日 和歌山県障害者雇用支援月間街頭キャンペーン JR和歌山駅前

9月 6日 第58回和歌山県身体障害者福祉大会 上富田文化会館

10月 9日 県身連平成27年度県当局との話し合い 和歌山ビッグ愛

10月12日 県身連第3回理事会 県総福

10月21日 第35回日身連近畿ブロック福祉大会・第17回相談員研修  会(神戸市)

10月24〜26日 第15回全国障害者スポーツ大会 和歌山県

11月 8日 県視協研修会 和歌山市消防局

11月10日 平成27年度和歌山市社会福祉大会 市民会館

11月15日 第63回市身連福祉大会及び平成27年度第1回教育講座  ふれ愛センター

12月 3日 和歌山市障害者週間街頭キャンペーン  JR和歌山駅前、南海市駅前

12月 4日 紀の国チャレンジド賞及びサポート感謝状授与式 和歌山県庁

12月 6日 市身連第3回理事会 アバローム紀の国

同日  市身連幹部研修会 同所:福祉行政についての懇親会

同日  和歌山市福祉表彰授賞式 市役所

同日  第34回黒潮オープン和歌山県障害者卓球選手権大会 県立体育館

平成28年 1月 4日 市身連市長への年始 市役所

1月12日 県身連知事を囲む福祉懇談会 和歌山県自治会館

2月 7〜 8日 県身連幹部研修会  白浜町

2月21日 市身連第2回教育講座 阿倍野ハルカス・天王寺動物園

2月28日 県視協部会委員会  県総福

3月25日 市身連第4回理事会  ふれ愛センター



        平成27年度和視協女性部行事

                    部長  坂井 法子

 平成27年度女性部行事のご報告です。いつも女性部行事に、ご参加ご協力頂き有難
うございます。今年度は、1日の午前と午後に行事を行いましたが、いかがでしたか
? ご意見をお聞かせ頂ければ幸いです。

平成27年
4月12日(日) 11:00〜15:30  県視協女性部研修会・総会 和歌山県身体障害者総
合福祉会館 参加者21名

5月30日(土)  13:30〜15:30 童謡を歌う集い 海南市民センター  講師 伊澤
 慶三氏  参加者 10名

7月12日(日) 10:00〜11:30 カラオケ教室 和歌山市ふれ愛センター  参加者 
25名

同日 13:30〜15:30 体操教室 和歌山市ふれ愛センター 講師 松本 稔代氏 参
加者 25名

8月30日(日) 10:00〜11:30 紙芝居と交流会 和歌山市ふれ愛センター 講師 グ
ループ声(紙芝居工房) 参加者 15名

同日 13:30〜15:30 バルーンアート体験教室 和歌山市ふれ愛センター  講師 
松本真生子(まきこ)氏 参加者9名

10月14日(水) 10:00〜15:00 さおり織体験教室 和歌山盲ろう者友の会(美園町)
 講師 和歌山盲ろう者友の会スタッフ  参加者8名

12月20日(日) 10:00〜14:00 料理教室 講師  鯨徳代 氏 和歌山市ふれ愛セン
ター 献立 おにぎらず他  参加者25名

平成28年
2月 7日(日) 10:00〜11:30 手芸教室 (タオルを使った小物作り) 和歌山市ふれ
愛センター 講師 山崎 由記子氏  参加者14名

同日 13:30〜15:00 研修会・交流会 和歌山市ふれ愛センター 講師 ボランティ
ア・拡大写本「あかり」スタッフ  参加者14名

3月 6日(日) 10:00〜11:30 平成27年度講演会 和歌山市ふれ愛センター 演題 
「目が悪い私が選んだ百貨店の仕事」 講師 東 みどり 氏

同日 13:00〜15:00  平成28年度女性部総会 和歌山市ふれ愛センター



          平成27年度受賞者

9月 6日 第58回 和歌山県身体障害者福祉大会 会長表彰 白菊賞 小藪宮子氏
 会長表彰 特別賞 北口豊氏

11月15日 第63回 和歌山市身体障害者連盟福祉大会 会長表彰 西中利明氏 会長
感謝状 尾家章夫氏

12月 4日 紀の国チャレンジド賞及び紀の国チャレンジドサポート感謝状授与式
 知事表彰 ファミリーサポート功労者 能澤昭美氏

12月 6日 和歌山市福祉表彰授賞式 市長表彰 更生援護功労賞 宮本克二氏

受賞された皆様方、心よりお祝い申し上げます。



 平成27年度に入会された方(敬称略)
 郡 みず代 東和分会 平成27年 4月
 宮井 美和 河西分会 平成27年 5月
 神普@福美 東和分会 平成27年 6月
 岡普@泉  東和分会 平成27年 6月
 奥田 知嘉 河西分会 平成27年12月
 児玉 知江子 紀伊分会 平成28年 1月

 平成27年度末で退会された方(敬称略)
 亀山 直美  和歌浦分会 

 平成28年3月現在会員総数  96名



     平成28年4月から和歌山市において施行される
     障害者のための新しい条例について

                    会長  畠中 常男

 昨年度末発行の「白い杖」の巻頭言で、「最近、車いす使用者のためのスロープや
トイレの設置など、比較的人の目につく、いわゆるハードウェアとしての福祉は幾分
改善傾向にはありますが、市の発行する文書の点字化や、視覚障害者の日常生活のサ
ポートなど、福祉の場におけるソフトウェアがなおざりにされているように感じ、機
会あるごとに訴えてきました。」と書きました。
ことほど然様に、私ども視覚障害者や聴覚障害者、また言語等に障害を持ち、コミュ
ニケーションや情報の発受に障害を持つ人々に対する福祉が、なおざりにされてきた
経緯は否めません。 今回の巻頭言でも書きましたが、この4月から施行される「障
害者差別解消法」に向けて和歌山市では、「障害のある人もない人も共に安心して暮
らしやすい和歌山市づくり条例」を、平成28年2月の議会に上程し、法施行に合わせ
実施される運びです。
 こういった条例は、全国的にもまだ例が少なく、素案作りに際しては、まず障害者
団体に対するヒアリングが行われ、その後障害者団体、また障害者教育に携わる関係
者や施設の関係者と、和歌山市との間で、4回の意見交換会が持たれました。
 この内、ヒアリングには和視協執行部が、また意見交換会へは、宮本監事と畠中が
和視協の代表として出席しました。 本来であれば、条例の条文を掲載したいところ
ではありますが、この原稿を書いている時点では、まだ条例が決議されておりません
ので、条例の素案の概要を記し、後日正式な条例の条文をお知らせすることといたし
ます。


     障害のある人もない人も共に安心して暮らしやすい和歌山市づくり条例
         (素案)の概要

 1 条例の目的・基本理念(第1条、第3条)

 (1)障害を理由とする差別の解消について市の責務、市民及び事業者の役割を明
らかにし、施策の基本となる事項を定めること。

 (2)障害にかかる差別を禁止するとともに、市は、障害にかかる社会的障壁を取
り除くための合理的配慮を行わなければならないこと。

  (3)障害のある人に対するコミュニケーション支援は、前号の合理的配慮として
保障されなければならないこと。また、障害の個別性を踏まえた支援を行わなければ
ならないこと。

 2 市の責務(第4条)

 (1)障害及び障害のある人に対する理解を深め、障害を理由とする差別を解消す
るための施策を実施すること。

 (2)障害のある人に対して障害に応じたコミュニケーション支援を行うこと。

 3 市民等の責務(第5条)

市民及び事業者は、障害及び障害のある人に対する理解を深め、市の実施する施策に
対して協力するように努めること。

 4 差別事案についての相談、助言又はあっせんの申立て
  (第6条、第7条)

 (1)差別事案についての相談窓口を設置すること。

 (2)差別事案に対する「助言又はあっせん」を市長に申し立てることができるこ
と。

 (差別解消への後押し)
 5 差別事案申立てに係る市の調査・助言又はあっせん・勧告・公表について(第8条
、第9条、第10条、第11条)

 (1)差別事案に対して市が調査すること。

 (2)調査の結果、必要があると認めるときは、和歌山市障害者差別解消支援地域
協議会への諮問を経て、助言又はあっせんを行うこと。

 (3)差別したと認められる者が正当な理由がなく、市の助言又はあっせんに従わ
ない場合は、勧告できるものとすること。

 (4)市の勧告に対して正当な理由がなく従わない場合は、その旨を公表できるも
のとすること。

 6 和歌山市障害者差別解消支援地域協議会の設置(第13条)

障害者差別解消法第17条第1項の規定による障害者差別解消支援地域協議会を設置す
ること。

 (所管事項)
 (1)障害を理由とする差別の解消の推進に関する事項に関し、調査審議すること


 (2)市長が諮問する差別事案に対する助言又はあっせんに対して意見を述べるこ
と。

 (3)障害のある人のコミュニケーション支援に関する施策の実施状況等について
意見を述べること。

 (4)その他、障害を理由とする差別の解消の推進に関して市長が必要と認めるこ
と。

 (協議会の構成)
 (1)委員数 35人以内

 (2)委員の構成
  ア.福祉、保健、医療、介護、教育その他の障害者に係る行政機関の職員
  イ.特定非営利活動法人その他の団体に属する者
  ウ.障害者又はその介護若しくは支援をする者に関する団体が推薦する者
  エ. 障害者等に係る福祉又は保健に関する学識経験者
  オ. その他市長が適当と認める者

 内容は以上ですが、新しい条例に基づき、視覚障害者にとって、より暮らしやすい
和歌山市の実現が望まれます。 皆さんと共に、今後の推移を見守っていきたいと思
います。



        新人さん、いらっしゃあい!

                    副会長  北口 豊

 会長が常々言われているように、組織というのはやはりある程度の数がなければそ
の会の存在の意味がありません。それが、本会も100人を切って久しいですが27年度
には数名の見目麗しき女性が入会してくれました。その方々に事前に電話インタビュ
ーさせて頂いたものをここでご紹介しましょう。

 まずは岡武(おかざきいずみ)さんです。岡浮ウんは昭和33年生まれ、40歳頃か
ら視力が低下し始め、現在はなんとか家事をこなせる程度。和視協に入会したのは市
が主催する「障害者いきいき事業」の点字教室で会の存在を知り、視覚障害者の情報
を入手できたらと考えたのが入会のきっかけ。視力のあった頃はパッチワークが一番
の趣味だったがそれはかなり難しくなった。映画を見るのも好きだったけれどそれも
あきらめていたら、サピエでシネマデイジーの存在を知り、新しい世界が広がりまし
た。それも、入会して知り合った方に教えてもらったからです。また、以前からの趣
味で園芸はまだできるので奇麗な花の咲くのを楽しみに続けているという。なかなか
行事に参加することは叶いませんがどうぞよろしくおねがいします。

 次は、奥田知嘉さんです。奥田さんは、昭和7年生まれですが、元気はつらつです
。ベーチェット病が原因で若い頃から視力は弱かったけれど5年ほど前から全盲にな
ったようです。でも、いろんな情報が知れたらとケアマネージャーさんを通じて入会
をさせてもらいました。会の中に、お知り合いもいるようで心強いとのことです。

次は、宮井美和さんです。宮井さんは昭和63年に盲学校を卒業され、今まで会の存在
を知らずにいたけれど、ひょんなことから会を知り、いろんな情報が知れたらと入会
しました。

 この他に、岡浮ウんと一緒に点字を勉強されている神封沐(かんざきふくみ)さ
ん、会の平均年齢を下げてくれた盲学校の教員をされている児玉知江子(こだまちえ
こ)さんが新しく入会されています。

 皆さんが、「入会のきっかけは?」という質問に対し、口を揃えて言われるのは、
視覚障害者に対する情報が知れたらということでした。我々は視覚障害であると同時
に情報障害者とも言われ、私も含め情報に飢えているものです。特に中途失明の方は
会の存在すら知らない人も多いでしょうから、本会のアピールもどんどんしていく必
要性も感じますね。皆さんの周りや知り合いに視覚障害者がいたら和視協の存在を紹
介してください。



          文芸の広場

                    文化部長  北口 豊

 本会には俳句を楽しむ「若竹」と川柳で頑張っている「ドングリ」の二つの文芸サ
ークルがあり、13名の人達が句作で脳トレをしています。
 以下に、27年度中に選者の、大倉義正(俳句)・三宅保州(川柳)のお二人の先生
から高評価を頂いたサークル員の句を紹介します。
皆さんも当サークルに入って脳の活性化にチャレンジしてみませんか。 我こそはと
思う方は北口まで。


  「若竹」(俳句)  大倉義正 選

 窓開けて暫し聞き入る除夜の鐘  (市川和郎)

 ほっとする句添え寒中見舞い来る  (北口豊)

 新年や話が尽きぬ従兄弟会  (吐崎敦子)

 サクサクと玉砂利踏みし初詣  (丸山孝雄)

 初詣慣れぬ御神酒に頬染める  (米崎道)

 鶯の声に誘われ散歩かな  (北山和代)

 藤棚の下でハミング女学生  (吐崎敦子)

 鶯が小庭に来ては舞い立ちぬ  (松本薫)

 草萌えに新しくしてスニーカー  (丸山孝雄)

 無花果の青き実見えし葉の陰に  (市川和郎)

 朝顔の蔓に子供が背比べ  (宮地良和)

 ぎこちなく母の乗りくる茄子の馬  (北口豊)

 苔むせる石灯篭や花菖蒲  (栗本邦男)

 風鈴に耳を遊ばせ点字読む  (吐崎敦子)

 海を越えアマチュア無線夜長かな  (丸山孝雄)

 両の手に熱き湯飲やちちろむし  (北口豊)

 金木犀母の枕辺そっと置き  (栗本邦男)

 友の家金木犀に教えられ  (丸山孝雄)

 満月の影踏みはしゃぐ子供達  (宮地良和)

 散歩して休む足下虫の声  (米崎道)

 元旦や津波誤報に驚きぬ  (市川和郎)

 床の間に少し澄ますや鏡餅  (北口豊)

 柏手を雅楽に合わす初詣  (栗本邦男)

 ニーハオが飛び交っている初電車  (丸山孝雄)

 仏前に雑煮供えし祝う朝  (宮地良和)


  「ドングリ」(川柳)  三宅保州 選

◎  課題 「暖房」

 ストーブが壊れて解るありがたさ  (吐崎敦子)

 札束を腹巻きに入れ十二月  (丸山孝雄)

 晩秋に炬燵布団を干す伴侶  (笹川武司)

 温度上げビールで身体冷やしてる  (南部照明)

 暖房の御陰で今も生きている  (宮原俊恵)

 湯タンポは母のぬくもりほんわかと  (尾家章夫)

 暖房は設定下げてエコ気分  (宮地良和)

◎  課題「米」

 米農家安い安いと愚痴こぼす  (河野敦美)

 稲刈りの農家の顔に笑みの汗  (栗本邦男)

 新米を炊ける喜び母米寿  (畠中志津子)

 藁を打ち出前授業で草履編む  (笹川武司)

 貧しかった時もお供え米の飯  (南部照明)

 限界集落で胸を張る案山子  (北口豊)

 機械から一歩も降りず米作り  (尾家章夫)

 新米を粥で味わう老夫婦  (宮地良和)

◎  課題 「夏」

 夏痩せを期待したのに元のまま  (吐崎敦子)

 空襲の七十年忌夏静か  (畠中志津子)

 夏祭り浴衣姿に惚れ直し  (南部照明)

 待ちかねていないのに夏やってくる  (宮原俊恵)

 炉心熔融するかと思うこの酷暑  (北口豊)

 モナリザのママも角出す夏休み  (宮地良和)

◎  課題「ラジオ」

 今日もまたラジオと共に夜が明ける  (河野敦美)

 起きて聴く寝ても聴いてる古ラジオ  (北山和代)

 新天地故郷のラジオばかり聴き  (南部照明)

 エプロンのポッケで鳴っているラジオ (北口豊)

 ラジオから幼ななじみの投稿が  (尾家章夫)

 好きな阪神ラジオ叩いて応援す  (米崎道)

 一日中時計代わりになるラジオ  (宮地良和)



          あがらの広場

 ここでは、会員の方々から寄せられたエッセーなどを紹介します。 いろんな切り
口からの作品が寄せられました。作者の人柄が垣間見えるかも知れません。さて、そ
れを書いた人はどんな人でしょう。


     10年目に叶った新婚旅行

                    和歌浦分会 西中利明

 私たちは2005年10月に結婚して今年で10年を迎えます。本当なら10年前に何処か新
婚旅行に行きたかったのですが、その頃から視力が落ちてきて自分たちだけで旅行に
行くのが難しくなってきたので、旅行をあきらめていましたが、今年(2015年)5月
に東京で旅行などを取り扱ってくれる同行援護の事業所ができたというチラシを手に
入れることができたので、早速電話をかけてみました。まず契約が必要なので契約書
を送ってもらい、それに必要事項を書いて和歌山市の同行援護の受給者証を入れて送
りました。しばらくして、契約書1部と受給者証が帰ってきて契約が完了です。その
後、私たちは東京ディズニーランドと東京ディズニーシーに行くことを決めました。
 早速旅行会社に問い合わせてみると往復の航空券と宿泊プランで、3万800円という
安いプランが在ったのでそれに決めました。
 ただ、入場券は自分たちの二人分とヘルパーさんも一人に一人付くので合計4人分
要るのでそれが一番高くつきました。
 そして、一番心配していたのは、関空行きのバスを降りてから国内線のカウンター
まで行けるのかということでしたが、関空に電話してみると、バスに乗ったとき電話
するとバスの降りたところまで迎えに行き、行きたい所まで案内してくれると言って
くれたのでお願いしました。
 旅行の当日、家から関空のリムジンバス乗り場のある和歌山駅東口までタクシーで
行き、係員の人に切符を買ってもらい、バスに乗りました。
 関空に付くと関空の職員の人が待っていてくれて、国内線の全日空のカウンターま
で、その後は全日空の地上乗務員が、機内では機内乗務員(キャビンアテンダント)
に引き継がれて羽田空港に到着。
 羽田空港の地上乗務員の人に到着ロビーまで案内してもらうとそこで二日間お世話
になるヘルパーさんが二人待っていてくれて、そこからディズニーランドまでバスで
約1時間で夢の国に到着。
 ディズニーランドは障害者割引はありませんが、アトラクションの予約が二つまで
できます。だから、その場で2時間も3時間も待たなくても予約時間にその場に行けば
横の扉から入れてくれます。ただし、予約時間に遅れると予約は無効となりますので
注意。一つのアトラクションが終わるとまた次の予約ができるのでその時間の待ち時
間に空いているところに行けます。だから私たちはディズニーランドで6箇所、ディ
ズニーシーで7箇所のアトラクションに行くことができました。それと、ディズニー
シーのインフォメーションに行くと、ディズニーのキャラクターの人形があり、それ
に触れます。また、さらにボタンを押すと人形がしゃべります。
 ディズニーシーでは、音声ガイドで目の前にあるレストランや建物アトラクション
などを音声で教えてくれる、イヤホン付きの受信機を貸してくれます。
 宿泊ホテルでは部屋からレストランに行くときは、フロントの人が案内してくれ、
レストランではバイキングの料理を取ってくれたり、飲み物を買いに行ってくれたり
、お土産を買うサポートもしてくれたりと目が見えなくても安心でした。
 まだまだもっと沢山書きたいのですが、長くなるのでこの辺にしておきます。何か
分からないことや質問があれば私たちに訊いてくれればなんでもお答えします。
 というようなことで、全盲どおしの私たち夫婦にとって、記念すべき10年目の新婚
旅行も、新しい制度や航空会社やディズニーランドの良心的なサービスのお陰で、大
変楽しく有意義で素晴らしく心に残る旅行になったことを紹介して終わりにします。


     「ふれ愛センター」

                    河西分会  生駒芳久

 2016年1月10日(日)午後、ふれ愛センターで和視協研修会がありました。ところ
が、私は間違って午前中にふれ愛センターに到着してしまいました。
こういうことは、今日に限らず最近の私にはよくあることなのです。
さて、余った時間をどうつぶそうかと思案しました。
 そこで私は、ふれ愛センターの玄関ホールにある点字表示物を手当たり次第読み始
めました。点字案内板には、各階にある研修室、会議室、視聴覚室、軽食堂などなじ
みの場所以外に、図書室もあると書いてあります。どうやらほとんど使われていない
ようです。
 また、こんなものもあったのかと驚くものがありました。
例えば、館内誘導用の音声案内と、そのための振動で場所を知らせる杖が備えてある
と書かれています。
エレベーターやトイレなど一定の場所に近づくと、杖が震えてそれを知らせ、音声も
出ると点字の案内板に書かれています。
 早速案内板に表示されている場所に手を伸ばし、その杖を捜すのですがなにもあり
ません。 そこで、受付に行って職員に尋ねました。
「そんなものがあったと聞いたことだけはあります」と、その職員は気の毒そうに言
うのでした。そして「ふれ愛センター」は25年前に建てられたのですが、その当時の
最新機器として設置されていたらしいと教えてくれました。
今は、現物の震える杖はどこかに行ってしまって、案内だけが残っているのです。
 本末転倒、最後になりましたが、本題の研修内容に戻ります。
「障害者差別解消法」関連施策について、和歌山市の障害者支援課 課長 坂下雅朗
氏から御講演をいただきました。
この法制度が、私たち視覚障害当事者にとって、日常生活や職場環境での社会からの
合理的配慮に結びつくものとなってほしいものです。


     忘れえぬ人

                    東和分会 岩本 興治

 寺本津規子さんに機関誌「白い杖」の原稿を書くようにと、背中をポンと叩かれ文
才の無いのも顧みず、うっかり承諾してしまいました。貴重な紙面を駄文で汚します
ことをまずはお詫び申し上げます。
 さて、「白い杖」の原稿となりますとなにか白い杖にまつわることから書くのが良
いのではないかと考え、私が高校時代、つまり昭和34・5年頃だったと記憶していま
すが、鳥居篤治郎という先生が我が母校を訪問してくださり、その時のご講演を拝聴
する機会を得ました。その内容は、「白き杖白きと言えど見えざれば白きと思いて喜
びて突く」 先生いわく、「君たち視力障害者はとかく卑屈で頑固者だ」と世間から
思われている。そこで、手にしている杖の色は判らないが、人が「白だよ」と教えて
くれたら素直に白と信じなさい。このような内容のお話しでした。血気盛んな年頃の
私にとって、杖の識別もできない自分が他人の言うままに安易にそれを、いや人生を
信じることなどできるものかと怒りすら覚えましたが、いやいやそうではない。
人には添うてみろ、馬には乗ってみろだ。人様の真心が心の奥深く届くような人格を
備えなければいけないと悟りました。
 最後に、私が師匠として尊敬している人を偲んで終わりとさせて頂きます。
 その方は当時の学校長、國廣萬里先生です。東洋大学哲学科卒盲教育一筋にその生
涯を捧げられた方です。外見上も貫禄のある風貌で、さらに弁舌爽やか、立て板に水
が流れるがごとく、非常に流ちょうな語り口は、聴衆を引き込まずにはおかなかった
魅力を備えておられました。 先生は、週に2回毎回30分ずつ継続しておられた朝礼
の内容は、根性論をたたき込むことを目的としたスパルタ教育でした。何故にこのよ
うな教育をされたのか、今になって思えば、視力障害者である可愛い教え子達が、遥
かけき彼方に横たわる、苛烈な生存競争が繰り広げられている資本主義社会という戦
場に送り出して後、物心両面に渡り対応できるのであろうかという強い不安感と、危
機感を先生をして、封建的なかつ閉鎖的な教育をさせたのではなかろうかと認識して
います。
その親心を決して忘却してはいけないと、しみじみ追憶に耽る今日この頃であります

 記憶の糸を辿って朝礼で話された内容を思い出してみると、上杉鷹山公の思想は現
代人にも大変参考になるなど考えます。鷹山公は、九州の小さな藩から上杉家9代目
の当主として迎えられたが、その時はすでに謙信時代の栄華を極めた面影はさらさら
無く、禄高は時の幕府から没収に没収され、藩は傾き経済状況は大変疲弊し、荒廃し
た有様にさすがの鷹山公も暫し呆然としたが、「養子に来たという運命を哀し、逆境
を喜ぶ誠心で、経済改革を断行して見せると、あの有名な「なせばなるなさねばなら
ぬ何事もならぬは人のなさぬなりけり」とて、やる気・根性さえ有ればどのような苦
難の道も乗り越えていくことができるのだという思いを、社会に出て行く卒業生に重
ねて告げたかったのだろうと思います。
 2例目は、塙保己一と杉山和一のエピソードについて話されました。塙保己一は全
盲の身でありながら晴眼者を教育し、学者としては有名だが、視力障害者の立場から
見れば杉山検校の足下にもおよばない。何故なら、杉山和一は杉山ゴンザエモンの長
男として生まれたが、視力障害者であるが故に武士を捨て、家督を妹に譲り、一人で
初めて杖にすがり鍼術収得のため江戸へ旅立った話しは周知の通りです。晩年、努力
に努力を重ね検校に上り詰めた杉山和一は、日本全国の白い杖によって生きている人
達の受け皿となり、盲教育をした話はあまりにも有名です。
 冗漫な内容を長々と書きましたので、お詫びのうちに失礼します。


     母の手料理と心の旅

                   東和分会 寺本 津規子

 宮崎県、田舎育ちの私の母は、山菜取りが大好きで、竹の子、わらび、ぜんまい、
いたどり、ウド、ずいき、タラの芽、ふきなどの山菜をいろいろな料理方法で、食卓
に並べてくれました。そんな母の混ぜご飯はゴボウ、人参、干しシイタケ、鶏肉をさ
っと油で炒め煮した具材を酢飯に混ぜて、ゴマをたっぷりすりおろしたものでした。
ゴボウやインゲン、サツマイモなどの野菜のかき揚げの衣には米の粉が入っていてカ
リッと歯ごたえがあり、田舎ではそのかきあげを「ガネ」とよびます。暑くて夏バテ
するころになると、ピーナツをすり鉢であたり、きざんだキュウリと青紫蘇を入れた
中に、冷たく冷やしたお水でお味噌を溶いたものを加え、アツアツご飯にかけて食べ
る冷汁、夏冬問わずに干し竹の子、干ししいたけと肉厚の干し大根、厚揚げなどを入
れたお煮しめは体調がわるく、「味がない、味がない」と言いながら亡くなる2・3
か月前ぐらいまで母は作っていました。

母のレパートリーはまだまだ。ところてん、こんにゃく、いも餅、黒糖の蒸しパン、
灰汁巻きと言って、灰汁に一晩付けたもち米を竹の皮に包んで何時間も蒸したもので
、5月のお節句の『ちまき』として田舎で作る宮崎の名産品。お餅も餅つき機で3升ほ
どを一人で蒸して一人で丸めて作ってしまう器用な母でした。私が、盲学校の寄宿舎
から帰省してもいつも台所に立っていて、「おいしいものはいらないからそばで遊ん
でほしい」と私がいくら言っても、台所に立ち続けた母。それでもいなり寿司を作る
のをそばで見ているのが面白くて、「私もしたい、私もしたい」とせがんでは、何個
も穴あきいなりずしを作った懐かしい思い出は忘れられません。
そんな母がある日私に電話をかけてきて、「あのさーエビフライはどうして作るの?
」と聞いてきたので、「どうして?」ときくと、母は「お兄ちゃんが帰ってくるから
エビフライを作ろうと思って!」と言うのです。いくつになっても可愛い息子のため
に作るんだ。私も食べさせてもらったことがないのにと張り切っている母を電話を切
ってから微笑ましく思ったものでした。そう、私の母はフライ料理とハンバーグだけ
は作ったことがなかったのです。
 私も若いころは、育ちざかりの子供、良く食べる夫のためにと母の味を探りながら
頑張って料理を作っていたものです。最近は健康を考えるようになり、シンプルな料
理が多く、以前のような食べる楽しみと作る意欲が薄れているこの頃。80歳半ばまで
こまめに料理を作っていた母を思うと少し情けないですが、それでもいかにおいしく
、栄養がある食材を選んで、見栄え良く、手抜き簡単料理を考える探究心だけはまだ
衰えていない私です。
そんな私は年に1度、女性部の料理教室の担当をし、手軽で栄養の取れる献立を講師
の先生に考えていただいています。今回は「とてもとてもご飯を作るのがおっくうな
時に残り物や市販のお惣菜のトッピングをイメージできるような、洗い物も片づけも
簡単に済む「おにぎらず」3種を教えていただきました。実は2年ほど前1度だけコン
ビニでチキン南蛮が入ったおにぎらずを食べたことがあり、いつか女性部でできない
かと思っていたのです。今回はそのおにぎらずの一つをご紹介します。

コロッケのおにぎらず(1個分)
ご飯 150g  寿司のり 1枚  市販のコロッケ  1個
キャベツ千切り 適量  とんかつソース 大匙1 
サランラップ
 1.ラップにのりをひし形に置き、のりの中央にご飯の半分をひ  し形に置く。
 2.コロッケにソースを付けのせ、千切りキャベツをのせ残りの  ご飯を置き広
げる。 のりの上下、左右を内側に折りたたむ。
 3.ラップでしっかり包む。落ち着いたら半分に切る。

料理教室では、アボガドとカニかまぼこのおにぎらずと、サンドイッチ風おにぎらず
も作りました。残り物のひじきの煮物の汁気を絞って卵焼きと挟んだり、ホウレンソ
ウとベーコンのソテーや、レタスと焼肉、きんぴらとから揚げをトッピングしたり、
いろいろ試してみてはいかがでしょうか。男性の皆様も、時には奥様の日ごろの食事
作りにねぎらいの気持ちを込めて作ってみると喜ばれるかもしれませんね。
心を込めて料理に時間を惜しまない、食材をいとおしく扱うようにして下ごしらえす
る母の優しい手のことを私はしばらく忘れていたようです。2015年秋に三回忌を終え
て、心から天国の母に感謝です。


     猿に願いを

                    和歌浦分会 北口 豊

 ご存じのようにこの程銀行金利が一部マイナス金利を採用するという政府の方針が
決まり、銀行の定期預金などの金利もそのうちに消滅しそうな勢い、そんな訳でます
ます箪笥預金者が増えるのではないかとの思惑から金庫の売れ行きが伸びているとか
、いないとか。アベノミクスも黒田バズーカも今では忘れ去られた感がある。そんな
こんなで私も箪笥預金ならぬ子供の頃にやったような竹筒に切れ目を入れたそれでは
ないけれど、年明けに買った福袋に入っていた猿の貯金箱に少しづつお金を貯めるこ
とに決めた。
これには伏線が有る。それは、昨年プロ野球のペナントレースが始まって間もなく、
巨人・大鵬・卵焼きと騒がれた時代からの、巨人ファンでもある私が思いついたのは
巨人が1勝する度に1千円を貯金することでした。誤解されないように記しておきます
が、決して野球賭博じゃないですよ。そのための軍資金ではありません。私はあの3
人とはなんの関係もありませんからね、やれやれ。
 それで、例年優勝ラインは80勝前後、優勝できなくても秋には悪くても7万円ぐら
いは貯まるかなと捕らぬ狸の皮算用。へそくりのつもりでしたが優勝したら何か美味
いものでも食べに行こうと妻に公言していました。それが、結局75勝67敗1引き分け
で、優勝もヤクルトにきっちり持って行かれました。ということで、手元には75,000
円が残りましたが、優勝はできませんでしたので妻との約束も勝手に反故し、たまた
まぶらりと入った行きつけの楽器屋で見つけたギターに化けてしまいました。
 その後、野球も終わり、その貯金のマイブームは冷めていたのですが、年末のラジ
オのチャリティーミュージックソンなどで一般の人が我々の音響信号機や福祉用具購
入のためにと善意の浄財を寄付してくれていることを聞き、私も微力ながら貢献でき
たらと考え、その足しにでもできればとマイブームを復活させたというわけである。
ただ、根がずぼらな性分、何か貯金をするきっかけというか目標というか自分への理
由付けみたいなものが無ければ、そう夏休みの日記の宿題のようにずるずると忘れて
しまうので、何にしようかと考えたあげく、一人で出歩くことが多いことから、出先
で声をかけてくれたり、電車やバスで席を譲ってくれたりした時に500円を「思いや
り貯金(オモチョキ)」と命名して貯めることにしようということにした。ただ、そ
の他人の親切にもいろいろ度合いがあるので最低の条件を決めた。
 一つは、自分から声をかけてサポートを要請したものではなく必ず相手から提供し
てくれた親切であること。
 二つ目は、自分がそれに感動した度合いが5段階の3以上であること。ただ、この5
段階というのが難しい。たとえば、「とても望んでいる」を5として、「少し望んで
いる」、「望んでいる」、「あまり望んでいない」、「全く望んでいない」を1とい
うようにするとしよう。でも、私も一人の人間、感情の動物でもあるわけで、けっこ
うその日によっても違いがあるのは自分でも承知している。また、その評価で500円
、400円…としようかとも思ったけれど、それもそれなりに煩雑なので前述のように
することにした。そして、貯金した時には夜に書く日記に一言状況を書き記すことに
し、今、これを書いている時点では6,500円の貯金ができている。以下にその幾つか
を紹介してみよう。
 年末ジャンボ宝くじを買いに行った時のこと。我々は行列の最後尾を探すというの
はけっこう難しいもの。白杖をあまり振り回すのもはばかられるし、かといって、前
の人との間を開けすぎると並んでいないのかと思われて割り込まれたりするものです
。その時に、一人の中年女性が順番を譲ってくれて買い終わった私を歩道の所まで誘
導してくれました。自分的には評価3ぐらいでしたがその対応の仕方が嬉しかったの
です。
 もう一つは、紀三井寺駅で電車を降りた時、「一緒に行きましょうか」と初老らし
い男性が自然に自分の肩を持たせてくれ、陸橋を渡って改札を出てエレベーターで降
りるまで誘導してくれました。これも、私には通い慣れた駅なので評価は3程度だっ
たのですが、やっぱりその自然さとお気持ちがとても嬉しかったです。だから、もち
ろん帰って直ぐに入金しました。
 こんなこともありました。県身連の会議で出かけた時のこと。会場がいつもと違う
ため、あらかじめ頭に地図をコピーしていたのですが、どこで曲がり角を間違えたの
か一向にそれらしい建物に到達できず前から歩いてきた人に思い切って声をかけまし
た。中年の女性でしたがその建物の看板を直ぐに見つけてくれて玄関まで誘導してく
れました。ただ、このケースは前述の条件の相手から声をかけてくれたのではなかっ
たので私的には評価5だったのですが涙を飲んで貯金はあきらめました。
 さて、この私の「思いやり貯金」、年末には幾らぐらいになってるのやら。でも、
案外相手から声をかけてくれることが少ないように思います。白杖を持って危なっか
しい足取りでとぼとぼしているのだから気になる人はじっと注目はしてくれているの
でしょうけれど、それがこっちには分からないこと。欧米諸国では点字ブロックや音
響信号機などは案外普及していないけれど遥かにそれを凌ぐマンパワーというか、障
害者を見かけたら自然にサポートしてくれるケースが多いと聞く。訪日外国人も急増
しているようだが、まだ外国人による親切を受けた経験は無いけれど、白杖を蹴られ
て「ソーリー」と言われたことは有るが日本人は知らん顔の人が多い。「オモチョキ
」に貯めるお金を銀行から下ろさなければならないくらい猿の貯金箱が入りきらずに
悲鳴をあげるほど思いやりが増えることを願ってペンを置きます。



        お楽しみ懸賞クイズ

今回は、連想クイズ形式とさせて頂きました。
以下の各問題で、ヒントとしてあげる言葉から、連想される答えをお寄せください。
 全問正解者には抽選で5名様にささやかな豪華景品をプレゼントします。
 応募は、書面かメールで編集者までお寄せください。
 応募先:〒641ー0013 和歌山市内原871ー9 北口 豊
  Eメール owlmail-from-tomtarotan@silver.plala.or.jp
 応募締め切り:平成28年5月10日(必着)

 問1 ヒント:セブンーイレブン  大阪商人  海苔問屋  節分  南南東

 問2 ヒント:メキシコ  わさび醤油  カリフォルニアロール  森のバター 
 おにぎらず

 問3 ヒント:クマ避け  暴走族  長崎の精霊流し  春節祭  火薬

 問4 ヒント:クリスマスケトル  救世軍  慰問かご  街頭募金  慈善鍋

 問5 ヒント:マタギ  野生鳥獣  イノシシ  モミジ鍋  ボタン鍋  



          編集後記

 今回も皆さんのご協力を得て、なんとか編集後記までこぎ着けることができました
。無理を言って原稿を寄せて頂いた方、また、突然の電話インタビューにもかかわら
ず快く応じて頂いた方々、私の面目も立ち少し「白い杖」らしくなりました。どうも
ありがとうございました。
 生駒さんから頂戴した原稿を少し補足させて頂きますと、ふれ愛センターの図書室
は私も詳しくないのですが、それとしてはあまり機能していないのかも知れませんが
、パソコン教室やその一角のスペースにある録音室は朗読ボランティアの方々の作業
などに活用されているようです。また、ご指摘の振動杖はセンター新築当時たしかに
存在したのは私も知っていますし使ってもみました。欠点は自分の杖をその杖に持ち
替えなければいけないことと、杖の電池が無くなったのか徐々に動作しなくなりその
存在さえも知らない人が増えて無用の長物になり、職員の入れ替わりがあって、その
うちにロビーの模様替えや喫煙所の設置などで若干構造も変わったりで、その杖も廃
棄されてしまったのでしょうか? ううん、なんとも複雑ですね。

 編集はほとんど私の独断ですので、あまり自分の色を出してもと思うのですが、上
手な賢い文章も書けないし、かといって、難しい役所に提出するようなものなら読者
にも直ぐ捨てられてしまってもと試行錯誤の毎号の編集です。あまり変化のない第44
号になりましたが、最後までお読み頂き嬉しく思います。クイズコーナーにも一人で
も多くのご応募を寄せて頂けることを重ねてお願いして編集後記といたします。


 和歌山市視覚障害者福祉協会機関誌「白い杖」(通巻第44号)
 発行  平成28年3月
 発行者  和歌山市視覚障害者福祉協会
 編集責任者  畠中 常男
 電話 073-472-7872
 〒640-8314 和歌山市神前285ー16
 ホームページ http://washikyo.org
 Eメール hatakenaka@jtw.zaq.ne.jp

 編集スタッフ  畠中常男 北口豊 幸前勇 坂井勉 能澤義和




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