白い杖 第28号


和歌山市視覚障害者福祉協会機関誌「白い杖」

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 巻頭言
   会長 山嵜景生
 桜のつぼみもほころび、人々に希望を持たせるような季節になりましたが、皆様いかがおすごしでしょうか。
 西暦二千年という節目の年に巡り会い無事に迎えられましたことを謹んでお喜び申し上げます。
 さて、総務庁の統計によりますと、昨年の失業率は四・九%とのこと。しかし、学校を出て就職出来なかった人は、失業者としてカウントされていません。
 従って、実際の失業率はもっと高いのではないでしょうか。
 本会においても会費の減収、交付金の減額等きびしい舵取りを余儀なくされた一年でした。
 今年度は一日でも早く景気が良くなり、みんなが安心して暮らせる日本になるよう期待したいものです。
 また今年は身体障害者福祉法施行五十年を迎えます。
 これを機会に身体障害者の福祉とりわけ視覚障害者の福祉増進に努力しなければなりません。
 なお、四月からは介護保険がスタートします。まだ、不透明なところが数多くあります。情報収集に努め、私達視覚障害者が不利益をこうむることのないよう、注目しなければなりません。
 どうか会員お一人お一人のさらなるご協力をお願い致します。
 最後になりましたが、一期二年微力な私を支え盛り上げていただいた皆様に感謝申し上げ巻頭言といたします。

和視協平成十一年度事業実施報告
   書記 滝本金作
会議
執行部会 四回。理事会 三回。
市連盟理事会 四回。同代議員会 一回。
連絡 文書十回。電話 数回。その他 若干。
四月十一日 定期総会、県総合福祉会館四F大会議室、
       十年度の事業および決算の承認、十一年度の       事業計画と予算案の承認、その他案件の承認。
  二十五日 市身連代議員会、市ふれあいセンター、新年       度の事業計画の具体化の決議。
五月九日 市身連福祉大会、南紀熊野体験博、三十五名       参加。
六月六日 県盲協主催中失者緊急生活訓練、日高郡切目       大浜海岸で地引き網体験。十三名出席。
六月二十日 点字教室、市ふれあいセンター、十五名出席、       記憶書き、変則五十音書き、メ書きマラソン。
七月四日 市身連将棋大会、市ふれあいセンター、和視       協より五名参加。
七月十八日 福祉学習会、市ふれあいセンター、四十名出       席、ゴミの分別収集についてと、日常生活用       具の交付について学習する。
八月二十二日 県盲協点字競技会、県総合福祉会館。七名出       席、日盲連主催の全国大会の予選を兼ねて写       し書き、聞き書き、速読みの三競技と、ボラ       ンティア等を対象にメ書きなどで競い合い、       城東分会北口 豊さんが優勝。
九月十九日 市身連福祉対策協議会、市ふれあいセンター、       各部会から要望事項を持ち寄り、市側と交渉       を持つ。本会からは次の三点の検討を市側に       要望した。
       一 ガイドヘルパーの利用範囲の拡大と手続         きの簡素化について
       二 和歌山バスの時刻表の掲示等について
       三 路上点字ブロック上の自転車等の放置物         件に対する市民への理解啓蒙について
十月三日 市身連第一回教育講座、市ふれあいセンター、       会員二十四名出席、「介護保険について」の       講演を聞く。
  十七日 県盲協主催俳句大会、田辺市市民文化会館、       九名参加。作句を楽しむ。
  二十四日 社会見学および文芸研修会、加太淡島神社、       会員およびボランティアの二十四名出席、作       句を楽しむ。
十一月二十八日 文化研修会、市ふれあいセンター。
        会員三十六名出席、クイズ大会、カラオケ        大会、文芸研修での投句の優秀作品の表彰        の三部に分けて楽しい一時を過ごす。
一月十六日 更生相談員会および幹部研修会、市ふれあい       センター、盲学校中国留学生「葉 華さん」       の話を聞く。
二月十三日 市身連第二回教育講座、市ふれあいセンター、       会員二名出席、結婚相談の集い。

消息
 本年中、ご結婚された方を紹介します。
 城東分会 北口 豊さん 平成十一年十月一日
 おめでとうございます。いつまでもお幸せに。
 次の方々が各方面より表彰を受けられました。おめでとうございます。
 五月九日、和歌山市長表彰の自立更生に紀伊分会の宮本克二さん、同内助功労に畠中志津子さんが受賞されました。(市役所ロビー)
 八月二十九日、和歌山県知事表彰の自立更生に弘親分会の沢田留司さんが、県知事賞の内助功労に河北分会の河野敦美さんが受賞されました。(和歌山市)
 十月二十六日、和歌山市社会福祉大会、市社協会長表彰の社会福祉功労に紀伊分会の市川和朗さんが受賞されました。(和歌山市民会館)
 最後に悲しいお知らせとなりました。西和分会 中西 貞芳さんが、平成十一年四月十二日に享年七十五才でお亡くなりになりました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

婦人部だより
   婦人部長 北山和代
 和視協婦人部では例年通り盲女性が合い集い地位向上のため、次のような事業等を行いました。
 それぞれ専門の講師をお招きし、賛助会員の方々の協力をいただき熱心に受講しました。
 生け花、茶道、料理、教養講座そして親睦を図るため、野外研修会としてピクニック、歩行訓練等々、年間二十回ほどの集まりを持ちました。
 まだ、婦人部に入られていない方々お越し下さい。部長はじめ部員みんなが心からお待ちしています。
料理講習会 5/16 7/11 11/21 1/23
生け花講習会 10/17 12/26
茶道講習会 10/17 12/26 2/13
講演会 7/11 11/21 
ピクニック、野外研修会 5/16 6/20 1/23
上部団体事業参加 11/14 1/28

 会員コーナー 
五十七年目の再会
  南和分会 辻孝
 昨年、秋のお昼前、治療していると声もなく玄関の戸が開いて治療室に上がって一言も云わずドスンと座布団に座り込んだ男の人がいました。明るく会話をしていた奥さんも黙り込むし、私も不気味な不安のまま治療を終え、お客も帰られました。丁度お昼だったので「食事をしますので一寸待って下さい」と云って後ろを通ろうとしたら、急に顔を上向けて「あんた有田の岩倉村谷の辻さんかのー」と聞かれびっくり「あなた、どなたです」と尋ねたら「僕、日高のそうがわはるきちやで、久しぶり」と云われ二度びっくり。それも道理、五十七年前に別れた親友だったのです。電話帳で住所を調べ、東小二里を目当てに行って、聞き歩けば分かるだろうとやって来た。「会えて良かった、懐かしいなー」と握手をしてはなさず、私も忘れずにはるばる訪ねてくれた彼の友情に感謝で胸が熱くなりうれしい一日でした。昭和十六年十二月十四日に十七才で県下から百五十名明石川崎航空工場へ動員され厳しい三カ月間の養成期間を終えて、彼は旋盤工として、私はエンジンの研究室に配属され働く内、少し眼が悪くなり療養のために別れて田舎へ帰ったのですが、毎日が空腹で夜昼無しの激しい爆撃、後へ後へと連れてこられた生徒や女学生が大勢死んで行くし、私達も今夜死ぬか明日死ぬのかと恐怖の日々だったが、腹が空くことが爆弾より恐いつらい毎日でした。
 死ぬか生きるかの厳しい少年時代を共に励まし助け合った中だけに友情の絆が強く、美山村からはるばる訪ねて下さったのだろうと感謝とうれしい一日でした。

ご存知ですかこんな話 パート二
  弘親分会 沢田留司
 前回、魚のタイについてふれてみましたが、今回はあの奇妙な形をしたアンコウについて一寸ふれてみます。
 本来介護保険や福祉について書くべきでしょうが、それは他の人に任せることにし、こんなページもあってもいいのではと勝手に自分で解釈をしています。
 それではまず最初にこの魚の生態系から入っていきたいと思います。
 このアンコウという魚の住んでいる場所と云えば太陽の光が全く届かない深い海底で泳ぎ回ることはあまりしません。
 体の一部に提灯のような形の蛍光体を持ち、その光に集まってくる小魚を食べ餌にしています。
 しかし、長い間餌を取れない時などは海面近くまで泳いで小魚を取ることもあるそうです。その証拠に以前宮城県仙台沖で取れた体長一・五メートルのアンコウの胃袋の中から海ガラスが出て来たことがあるそうです。このアンコウ毎日今噂の深層水を飲んでいるので元気なのでしょうか?
 この魚成長すると体長一メートルから一・五メートル体重三十kgもあるそうです。
 更にこのアンコウには肋骨が無くおまけに皮全体がぬるぬるしているのでさばこうとまな板の上に置くとまるで逃げるかの如く動き回り料理が出来ません。そこでアンコウ独特の調理法「吊るし切り」という方法が生まれました。
 それは鰓から針金を通し洗濯物を干すような形に吊るし口から水を入れて安定させ皮、肉、内臓とさばいていき最後は頭だけになってしまいます。
 そして、その後は皆さんの胃袋の中と云うわけですが、このアンコウ今でこそ高値のバーコードを付けて店頭に鎮座していますが、昔は安い安い魚で特に西日本ではほとんど食べられていなかったそうですがテレビや漫画本の「おいしんぼ」によって紹介されると徐々にみんなに知られることとなり、今では高級魚に大変身してしまいました。
 それでは、最後にこのアンコウを食べるに当たってのレシピを二、三紹介してみたいと思います。興味のある方はどうぞ。
 その一、肉、皮を一口大に切り、肝と一緒に塩ゆでします。
次に酢味噌を作ります。その時のポイントとして先ほどゆがいた肝を酢味噌を作る時一緒に混ぜ、よくすり合わせ肝入り酢味噌にすることです。それに分け葱ぬたを作る要領で白荵の千切りを、さらした物と合わせれば出来上がりです。
 その二、これはできるだけ大きな肝のかたまりを求めて下さい。
 アンコウの肝は他の魚の肝に比べて水気が多いのでかたまりのままきつめの塩をして二、三時間置きます。
 次に水気をよく拭き取り、蒸し器にかけます。これで出来上がり、薄く切ってそのままでも、ぽん酢に紅葉おろしででも好きな方で食べて下さい。(これは特にお奬め)
 その三、これは皆さんよくご存知のアンコウ鍋です。
 材料は野菜類、キノコ類など普段鍋に使う物と同じでだし汁は、薄味を付け、だしと一緒に食べた方がおいしいようです。ちりにしてぽん酢で食べても結構……。
 さて、皆さんいかがだったでしょうか?。アンコウについて、ごく簡単にふれてみましたが、たまには変わった物を口にしてみるのもいいのではないでしょうか?。
 それでは、また……。

インターネットってどんなもの
  紀伊分会 宮本克二
 最近、ラジオやテレビから毎日のようにインターネットに関係する話題が聞こえてきます。「IT革命」「Iモード」「インターネットショッピング」など訳の分からない用語が泉の如く出現しています。
 かわら版から新聞、新聞からラジオ、ラジオからテレビまたは電話と情報の入手方法が変化してきました。今では、テレビ・電話からこのインターネットに変わりつつあります。このような話であれば少しはインターネットとは何か分かっていただけると思います。即ち新しい形の情報収集手段と云うことです。ラジオやテレビと大きく違うところは、ラジオやテレビは一方的に放送されてきた情報を得るという受け身の情報収集法です。それに反してインターネットは自分の得たい情報を瞬時に世界のあらゆる場所から、また、あらゆる人から情報を得ることができる能動的な情報収集方法です。
 自分の興味のあるもの、例えば「食べ物」「料理」「スポーツ」など、あらゆるジャンルの情報を得ることが出来、また、同じ趣味を持つ者同士が障害に関係なく話題を交換できることもできます。また、和歌山のデパートでは規模が小さいため欲しい商品がなかなか無いときなどインターネットショッピングを利用すれば、安くすぐ購入できるなど大変便利ということです。
 以上のことから最近、日常生活に一気に入ってきているわけです。近い将来、テレビもラジオも新聞もインターネットテレビ、インターネットラジオ、インターネット新聞ということになることでしょう。
 難点といえば現在ではインターネットをするためにはパソコンを操作しなければならないと云うこと、通信は電話回線を使用するため電話料金が日本ではまだまだ高いと云うことです。
 この難点も近い将来改善されテレビを操作する感覚でしかも安価にできることでしょう。
 私が勤めている盲学校でも昨年インターネットが出来るようになりました。生徒達はインターネットをするのが楽しみでよく利用しています。ある、生徒は「阪神タイガース」の情報に耳を傾けています。
 一度チャレンジしてみる価値はあると思います。自分の興味のあることから少しずつ慣れていくことが大切かと思います。一カ月もすれば世界の情報はあなたのものとなることでしょう。

 花言葉 
 今年は三月十八日より淡路島で花の博覧会が開催されます。
 それに、ちなんで花言葉を少し紹介してみます。
アサガオ   全草  はかない恋
アザミ    全草  独立
アジサイ   全草  高慢、美しいが香りも実もない
カーネーション 全草  哀れなわが心
       白花  純白
       黄花  軽蔑
       赤白の絞り  拒絶
ガーベラ   赤   神秘
カトレア   全草  成熟した大人の魅力
キキョウ   全草  やさしい温かさ、感謝
クチナシ   全草  幸せでうれしい
コスモス   全草  乙女の真心
ジンチョウゲ 全草  栄誉、不滅
スズラン   全草  純潔、幸福
スミレ    白花  無邪気な愛
       紫花  誠実、愛
       黄花  つつましい幸福
ダリア    全草  不安定と移り気、華麗
タンポポ   全草  田園の神託、思わせぶり
チューリップ 赤花  愛の告白
       斑入り  美しい目、魅惑
       ピンク花  年ごろ
       黄花  見込みのない恋、愛の表示
デージー  全草  優しさと無心、いちずな心と誠実な愛
バラ    赤花  愛、恥ずかしげな
      ピンク花  私を射とめて、背徳
      濃紅花  内気な恥じらい
      白花  私はあなたにふさわしい、尊敬
      黄花  愛の衰え、美
ヒアシンス  紫花  悲嘆、初恋のひたむきさ
       白花  目だたぬ美しさ
ヒマワリ   全草  あなただけをみつめています、光輝
フリージア  全草  純潔
ユリ     ヤマユリ  全体の美、荘厳
ラベンダー  全草  貞節、優しさと尽きぬ愛
ラン     全草  美人、華麗

 クイズコーナー 
 「問題」 次のア〜オに関係する数字の合計をお答え下さ     い。
 ア、川柳の標準構成文字数。
 イ、淡路花博の開始日は三月何日か。
 ウ、春選抜高校野球の出場校数は。
 エ、和歌山県における市町村の合計数。
 オ、機関誌「白い杖」の発刊回数。
申し込み先  宮本克二
閉め切り 平成十二年五月二十日
発表  景品の発送をもってお知らせいたします。

編集後記  
  編集部
 和歌山市視覚障害者福祉協会機関誌「白い杖(二十八号)」を発刊出来ましたことは大変うれしく思います。
 会員コーナーにお寄せ頂きました原稿も昨年に引き続き、内容も興味深いものとなりました。編集担当者としても大変喜んでおります。又、クイズにつきましては、昨年同様、皆様方が気楽に参加して頂けるものとしました。
 これからも、皆様方にご愛読して頂く機関誌にして行きたいと思います。
 最後に、この機関誌発行に当たり、ご協力くださいました方々に心より感謝申し上げます。

 入会のおすすめ
  本会は、和歌山市内に居住、身体障害者手帳をお持ちの視覚障害者なら、どなたでも入会していただける団体です。県視覚障害者福祉協会を通じて日本盲人会連合に連なり、市身体障害者連盟を通じて県身体障害者連盟に属しています。
  私達、視覚障害者の福祉を高めるには、何と言っても組織を強めなければなりません。その一つの策は、会員を増すことです。力が足りないため思うことの大部分は絵に描いた餅に終わっているのが現状です。未加入の方は、知友とおさそい合わせになってお入り下さい。手続きは至極簡単。入会の意志を会長あて申し込んで頂くだけで結構です。詳しいことは、その時連絡いたします。

 ☆事務所  
  〒六四〇−八三一九 和歌山市手平三丁目十番八号  
  山嵜 景生
  電話  四二四局 八五九〇  



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